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「BCP策定予定なし」は4社に3社、小規模事業者ほど備えに遅れ  災害等で被害を受けた企業は約4割、“小さく始めるBCP”から一歩を

 大同生命保険(大阪市)は全国の中小企業経営者を対象に、景況感に加えさまざまなテーマを設定したアンケート調査「大同生命サーベイ」を2015年10月から毎月実施している。2026年7月度のテーマは「企業を取り巻くリスクへの備え」。全国の4822社の中小企業経営者を対象に、7月1日~28日にかけて、訪問、またはZoom面談で調査を行った

 全体として景況感については、「現在の業況」(業況DI)がマイナス10.6ポイント(前月差プラス4.1ポイント)と7カ月ぶりに改善。「将来の見通し」(将来DI)もプラス0.4ポイント(前月差プラス3.0ポイント)と改善傾向にあった。

■事業継続計画、7割が十分に理解せず、今後の策定予定もなし

 

 国は、事業継続計画(BCP)の策定を推進している。これは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した際に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画を指す。この「BCP」について、「名称・内容ともに知っている」企業は32%にとどまった。「名称は知っているが、内容は知らない」(26%)と「名称・内容ともに知らない」(42%)を合わせ、68%が内容を十分に理解していなかった。また、今後の策定については、74%が「予定なし」と回答した。

■4割が災害等で被害経験を持つも、「必要性を感じない」

 また、すべての都道府県で「地震」へのリスク認識に比べ対応準備の割合が低く、リスク認識が高い地域でも必ずしも備えが進んでいない様子も浮かび上がった。4社に1社は過去に災害等の被害を受け、実際に「損失が発生した」と回答。「損失は発生していないものの被害を受けた企業」を合わせると約4割の企業が、「災害等で被害を受けたことがある」ことが分かった。

 「BCPの効果」については、「事業の早期復旧」(33%)、「従業員の安心感」(33%)が最も多く、「お客さまや取引先からの信頼向上」(32%)も僅差だった。策定しない理由のトップは、「策定する必要性を感じない」(40%)。以下、「策定する⽅法がわからない」(32%)、「策定する⼈材・時間がない」(23%)と続いた。

■経営者、「小規模企業には負担」の声も

 経営者たちからは、「BCPの必要性を認識していなかったが、『事前対策と復旧に要する⽇数』との関連性を⾒て計画の必要性を初めて考えるようになった」(製造業・⻑野県)、「BCP策定などとハードルを上げずに、目先でできる事から企業は進めるべきだと感じる」(建設業・千葉県)などの声が寄せられた。また、「取引先に求められ策定をしたが、実際の運用については不明な点がある。同業他社間でも策定内容に違いがあるようだ。策定した内容が適切なものかの判断が難しい」(製造業・静岡県)、「『⼩売』という物流の⼀番最後の業種のため、メーカー等の状況に左右される部分が大きい。そのため、対策のしようがないのが事実。コストが必要な対策の強制は小規模企業には負担でしかない」(小売業・大分県)など、課題や厳しい現状を訴える声もあった。

■専門家、「小さく始めるBCPから一歩を」

 今回の調査では、企業を取り巻くリスクへの備えが十分に進んでいない実態が明らかになった。調査を監修した神戸大学経済経営研究所の柴本昌彦教授は、「リスクは普段は身近に感じにくい一方、いつ起こるか分からず、長い目でみれば直面する可能性は低くない。実際、今回の調査で、過去に災害等で被害を受けた企業は4割に及び、地震などを事業継続上のリスクと認識していても、実際の対応準備には至っていない企業も多く、リスク認識と行動の間に大きなギャップがみられる」と指摘。「とりわけ小規模事業者では、限られた人員や時間の中で日々の業務への対応が優先されがちだが、備えを先送りしたままでは、いざという時に事業そのものを守れない恐れがある」と警鐘を鳴らす。

 柴本教授は、「BCPは単なる災害対応マニュアルではなく、事業を継続し、経営者や従業員、顧客、そして地域を守るための経営基盤です。最初から完成度の高い計画を作る必要はありません。データのバックアップや災害時の備蓄、緊急連絡体制の整備など、まずは、既に行っている備えをBCPにつなげることから始め、不足する対策を一つずつ加えていくことが、有事への強さを高める第一歩となるでしょう」とアドバイスしている。

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