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若者と地域企業をつなぐ新たな挑戦「みえプラス」 沼尾波子 東洋大学教授 連載「よんななエコノミー」 

 三重県では、大学進学を機に若者が県外へ流出し、そのまま地元に戻らない状況が続いている。大学進学者の約8割が県外大学を選択し、就職時に県内に戻るのは半数程度という。戻っても県外企業に就職する学生も多い。

 こうした課題に対し、地域の企業や学生がともに関わりながら、新しい形で若者と地域をつなぐ取り組みとして始まったのが「みえプラス」である。採用支援会社O‒GOEが事務局となり、県内企業のスポンサーシップを基盤に、学生支援や企業の認知度向上、採用力の強化などを一体的に進める。

 O‒GOEは県の受託事業として、都市部にて学生と企業の交流会運営を担当してきたが、中小企業からは「交流会に参加する意識の高い学生は就職活動での実績づくりのための参加が多く、結局、三重県で就職しない」「都会志向の学生ばかりで、地元に残る学生と出会えない」という声が多く寄せられた。 

 企業は「無料でなくてもいいから、地元に残る学生と会いたい」と訴えていた。こうした声を受け、若者が「三重で暮らしたい・働きたい」と思えるきっかけづくりを意識した仕組みを構築したという。

 大手就職サイトでは中小企業が埋もれてしまうため、三重県に特化した仕組みを作り、企業からの収益の一部を学生支援に回すモデルを作った。

 企業はスポンサーとして金銭的支援や物資提供を行い、学生を応援する。奨学金返済負担、コミュニケーションが苦手、生活費不足などの課題に対し、食料支援「仕送り便」、1人参加歓迎の交流イベント、就活交通費補助などを実施。

いちご狩り×就活カフェトークで交流する、学生と企業担当者=株式会社OーGOE提供

 

 各種イベントでは、遊び・交流・就活支援を組み合わせ、三重県との接点を増やしながら、学生と企業が気軽に出会い、交流できる場を創出している。例えば「夜カフェ合同説明会(合説)」や「夜スイーツ合説」イベントを開き、学生がリラックスした雰囲気で企業担当者と話せる場を設ける。

 この他にも、観光地を巡るバスツアーや地域清掃活動、学生と社会人が交流するイベントなどを通じて、三重の自然や文化、産業に触れる機会を広げている。

 こうした活動は、学生が地域に対する関心を深めるとともに、企業や地域の人々との関係を築くきっかけとなっている。企業からは「内定辞退が減った」などといった手応えが出ているという。

 学生自身がプロジェクトの担い手として関わる点も特徴的だ。学生スタッフがイベントの企画運営や企業取材に参加し、学生の視点で地域企業の魅力を発信する就職情報サイト「みえプラスジョブ」の運営も行う。

 2023年6月の立ち上げから2年半で、賛同企業は300社を超え、参加学生も900人以上に広がった。若者と地域企業をつなぐ新しい取り組みとして、地域ぐるみで人材を育て、地域の未来を支えていこうとする動きが広がりをみせる。
(東洋大学教授 沼尾波子)

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.14からの転載】

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