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持ち運びできる「移動式キッチン」を試作  クリナップら開発、都内で披露

「移動式キッチン」の試作品を披露するクリナップの社員=東京都新宿区の武蔵野美術大市ヶ谷キャンパス

「移動式キッチン」の試作品を披露するクリナップの社員=東京都新宿区の武蔵野美術大市ヶ谷キャンパス

 

 キッチンメーカーのクリナップ(東京都荒川区)は3月7日、持ち運びできる「移動式キッチン」の試作品を発表した。居間や個室での使用のほか、停電・断水時など災害時の利用も視野に入れた試作品で、今後商品化に向け、改善を重ねるという。

 試作品はシンク、IHコンロ、調理台の機能を持つ同じ大きさの3つの箱型の器(幅60センチ、奥行き48センチ、高さ20センチ)からなる。シンクはろ過装置とリチウムイオン電池を内蔵。シンクに注いだ水はシンク内でろ過洗浄し繰り返し使う。このため水道を使えない居間や個室、屋外のほか、断水時の被災地でも、このシンクを持ち運べば調理の際に必要な水を扱える。水はシンクに手をかざすと出る。水をろ過するフィルターは自動洗浄されるので、長期間取り替える必要がない、という。

シンクを持つクリナップ社員。軽いので1人でも持ち運べる

シンクを持つクリナップ社員。軽いので1人でも持ち運べる

 

  シンクなどの器は、部屋のテーブルに置いたり、家具調の専用4本脚に載せたりして使う。居間や個室などの生活空間に調和するような器の形や素材も工夫したという。

 試作品は、武蔵野美術大(東京都小平市)との共同プロジェクト(未来キッチンプロジェクト)の成果で、同大学生の発想も取りいれた。同大市ヶ谷キャンパス(東京都新宿区)で3月7日に開いた試作品のお披露記者会見では、共同プロジェクトに関わった同大学生が、試作品の使用場面を提案。トレーニングジムにキッチンを運び料理とダイエットを楽しんだり、地元のお祭りにキッチンを持ち込み屋台のように使ったりするなど、移動式キッチンの楽しみ方を提案した。

試作品の使用場面を提案する武蔵野美術大の学生ら

試作品の使用場面を提案する武蔵野美術大の学生ら

 

 記者会見であいさつしたクリナップの竹内宏社長は「移動式キッチンは非常に大きな挑戦だが、新型コロナなど社会の変化に応じて人々の生活スタイルは変わっており、キッチンも従来の家の間取り(LDK)にとらわれた発想から自由になる“脱LDK”が求められている。試作品の完成で脱LDKが前進した。2030年までに移動式キッチンを事業化していきたい」と述べた。

 クリナップの藤原亨常務執行役員は「(今回の試作品は)居間や個室などにキッチンを持ち運んで調理を楽しむ通常時の使用を主に想定しているが、災害時に使用される可能性もある。今回やっとわれわれが考える“未来のキッチン”を“形”にすることができたので、移動式キッチンの用途の可能性を広げる異業種との連携を今後本格的に模索していきたい」と記者会見後の取材で話した。

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