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サイバー対策、まずは「現在地」の把握を キヤノンITS、SCS評価制度を解説

神戸大学名誉教授 森井昌克氏

 キヤノンITソリューションズ株式会社は10月28日、東京都内で報道関係者向けラウンドテーブル「いま知るべきサイバーセキュリティ~国の動向と、相談現場が映す“次の一手”~」を開催した。サイバー攻撃の高度化や被害の拡大が続く中、国の施策動向や企業が取るべき対策について、有識者や同社担当者が解説した。

 冒頭、神戸大学名誉教授の森井昌克氏は、企業や自治体でサイバー攻撃の被害公表が相次いでいる現状について解説。大規模な情報漏えい事案が報じられると、他社でも自主点検が進み、過去の不正アクセスが発覚するケースがあると説明した。

 また、古くから知られる攻撃手法が現在も通用している実態を紹介し、基本的な脆弱性対策や認証管理の徹底が重要だと指摘。生成AIによって脆弱性の発見が高速化しているとも説明し、単独では大きな問題に見えない脆弱性でも、複数を組み合わせることでシステム侵害につながる可能性があると述べた。

 さらに、相次ぐ情報漏えいやサイバー攻撃を受け、「これまでは経営層があまり気にしていなかった部分もあったが、一連の報道を受けて問題意識を持つようになった。企業として対策に動き出す大きな契機になっている」と説明。10月に施行された能動的サイバー防御についても触れ、制度の枠組みは整備された一方で、実際の運用手順や適用条件については今後明確化していく必要があるとの見方を示した。

 続いて登壇した同社サイバーセキュリティ技術開発本部マルウェアアナリストの一柳遥氏は、経済産業省などが推進する「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」について説明した。同制度は、中小企業を含む事業者が必要なセキュリティ対策を段階的に実施できるよう整備されたもので、評価基準の項目数は評価レベル(★の数)によって異なる。評価取得そのものが目的ではなく、自社の弱点や課題を把握し改善につなげることが重要だと強調した。同社の調査では、制度を認知している企業の多くが評価取得の必要性を感じており、約9割が★3または★4の取得に向けて準備、もしくは要件を満たしていると回答した。一方で、専門人材の不足や予算確保などに課題を抱える企業も多い。また、取引先のセキュリティ状況を取引条件に組み込むことを検討している企業は7割を超えるものの、取引先との関係悪化などを懸念していることが明らかになった。

 

SCS評価制度に対する企業担当者の意識調査

 

 一柳氏は「制度への関心は高まっているが、まずは自社の現在地を知ることが重要」と指摘。セキュリティ対策診断サービスなどを活用して現状を可視化し、優先順位を明確にした上
で対策を進める必要があるとした。

キヤノンITソリューションズ マルウェアアナリスト 一柳遥氏

 

 同社が提供する「セキュリティ対策診断サービス セキュリティ対策評価制度対応版」は、SCS評価制度への対応に向けてセキュリティエンジニアが対策状況を可視化し、課題の整理や改善計画の策定を支援するもの。これまでは診断や実行計画策定を中心としていたが、新たに実装支援を加えることで、対策の定着までを一貫して支援できる体制を整えた。今後は評価取得や更新支援まで含めたサービス拡充も視野に入れているという。

  • 神戸大学名誉教授 森井昌克氏

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