ふるさと納税「サイトのポイント付与」が終了。会社員世帯が今こそ見直したい、賢い活用術
「どのサイトが一番ポイント還元率が高いか」を比べてから寄附先を決める。ふるさと納税を、そんなふうに使ってきた人は少なくないはずです。ところが、寄附金額に応じてサイト独自のポイントがもらえるという、その「お得」が2025年10月になくなりました。総務省が、仲介サイトを通じたポイントの付与を禁止したためです(総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」2024年6月28日)。ポイント目当てで寄附先を選んでいた人には、残念な変更かもしれません。ただ、ふるさと納税そのものの仕組みは、何も変わっていません。上乗せされていたお得さが減っただけで、やめてしまう理由にはならないでしょう。今年は、ポイントに頼らない選び方に切り替えれば十分です。
なぜ禁止されたのでしょうか。背景には、サイトごとのポイント競争が過熱し、寄附の目的が地域の応援よりも「ポイント集め」に傾いてきた現実があります。ふるさと納税は年々広がり、2024年度の受入額は約1兆2,728億円、件数は約5,879万件に達しました。その一方で、自治体が仲介サイトに支払う手数料は1,656億円と、寄附額のおよそ13%を占めています(総務省 ふるさと納税に関する現況調査、2025年7月31日公表)。この手数料を抑え、より多くを地域に役立ててもらうことが、見直しの狙いです。
ここで誤解しないでおきたいのは、変わったのは上乗せされていたポイントだけで、ふるさと納税の基本は今までどおりだという点です。ふるさと納税は、寄附した額のうち2,000円を超えた分が、翌年の所得税や住民税から差し引かれる制度です。つまり、実質的な自己負担2,000円で各地の返礼品を受け取れます。この基本の仕組みは変わりません。また、ふるさと納税の決済で使ったクレジットカードに付く通常のポイント(買い物全般で付くもの)は、これまでどおり付きます。なくなったのは、あくまで寄附サイトが独自に上乗せしていた分です。税金が軽くなることと、地域を応援できること。その2つの柱は、これまでと同じです。
では、これからどう付き合えばよいのでしょうか。意識したい点が3つあります。1つ目は、自分の上限額を正しく知ることです。控除される金額の上限は、年収や家族構成で変わります。各サイトのシミュレーションで、おおよその目安を確かめておきましょう。2つ目は、手続きを忘れないことです。寄附しただけでは控除されません。確定申告をするか、寄附先が5つ以内ならワンストップ特例(確定申告がいらなくなる簡単な手続き)を申請することで、はじめて税金が軽くなります。3つ目は、返礼品をポイント還元率ではなく、本当に必要なものや、応援したい地域の視点で選ぶことです。
もうひとつ、気をつけたいことがあります。ポイントがあった頃の感覚のまま、上限を超えて寄附してしまうことです。控除には上限があり、それを超えた分は、税金から戻ってこず、まるまる自己負担になります。ポイントという見返りがなくなった今は、なおさら金額の管理が大切です。寄附のたびに、今年はいくらまで寄附したかを書き留めておくと、使いすぎを防げます。
なお、共働きの世帯であれば、夫婦それぞれの名義で寄附できることも覚えておくとよいでしょう。控除の上限は、一人ひとりの収入で決まります。そのため、二人分を合わせれば、世帯として活用できる枠は広がります。どちらの名義で、いくらまで寄附するのか。お互いの上限を確かめて、無理のない範囲で分担するのも一つの方法です。返礼品も、米や日用品など毎日使うものを選べば、家計の助けにもなります。
ポイントというおまけが消えて、ふるさと納税は本来の姿に近づきました。お得度のランキングを追いかける必要がなくなった分、かえって落ち着いて選べるようになったとも言えます。寄附は年末に駆け込む人が多いものですが、上限額を調べるだけなら、夏のうちにでもできます。今年の収入の見通しが立つこの時期に、一度だけ自分の上限を確かめておく。それだけで、あわてずに、そして払いすぎずに、制度を使いこなせます。
<筆者略歴>
新井 一:起業コンサルタント 1996年 23歳で会社員のまま起業
2007年 起業支援を本格スタート(現・起業18フォーラム)
新井 一:起業コンサルタント
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