KK KYODO NEWS SITE

ニュースサイト
コーポレートサイト
search icon
search icon

【映画コラム】4月後半公開の映画から『人はなぜラブレターを書くのか』『今日からぼくが村の映画館』『ソング・サング・ブルー』

『今日からぼくが村の映画館』(4月17日公開)

(C)Casablanca Cine 2019

 南米ペルー、アンデスの小さな村に住む少年シストゥは、風が運んできた新聞の映画広告を手にする。導かれるままにたどり着いた移動映画館で初めて“映画”を知ったシストゥは、たちまちその物語に魅了される。やがてシストゥは週に1回“語り部”として、見た映画の内容を村のみんなに伝えることになる。

 監督は本作が長編映画第2作となるセサル・ガリンド。主人公シストゥ役に抜てきされたビクトル・アクリオ(素晴らしい!)をはじめ、キャストの多くに非職業俳優を起用。劇中ではペルーの公用語の一つであるケチュア語が使用され、ケチュア語映画としてペルー映画史上最高の興行収入を記録した。

 映画の冒頭で女性教師が、子どもたちに映画について説明する言葉が素晴らしい。「映画館は壁みたいなもの。そこに写真が浮かぶの。まるで生きているように写真が動いて目と心を喜ばせる物語を見せるのよ。実際にそこにはいない。存在するものもしないものも何でも見られる。映画館ではいろいろなものが見られるわ。喜びも悲しみも、生も死も、太陽も月も。魔法じゃないわ。物語を伝えるために人間が発明したのよ」

 それを聞いたシストゥは映画について、両親に「魂がないのに動く。本当のことみたいに夢を見られる。よその町の物語を持ってくるんだって」と語る。

 このやり取りからも分かるように、映画館もテレビもインターネットもない村が舞台だからこそ、映画が本来持っている魅力や効用が明らかになり、映画についての原風景や原体験が浮かび上がる。映画の語り部となったシストゥは、まるでサイレント映画の弁士のようだ。

 登場する映画は、『風と共に去りぬ』(39)『燃えよドラゴン』(73)『魔人ドラキュラ』(31)『ドラゴン危機一発』(71)『モホークの太鼓』(39)ほか。

 本作は、アンデス版『ニュー・シネマ・パラダイス』と言われるが、もっと素朴で素直な印象を受けたし、なるほどそう来たかという見事な落ちがつくラストシーンもうれしくなった。

 ペルーの映画を初めて見たが、いつの間にか忘れてしまった、映画を見る初々しい喜びやワクワク感を改めて思い出させてくれるような傑作だった。

  • (C)2026 映画「人はなぜラブレターを書くのか」製作委員会

編集部からのお知らせ

新着情報

あわせて読みたい