AIは「導入」から「活用」へ、AIへの経営相談も 中小企業アンケート調査「大同生命サーベイ」
大同生命保険(大阪市)は全国の中小企業経営者を対象に、景況感に加えさまざまなテーマを設定したアンケート調査「大同生命サーベイ」を2015年10月から毎月実施している。2026年8月度のテーマは「AIの活用状況」。全国の4104社の中小企業経営者を対象に、8月1日~28日にかけて、訪問またはZoom面談で調査を行った
全体として景況感については、「現在の業況」(業況DI)がマイナス9.2ポイント(前月差プラス1.4ポイント)と持ち直しが見られた。一方、「売上高」はマイナス1.1ポイント(前月差マイナス2.3ポイント)、「利益」がマイナス4.2ポイント(前月差マイナス1.1ポイント)と、小幅に悪化しており、収益面では慎重な見方も浮かび上がった。
■AI活用、「文書作成・要約」が最多、経営相談も
AIの利用については、まず、66%の経営者が「現在利用している」と回答。そのうち、「ほぼ毎日利用」が24%、「週1回以上利用」が23%と、日常業務への定着が進んでいた。利用しているAIソフトがある経営者は約70%で、「ChatGPT」が認知率(83%)・利用率(55%)ともに最も高かった。また、AIを、個人としてだけではなく、業務で利用している企業は53%で、うち、「個人・業務ともに両方」が45%、「業務のみ」が8%と、中小企業での業務活用の広がりが見られた。
AIを活用している業務では、「文書作成・要約」(73%)が最多。以下、「調査・情報収集」(43%)、「データ等の作成・分析」(35%)と続いた。また、業務にAIを利用する経営者のうち、AIに経営相談や意見を求めている経営者は62%で、頻度の内訳は、「日常的」が21%、「時々」が22%、「たまに」が19%。AI活用範囲が、業務効率化から経営支援へも広がっている様子が浮かび上がった。特に、「情報通信業」や「生活関連サービス業・娯楽業」では、相談や意見を求めたことがある経営者の割合が3割以上で、全体平均を上回っていた。
■業務の時間短縮・効率化で人手不足対策にも
AIを業務で活用している理由の上位3位は、「業務の時間短縮・効率化」(74%)、「専門知識を補うため」(47%)、「アイデア出しや企画のヒントを得るため」(44%)。逆に、活用していない理由の上位3位は、「業務上の必要性を感じない」(42%)、「具体的な使い方がわからない」(24%)、「使いこなせる人間がいない」(17%)だった。
AI活用による人手不足解消の効果については「大いにあり」と「一定あり」を合わせて、44%が「効果がある」と回答。人手不足対策として一定の期待が寄せられているようだ。「効果あり」の割合は、特にサービス業(50%)で高かった。
■信頼性・安全性への懸念があるも、今後の活用意向は7割以上
AIを活用する際の不安の上位3位は、「誤情報・内容の正確性」(49%)、「情報漏洩・セキュリティー面」(45%)、「トラブル発生時の責任の所在」(20%)。AIの信頼性・安全性に対する懸念が大きかった。
一方で、今後のAI活用意向については、「頻度を増やしたい」(37%)と「現状と同じ」(36%)を合わせて、73%の企業に活用意向があった。経営者の年代が若いほど活用意向も高く、AIの活用が今後も定着・拡大していくことが予測できる結果となった。
■経営者ら「生まれた時間をどう生かすか」「最終決定は人が行うべき」
AIの活用について、経営者たちに自由回答で課題や意見を聞いた。その結果、「AIの活用によって時間短縮できた分、従業員一人一人に生まれた時間をどのように生産性向上につなげるかが課題だと感じている」(北海道・建設業)、「AIによってとても助かっているが、自分が主で、AIは秘書の立ち位置が重要だと思う」(福島県・建設業)、「AIはとても便利だと思うが、100%の信用はしていないので、アドバイス程度に活用した方が良い。最終的な判断は人が行うべきだと思う」(宮城県・サービス業)などの声が寄せられた。「うまく使えば有効だが、使い方が分からないのでセミナーなどで知識を深めたい」(石川県・サービス業)との声もあった。
■専門家「情報管理や社内ルールの整備も重要に」
今回の調査結果では、現在AIを利用している経営者は既に3分の2に達し、業務で活用する企業も半数を超えていた。さらに、文書作成や情報収集などの定型的な業務だけでなく、経営相談やアイデア出しなど経営者の意思決定を支援する場面にも活用が広がっていた。
調査を監修した神戸大学経済経営研究所の柴本昌彦教授は、AIを「導入するかどうか」ではなく、どの業務で、どのように使いこなすかを考える段階に移りつつあると指摘。「時間短縮や業務効率化だけでなく、そこで生まれた時間や情報を、新たな付加価値や生産性向上につなげられるかが今後の重要な課題になります」としている。
一方でAIの活用に際しては、誤情報や情報漏洩への不安に加え、「使い方・活用方法がわからない」という声も多く見られた。柴本教授は、「AIの活用が広がるほど、出力内容を確認する力や情報管理、社内ルールの整備も重要になります。AIを単に導入するだけでなく、人が適切に判断しながら、自社の業務や経営にどう組み込むか。その力自体が企業の競争力を左右する段階に入りつつあると考えられます」と分析している。

「大同生命サーベイ」2026年8月度より
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