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オタネニンジン安定供給確立へ ニシキゴイのふんを栄養分に栽培 NTT東、再春館が共同実証実験

水耕栽培されているオタネニンジン

 NTT東日本(東京都新宿区)と再春館製薬所(熊本県益城町)が、薬用植物オタネニンジン(高麗ニンジン)の持続可能な国内水耕栽培モデルの構築を目指す実証実験を始めた。養殖魚のふんをオタネニンジンの栄養分として活用する循環型栽培システムと、最適な栽培環境をつくるICT(情報通信技術)を組み合わせた水耕栽培モデルで、希少な薬用植物であるオタネニンジンの国内安定供給体制を確立したい、としている。

 実証実験は、NTT中央研修センタ(東京都調布市)内に新設した「Aquaponics Lab(アクアポニックスラボ)」で実施。ラボ内には養殖中のニシキゴイが泳ぐ筒形の水槽が3台あり、隣の3段の棚でオタネニンジンが栽培されている。ずらりと並んだオタネニンジンは紫色のLED照明に照らされ、いずれも順調に育っているという。すべて国内で栽培された苗(2年根)を水耕栽培の棚に移し替えて育てたもので、数カ月で収穫できるという。

ニシキゴイが泳ぐ水槽。ニシキゴイのふんは微生物で分解され、養液として右のオタネニンジンの水耕栽培棚に送られる=東京都調布市のNTT中央研修センタ(NTTe-City Labo)内アクアポニックスラボ、2026年6月2日

 

 ニシキゴイのふんは水中微生物で分解され水耕栽培養液の栄養分となり、オタネニンジンの成長を促進。養分吸収後の水は浄化されてニシキゴイの水槽に戻ってくる。このような水と栄養が循環する魚の養殖と植物栽培を組み合わせた手法は「アクアポニックス」と呼ばれ、水資源を節約し農薬・化学肥料を使わない環境負荷の少ない次世代生産システムとして注目されているという。NTT東日本によると、アクアポニックスの手法でオタネニンジンを栽培する試みは世界で初めてという。

水耕栽培で1~2カ月育ったオタネニンジンを右手に、水耕栽培用に植える苗(2年根)を左手に持つアクアポニックスラボの担当者

 

 今回の実証実験では、温度や湿度などオタネニンジンの生育環境を自動制御できるNTT側のICT・人工知能(AI)分析技術と、オタネニンジンの根の成分を原料とした化粧品などを製造販売する再春館製薬所側の知見を合わせた。最適な成育環境値を追求し、農薬を使わないため活用の余地が出てくるオタネニンジンの根以外の葉・茎の利用可能性などを検証するという。葉や茎の成分分析には化粧品原料の研究開発などを行っているテクノ―ブル(大阪市)も参画する。

 実証実験開始に伴い6月2日にNTT東日本研修センタで開いた両社の記者会見には、NTT東日本営業戦略推進部次長の佐藤文武さんと再春館製薬所ポジティブエイジ統括本部経営責任者の間地大輔さんが出席。

記者会見するNTT東日本営業戦略推進部次長の佐藤文武さん(左)と再春館製薬所ポジティブエイジ統括本部経営責任者の間地大輔さん=東京都調布市のNTT中央研修センタ、2026年6月2日

 

 佐藤さんは「NTTはICTを活用した一次産業の発展にこれまでも取り組んできました。オタネニンジンの力を余すところなく引き出していきたいという再春館製薬所さまの思いに共感し、一緒にオタネニンジンの安定供給などに取り組むことになりました」と述べ、「AIや各種センサーを活用したNTTのICTで生育環境を“見える化”して生産の安定と作業の効率化、省人化、自動化を実現し、持続可能性と生産性を両立させた栽培モデルをつくっていきたい」と話した。

 またオタネニンジンの市場規模は「昨今の健康ブームによるウェルビーイング領域での利用拡大で300億円に伸びている」として「ビジネス上のチャンスはある」との認識を示した。

 間地さんは「オタネニンジンは当社の主力商品に必ず配合されている不可欠の原料であり、創業以来、このオタネニンジンの計り知れない力に当社は支えられてきました。オタネニンジンの成分を引き出して活用する知見・技術が当社にはあり、そこにNTT東日本さまのICT・環境制御技術が組み合わさることで、単なるオタネニンジンの安定供給を超える成果を期待しています」と述べ、根以外の葉・茎の成分分析結果を踏まえた活用策を今後検討する意向を示した。

 日本で使われているオタネニンジンは中国吉林省産など99%が輸入品。土壌栽培は生育期間が長く、土壌劣化もあり、連作は難しいとされている。

  • 水耕栽培されているオタネニンジン

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