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【はばたけラボ 子育て質問箱】受験が近づくにつれて家庭内全体に緊張感が・・・ 家族はどうしたらいい?

 未来世代がはばたくために何ができるかを考えるプロジェクト「はばたけラボ」。食べること、くらすこと、周りと関わること、ワクワクすること・・・。今のくらしや感覚・感性を見直していく連載シリーズ。今回は、弁当作りを通じて子どもたちを育てる「弁当の日」の提唱者・竹下和男(たけした・かずお)先生が、受験生を抱える家族の在り方について答えます。

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受験が近づくにつれて家庭内全体に緊張感が・・・ 家族はどうしたらいい?

 【質問】

 中学3年生の娘がいる父親です。高校受験に向けて、夏期講習あたりから家の中の雰囲気がピリピリしてきました。母親も、娘のサポートと仕事の両立で忙しくなってきたせいか、イライラすることが増えています。父親の私は、平日は帰宅も遅く、土日しか家族と一緒に過ごせませんが、どんなサポートができるでしょうか。

▼合否は単なる他人の判定。少し先の未来を見据えて、たくましく生きて行こう

【竹下和男先生の回答】

  娘さんは、夏期講習をお受けになったのですね。「〇〇高合格」が自分だけではなく、家族みんなの目標であることを、家庭の空気から肌で感じています。遊びたい盛りの思春期なのに、それを我慢して受験勉強最優先で生活しています。勉強が思うように進まないと、ささいなことでもイライラが自然と湧いてきますから、家族間に緊張感が走ります。この緊張感は期待感が重圧になっている現れです。

 私には、中学校での勤務経験が17年あります。学校生活を楽しんでいる1~2年生から「3年生にはなりたくない」という声をよく聞きました。先輩の3年生をみて、受験生活の重圧を嫌がっていたのです。夏休み中の総合体育大会が終わると、部活動では2年生以下による新人戦向けの練習が始まります。秋の文化祭や運動会の中心も、2年生以下の生徒会が中心で実施されるようになります。つまり、3年生は、受験勉強に集中できるよう、学校行事の仕事から解放されるのです。まるで、家庭内で受験生が家事から解放されるように。学校も高校受験が最重要課題という環境になっています。

 こんな環境の中では、特に母親が娘の合格のために細やかな気配りをすることが多いです。母娘関係がよければ心配には及びません。阿吽(あうん)の呼吸で家庭勉強に集中できていることでしょう。気配りが過ぎれば「そこまでしないほうがいいよ」とブレーキ役をするのが父親の役目です(もちろん家庭によって父母の役割はそれぞれです)。

 受験勉強で一番大切なことは合格することではありません。目標に向かって「努力を惜しまない心身」を鍛えることなのです。なぜかというと、合否は他人が判定します。自分の人生が他人の判定で決まってしまうと考えるべきではありません。努力することが苦痛にもなります。でも、「努力を惜しまない心身」は自分でつくれるし、たとえ不合格になっても、その後の人生には必ず役立つからです。

 目先のことはもちろん大切です。でも、人生はまだまだ続くのだから、もう少し先の未来を考えて、今をしっかり、たくましく生きていこうと言ってくれる存在が必要です。「結果がどうであれ、がんばっているお前が好きだよ」で、いいんじゃないですか。

 「がんばる力が身につけば、人生は何とかなるからね」

竹下和男(たけした・かずお)/1949年香川県出身。小学校、中学校教員、教育行政職を経て2001年度より綾南町立滝宮小学校校長として「弁当の日」を始める。定年退職後2010年度より執筆・講演活動を行っている。著書に『“弁当の日”がやってきた』(自然食通信社)、『できる!を伸ばす弁当の日』(共同通信社・編著)などがある。


  #はばたけラボは、日々のくらしを通じて未来世代のはばたきを応援するプロジェクトです。誰もが幸せな100年未来をともに創りあげるために、食をはじめとした「くらし」を見つめ直す機会や、くらしの中に夢中になれる楽しさ、ワクワク感を実感できる体験を提供します。そのために、パートナー企業であるキッコーマン、クリナップ、クレハ、信州ハム、住友生命保険、全国農業協同組合連合会、日清オイリオグループ、雪印メグミルク、アートネイチャー、東京農業大学、グリーン・シップ、ヤンマーホールディングス、ハイセンスジャパンとともにさまざまな活動を行っています。

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