KK KYODO NEWS SITE

ニュースサイト
コーポレートサイト
search icon
search icon

パラアスリートの輝き 【平井理央 コラムNEWS箸休め】

 いよいよ五輪・パラリンピックイヤーですね。東京大会が1年延期になったため、間隔が3年となるパリ大会は、アスリートにとっては吉と出るか凶と出るか、代表争いも含めて目の離せない戦いが続きそうです。

 取材を始めて8年になるパラスポーツは、すてきなアスリートが本当にたくさんいて、推しの選手も両手で数えきれないほどいます。先日はパラスポーツジャーナリストとして、WOWOWさんがIPC(国際パラリンピック連盟)と共同で手がけている「WHO I AM」というドキュメンタリー番組で、車いすテニス世界ランキング1位、小田凱人選手のエピソードお披露目試写会のトークイベントに登壇しました。ファシリテーター(進行役)が松岡修造さん、登壇されたのが小田選手に加えて、東京パラの車いすバスケ銀メダリスト鳥海連志選手と競泳金メダリスト木村敬一選手という、そうそうたる顔ぶれでした。

箸休め

 普段だったら恐縮して、出演を辞退してしまいそうな状況なのですが、パラスポーツファンとしては、そんな場に行けるチャンスを逃すわけにいかないと思い、勇気を出して参加させていただきました。

 小田選手のドキュメンタリーは素晴らしかったです。サッカー少年だった9歳で、骨肉腫の発症により車いす生活となった中、車いすテニスと出合い、世界ランキング1位に。10歳の小田少年が、小学校行事の2分の1成人式で、夢は車いすテニスで世界一になること、お父さんとお母さんに恩返しがしたいと涙ながらに作文を読んでから、17歳で全仏優勝を飾るその軌跡は、小田選手が見せてくれる最高の生き様であり、勇気とやる気が胸にあふれてきます。

 現在17歳の小田選手がこれから一体どんな伝説を打ち立てていくのか、パラスポーツの話題ではなく、スポーツの話題として語られていく、そんな時代をつくってくれる予感がします。

 鳥海選手も、かっこいいと思った選手がたまたまパラアスリートで、そういう存在になりたいと語っていて、パラスターたちが創り出す新しい価値観にワクワクが止まりませんでした。

 ベテランの木村選手が紡ぎ出す言葉もハッとさせられることばかりでした。「人類がどこまでやれるか、僕たちはその限界に挑戦してる」と、その過程や花開く瞬間をぜひ目撃したい!
 となると、パリも行きたくなっちゃうんだよなぁ。そんなぜいたくな悩みをしばらく抱えていこうかなと思っています。

わが子、はや〝少女〟に 【平井理央 コラムNEWS箸休め】 画像2

平井理央(ひらい・りお)/1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。

(KyodoWeekly 2024年1月15日号より転載)

編集部からのお知らせ

新着情報

あわせて読みたい