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「台湾への愛、行動に」 台湾観光アップデートセミナーで旅行者増訴え

 台湾観光庁と台湾観光協会は4月11日、東京都内のホテルで、毎年恒例の観光プロモーションイベントとして「2024台湾観光アップデートセミナー」および「観光商談会」を開催、日台双方の観光業界関係者ら約200人が参加した。4月3日に発生した台湾東部沖地震の影響が懸念される中、台湾側からは「政府の迅速な対応と強靱(きょうじん)な回復力もあり、既に(観光客を迎える)準備は万全です」(周永暉・台湾交通部観光署署長)といったメッセージのほか、新型コロナウイルス禍前との比較で日本人の訪台客数の回復が4割程度にとどまっていることを挙げ「台湾への愛を行動に移してほしい」(葉菊蘭・台湾観光協会会長)といった期待が語られた。日本旅行業協会の小谷野悦光副会長は「日本では物価高や円安といった新たな課題もある。いかに付加価値の高い旅行商品を作るかがキーになる」と応じた。

台湾観光庁の周永暉署長(左)と台湾観光協会の葉菊蘭会長

 

▽地震の影響は短期

 台湾観光庁の周署長は、台湾東部沖地震に関し「一般的にこうした天災の観光業への影響は2カ月とされている。しかし、今回台湾では鉄道は1日、主要道路は3日で復旧した。この様子からすると、マイナス影響が続く期間はもっと短くなると確信している」と話した。

商談会の様子

 

 セミナーの前に開催された商談会には台湾から24の、日本から20の旅行社やホテル、自治体などが参加した。そこでも、地震の悪影響は残るものの、キャンセルなどが相次いだ地震発生直後の最悪期は脱し通常の状態に戻っているとの声が聞かれた。台北福華大飯店の担当者は「例年4~5月のゴールデンウイークに向けた予約が入ってくる時期だが、今年は動きが鈍い」と指摘。日本の大手旅行社の担当者も「台湾旅行の引き合いは1~2割減。代わりに韓国が増えている」と説明した。

 一方、別の日本の老舗旅行社の担当者は「発災して間もなく周署長から台湾の安全性を説明する文書が日本の各社に届いた。うちでは、それを社内で共有し、団体旅行など各種事業を予定通り進めている」と話した。また地震が起きた台湾の東海岸とは逆の西海岸側にある苗栗県の関係者は「とりあえず東側は、地震の影響はないだろうということで、逆に予約数が増えた」と打ち明けた。東京に拠点を置く新興旅行社の担当者は「地震直後にはガクッと落ちた感じはあったが、もう戻っており新規予約も普通に入ってきている」と話した。

▽コロナ禍前への回復を

 台湾側にとっては、地震の影響よりも日本からの旅行者数がコロナ前の水準に戻らないことの方をより深刻に捉えている。コロナ前の2019年と23年を比べると、台湾から日本への渡航者数は約490万人が約420万人と85%回復したのに対し、日本から台湾は約215万が約93万人と43%の戻りにとどまっている。台湾観光協会の葉会長は、コロナ禍からの経済回復があり24年は世界の観光業の一段の成長が見込まれるとの分析を紹介。また、日本国内のゴールデンウイークの旅行先に関するインターネット検索で台湾が2位になっているといった事例を挙げ「日本人の台湾への関心は衰えていない。何とか日台往来のアンバランスを解消させたい」と話した。

 ただ背景には、海外旅行に不利となる円安の継続や、コロナ禍を経たことによる日本人の旅行行動の変容もある。日本のある旅行社の担当者によると、日本人の旅行先別に見たコロナ禍前後の渡航者数の回復率は、台湾の43%も非常に高い数字なのだという。台湾以上なのは、5割程度の韓国だけで、ほかは3割以下がほとんどだという。葉会長が「日本は、北は北海道から南は沖縄まで国内に多様な旅行先があり、なかなか外国に関心が向かない事情も理解できる」と話す。円安による経済的理由も重なり日本人が国内旅行を優先するようになったという変化があるようだ。

「共に頑張ろう」の掛け声に合わせ拳を上げる日台の観光関係者

 

▽ハンディ乗り越え

 こうした〝ハンディ〟を乗り越えようと、台湾では日本のエージェントや個人向けにさまざまなキャンペーンや割引のサービスを展開している。エージェント向けの「地方チャーター誘致助成プログラム」では、非定期便1機あたり最大で137万円程度が助成される。またクルーズ旅行で、外国籍および大陸籍大型定期客船1隻が台湾に停泊する場合は最大1万5千ドルを助成、離島に関しても乗客数や訪問する島の数に応じて助成金を設定している。

 個人向けにも、台湾の到着空港で5000台湾元(約2万4千円)が抽選で当たる「台湾ラッキーランド」や、新規にパスポートを取得したか更新した旅行者が台湾の航空会社を利用する場合に抽選で5000円を割り引くキャンペーンも実施している。観光そのものに関しても、多様な自然、食、文化を楽しめるさまざまな旅行商品を展開。4月13、14日には渋谷ヒカリエで、観光庁主催で「2024台遊館in渋谷」(入場無料)を開催する。

 観光庁の周署長は「鉄道好きの『鉄ちゃん』向けの鉄道旅や、バードウオッチング愛好家に特化した観光、先住民の集落を訪れるサステナブルツーリズムといったテーマ別の旅も提案している。1度だけでなく、2度、3度と台湾に来てほしい」と訴えた。在東京大使館に相当する台北駐日経済文化代表処の謝長廷大使は「台湾と日本は近年、それぞれの自然災害の際に助け合うという国際友好の最高の形を示している。ツバメが春を運んでくるように、日本からたくさんの訪問者が台湾を訪れることを期待している」と話した。

あいさつする台北駐日経済文化代表処の謝長廷大使

 

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