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「働きながら学び直す」を国が支える新制度──40代・50代会社員のための教育訓練休暇給付金

「学び直したい。でも、仕事を辞めるわけにはいかない」。そんな板挟みで、一歩を踏み出せずにいる方は多いのではないでしょうか。40代・50代になると、ふだんの業務に加えて、家族の事情もあり、まとまった学びの時間をつくるのは容易ではありません。そんな中、2025年10月から、在職中に休暇を取って学び直しに専念する人を支える、新しい制度が始まりました。名前は「教育訓練休暇給付金」です(厚生労働省「教育訓練休暇給付金」 )。働きながらでも学びの時間を取りやすくする制度、といえます。

どんな制度なのでしょうか。ひとことで言えば、無給の休暇を取ってじっくり学ぶ期間の生活費を、雇用保険が支えてくれる仕組みです。休暇のあいだ、失業給付(基本手当)に相当する金額が給付されます。支給額は休暇開始前6か月間の賃金日額をもとに算定され、賃金のおよそ5割から8割ほどが目安となります(60〜64歳の方は下限がおよそ4割5分となります)。受給できる期間は、教育訓練休暇の開始日から起算して1年間です。また、給付を受けられる日数の上限は、雇用保険への加入期間によって異なり、加入期間が5年以上10年未満の場合は90日、10年以上20年未満の場合は120日、20年以上の場合は150日となっています。「無給の休暇を取ると生活が心配で、学び直しに踏み切れなかった」という現役世代の悩みに、応えるための給付です。

使うには、いくつか条件があります。まず、雇用保険の一般被保険者であること。そして、休暇の直前2年間に、12か月以上の被保険者期間があることが必要です(原則、1か月あたり11日以上の勤務実態がある月が対象です)。さらに、雇用保険に加入してきた期間が、通算で5年以上あることも求められます。長く会社員として働いてきた40代・50代なら、多くの方が要件を満たすはずです。休暇そのものは、業務命令ではなく、就業規則などに基づいて、労働者側から申し出て取得する「無給の教育訓練休暇」で、連続30日以上のものが対象になります。制度は始まったばかりなので、勤め先での運用は、これから整えていく会社も少なくないはずです。なお、この給付金を受給した場合、それ以前の被保険者期間はリセットされ、一定期間は失業給付などが受け取りにくくなる点にも注意が必要です。

使い方の想像を、少しふくらませてみましょう。たとえば、これまで営業畑を歩んできた50代の方が、2か月間の休暇を取って、簿記やデータ分析の集中講座に通う。子育てが一段落した40代の方が、3か月かけて、社会福祉士の受験勉強に取り組む。あるいは、副業や小さな起業を視野に入れ、Web制作やマーケティングの実践講座に集中するという選び方もあります。いずれも、これまでは「働きながらでは無理」「辞めてまでの余裕はない」とあきらめられてきた選択肢です。それが、給付金という支えを得て、現実的な選択肢として見えてきます。

対象となる学びは、大学・大学院・高等専門学校・専修学校・各種学校が提供する教育訓練、教育訓練給付金の指定講座、そのほか職業安定局長が定める職業に関する教育訓練(語学留学や海外大学院での修士号取得なども含まれます)と、幅広く想定されています。国家資格の取得を目指すもの、専門知識を体系的に学ぶもの、実践的なスキルを身につけるものが中心です。趣味の範囲を超えた、キャリアや働き方につながる学びであれば、多くのケースで検討の余地があります。詳しい対象は、ハローワークの窓口や、通う予定の教育機関に確認するのが確実です。

気をつけたい点も、あわせて整理しておきます。給付を受けるには、勤め先で「無給の教育訓練休暇」の制度が就業規則や労働協約等に定められていることが前提です。就業規則にその定めがない場合、まずは会社と相談する必要があります。また、休暇の取得は会社の承認が必要であり、有給休暇や育児・介護休業との併用はできません。休暇の間の社会保険料の扱いや、復帰後の待遇についても、事前に確認しておくと安心です。一人で判断せず、勤め先の担当者や、地域のハローワークに聞いてみるのがいちばん確実です。学び直しは、遠回りに見えても、この先の働き方の選択肢を広げる投資になります。今日、明日にでも動く必要はありません。まずは制度の存在を知り、自分の勤め先ではどう扱われるかを、来年、再来年の話として頭の隅に置いておく。その一歩から、「いつか」が「いつから」に変わっていく。それこそが、この制度がもたらす、最も大きな変化かもしれません。

<筆者略歴>

新井 一:起業コンサルタント 1996年 23歳で会社員のまま起業
2007年 起業支援を本格スタート(現・起業18フォーラム)

新井 一:起業コンサルタント

(新井 一:起業コンサルタント)

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