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LVに敗訴して人気が出た ミルクティーブランド  【野村義樹✕リアルワールド】

 

茉莉奶白(左)、ルイ・ヴィトン(右)=上海市内、7月15日、筆者撮影

 最近、中国でルイ・ヴィトン(LV)のマークが注目されている。ただ「新作バッグが、かっこいい」といったポジティブな反応ではなく、LVが多数の商標訴訟を起こしたことに対してSNSで反感が高まっているのだ。LVは約2400店舗を展開するミルクティーブランド「茉莉奶白」のマークが自社で商標申請している「四つ葉の花」に似ていると訴え、一審で1030万元(約2.4億円)の損害賠償を認められた。この件だけにとどまらず、LVは直近5年間に1600件を超える権利侵害申し立てを行っている。その対象は1店舗のみを営む小さな飲食店から日本の特許庁に相当する行政機関「国家知識産権局」まで含まれる。

 かつて「パクリ天国」と揶揄された中国だが、近年は知財保護の法整備を強化しており、むしろ諸外国よりも商標権者側に有利な環境になっている。事例として「無印良品」や「クレヨンしんちゃん」が、別の企業に先に商標をとられてしまい、「本物なのに中国で自社の商標が使えなくなった」ということもあった。

 今回LVに反感が集まっているのは、LVの主張が「行き過ぎた権利行使」と映っているからだ。そもそもLVのマーク自体が日本の家紋から影響を受けているとされているし、マークの中には唐代の伝統文様「宝相花」に似ている普遍的な幾何学模様に見えるものもあり、「先祖から伝統的に続く意匠を、欧州ブランドに私物化されてたまるものか」と憤っているのだ。

 「試合に勝って、勝負で負ける」という言葉があるように裁判という「試合」では勝ったとしても、国民感情を害した市場から見放されれば、ビジネスという「勝負」では負けてしまう。かつてドルチェ&ガッバーナ(D&G)が中国の食文化をバカにするような動画投稿で炎上した。芸能人も含め抗議が相次ぎ、「D&Gを身に着けていると、街中で、何を言われるか分からない」と買い控えが起こり売上げを大きく落とした。

 一方、敗訴したミルクティーブランド「茉莉奶白」は「欧州の大企業にイジメられている国内ブランドがかわいそうだから応援しよう」と逆に人気が出てしまった。SNSのフォロワー数は2日間で10万人以上増加し、店舗の売り上げも増加した。ラグジュアリーブランドもミルクティーも嗜好品・ぜいたく品だ。これらは「必要性」でなく「口実」で買われることが多い。「本当はダイエット中だからダメだけど、国民として茉莉奶白を応援しなきゃ!」と「甘い口実」を理由にミルクティーを買った人も少なくないはずだ。

野村義樹(のむら・よしき) 中華圏歴22年目。妻、娘2人と上海在住。現地のビジネスや生活をメルマガ「中カツ!通信」にて配信中。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.30からの転載】

  • 茉莉奶白(左)、ルイ・ヴィトン(右)=上海市内、7月15日、筆者撮影

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