シナモンの香り成分に“つながり”を促す作用? 鹿児島大などが発見、社会的フレイル予防への応用に期待
アップルパイや生八ツ橋など、日常のさまざまな食品で親しまれているシナモン。その豊かな香りの成分に、社会性を高めて他者とのつながりを促す効果があることが判明した。鹿児島大学水産学部の塩崎一弘教授らとクラシエ漢方研究所の共同研究グループが発表した。高齢化に伴い深刻化する「社会的フレイル(社会とのつながりの低下)」の予防や改善への貢献が期待されるという。
研究グループは、漢方薬に用いられる生薬ケイヒ(シナモン)に着目し、小型熱帯魚のゼブラフィッシュを使って実験を行った。シナモンの主要な香り成分である「シンナムアルデヒド」を投与したところ、見知らぬ集団に対して自ら近づいていく行動が明らかに増加。この変化は攻撃性が増したためではなく、他者への純粋な関心や社会性が高まった結果であることが確認された。
研究では詳しいメカニズムも解明された。シンナムアルデヒドが体内に取り込まれると、まず肝臓でホルモン「FGF21」の生成が増加。そのシグナルが脳へ伝わることで、愛情や信頼感に関与する神経ペプチド「イソトシン」(ヒトのオキシトシンに相当)が活性化し、社会的な行動が引き起こされるという。研究成果は2026年6月、食品科学分野の国際学術誌「Food & Function」に掲載された。
高齢化が進む現代社会において、人との交流や社会参加が減ってしまう社会的フレイルは大きな問題。単なる孤立にとどまらず、身体機能の低下やうつ症状、要介護状態や認知症のリスクを高める原因として懸念されている。これまで社会性を直接高めるような食品成分や生薬についての科学的な検証は限られていた。
伝統的な生薬や身近なスパイスとして親しまれてきたシナモンの香りが、将来的に高齢者の孤立を防ぎ、健康寿命を延ばす新たなアプローチとなるのか。今後はヒトを対象とした検証が必要となるが、研究チームは、今回の研究が高齢者の社会的フレイル対策への応用につながることに期待を寄せている。

小型熱帯魚のゼブラフィッシュを使って実験を行った














