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オフに日本の自然と食を 【馬場典子 コラムNEWS箸休め】

 紙面のマッチ箱ほどのスペースに気になる記事が載っていました。インバウンドなどを取り込むため、国立公園に上質なホテルを誘致し自然体験を提供するモデル地域に、4カ所目の候補として沖縄県のやんばる国立公園が選ばれました。調べてみると、既に十和田八幡平国立公園の十和田地域(青森・秋田)と、中部山岳国立公園の南部地域(長野・岐阜)、大山隠岐国立公園の大山蒜山地域(鳥取・岡山)の3カ所が選ばれていて、環境省は来年春までに1〜2カ所に絞り込むそうです。

 私は仕事が好きですが、旅行も大好き。オンとオフのバランスが大事で、それは日々のちょっとしたことでも同じ。オフシーズンの旅行で、平日の昼間からゆっくりランチしてワインを飲んじゃうイタリア人に驚いたのも束の間、前世はヨーロッパ人なんじゃないかと思うくらい、ノリが合うことに気づきました。ヨーロッパを旅した時に現地で感じる、人・時間・空間の「ゆとり」は、本当に素敵。5日ほどを捻出するにも気苦労が絶えない日本人には、英語圏で2週間くらい、ヨーロッパでは3週間〜1カ月というホリデー、うらやましすぎます。

 その影響で、会社員時代は「週休1日制度」を唱えていました。そうして浮いた52日間を好きなように休める制度。家族サービスや自分の休養が必要な人は今と同じ週休2日。長期休暇でリフレッシュしたい! という人はまとめてドド〜ンと1カ月くらい休めちゃう。なんてことを会社に訴えられるはずもなく…。半年間ほぼ休みなしだけど、残りの半年は長いお休み、という噂(うわさ)を聞いて、フグ屋さんに嫁ぐのもいいな、などと妄想していました。

 インバウンドに話を戻しますと、IRなどのニュースが目立っていただけに、どのように日本ならではの自然体験を提供するのか、とても興味があります。食いしん坊としては、自然とつながっている「食」も世界に誇れるものだと思っていて、知人がまさに「日本を救う最後の資源は美食である」と著書に書いているのですが、うまく融合できたら素敵だなぁと期待も膨らみます。

 一方で、円安やインバウンドを受けて、国内でもホテルの値上がりを痛感し、名だたる店では大枚が必要となっている昨今、ツーリスト価格と住民の価格を区別するハワイのような制度を設けないと、日本人が日本の旅や食を楽しむことが難しくなるかもしれない…という心配も少し、頭をもたげています。

馬場典子(ばば・のりこ)/東京都出身。早稲田大学商学部卒業。1997年日本テレビに入社し、情報・バラエティー・スポーツ・料理まで局を代表する数々の番組を担当。2014年7月からフリーアナウンサーとして、テレビ・インターネット番組・執筆・イベント司会・ナレーションなど幅広く活動中。大阪芸術大学放送学科教授も務める。

(Kyodo Weekly・政経週報 2023年9月11日号掲載)

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