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低価格コンピュータで学習&推論可能なAI基盤モデルを開発

軽量かつ既存の大規模AIモデルと同程度の性能を達成

2024年2月21日
岐阜大学

低価格コンピュータで学習&推論可能なAI基盤モデルを開発 軽量かつ既存の大規模AIモデルと同程度の性能を達成

 

【本研究のポイント】
・低価格なコンピュータ(GPU)で物体認識などの推論が可能なマルチモーダルAI基盤モデルを開発
・効率の良いマルチモーダルAIの学習方法の提案
・軽量でありながら、既存の大規模AIモデルと同程度の性能を確認

【研究概要】
 岐阜大学工学部の加藤邦人教授と日本車輌製造株式会社の共同研究チームは、物体認識、物体検知などAIの適用先の範囲を適度に限定することで、軽量ながらも既存の大規模モデルに匹敵する性能を持つ汎用マルチモーダルAIの基盤モデルを開発しました。このAIモデルでは、学習と推論を低価格なコンピュータ(GPU)上で効率的に行うことが可能です。また、この研究はAIの学習コストを大幅に削減するという重要な進歩を示しました。
 この成果は、2024年2月20日にコンピュータービジョンの国際ワークショップIW-FCVで発表されました。

【研究背景・成果】
 言語や画像など、多様な情報を理解するマルチモーダルモデル1)は、画像認識や画像自動生成など飛躍的な性能向上を実現しています。最近では、OpenAI社のGPT-4などを筆頭に、莫大な知識と幅広い認識(マルチタスク2))を実現するAI基盤モデルの開発競争が世界的に行われています。しかし、これらの大規模AIモデルは、性能向上に伴い、モデルサイズの増加(メモリー量の増加)と学習コストの上昇という課題を抱えており、開発には莫大な投資が必要になってきています。また、AIの適用先を産業への応用に限定した際には、必要とされる汎用性は必ずしも広範囲にわたるものではないため、限られた計算資源の中での軽量化が求められています。
本研究では、AIの適用先を適度に限定し、学習プロセスを最適化することで、軽量、低学習コストながら実用的な性能を達成する新しいAI基盤モデルを開発しました。特に、特定のタスクへの適用(ファインチューニング)において、既存の大規模AIモデルに匹敵する性能を達成しています。

【今後の展開】
 現在、開発したモデルは単一画像入力のみ対応しておりますが、複数画像入力への対応を目指しています。これにより、鉄道車両の生産時に起こりうる説明性の高い異常検知への応用など、産業分野におけるさらなる応用の可能性が拓けます。

【用語解説】
1)マルチモーダルモデル:
異なる種類のデータ(画像、テキスト、音声など)を統合して解析することができるモデル。
単一データを扱うモデルに比べ顕著に成果が出ている。
2)マルチタスクモデル:
複数の認識タスクを同時に学習することで、複数タスク(例えば画像認識、物体検出、画像の説明など)にまたがった知識を獲得するモデル。例えば、物体検出タスクには含まれない検出対象でも、画像の説明タスクで学習した知識を用いて物体検出が可能となる。

【論文情報】
雑誌名:IW-FCV 2024
論文タイトル:Constructing Lightweight Large Vision-Language Model
著者:梁瀬 和哉、軸屋 敬介、表 英輝、土田 裕登、加藤 邦人(岐阜大学)

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