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定年後の再雇用で年収は平均44%減。40代から始める「収入の崖」対策

定年後も同じ会社で働き続ける「再雇用」という働き方が一般的になっています。パーソル総合研究所の調査では、再雇用された人の年収は平均で44.3%減少していることが明らかになっています(パーソル総合研究所https://rc.persol-group.co.jp/news/202105281100.html)。約9割の人が年収の低下を経験し、約半数は年収が半分以下になりました。一方で、仕事の内容が定年前と「ほぼ変わらない」と答えた人は過半数にのぼっています。同じ仕事をしているのに、収入だけが大きく下がる。これが、多くの再雇用社員が直面している現実です。

Bさん(47歳、食品メーカー勤務)の部署にも、昨年60歳を迎えて再雇用に切り替わった先輩がいます。役職は外れましたが、担当業務はほとんど変わっていません。それでも月給は約4割減ったと聞きました。仮に定年前の月給が40万円だったとすると、再雇用後は24万円前後になる計算です。そこから税金や社会保険料が引かれるため、手取りはさらに少なくなります。Bさんは「自分も13年後にはこうなるのか」と、初めて定年後の収入について真剣に考え始めました。

40代のうちに、再雇用後の収入がどれくらい変わるのかを数字で把握しておきましょう。全体像が見えれば、足りない分をどう準備するか考える時間が生まれます。

年収が大きく下がる理由は、主に3つあります。

1つめは、雇用形態の変化です。多くの企業では、定年を境に正社員から有期契約の嘱託社員へ切り替わります。厚生労働省が2025年12月19日に公表した令和7年「高年齢者雇用状況等報告」によると、65歳までの雇用確保措置として継続雇用制度を選んでいる企業が65.1%を占めています。定年そのものを65歳に引き上げている企業は31.0%にとどまり、約3分の2の企業では60歳で一度雇用形態が変わります(厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66853.html)。65歳以上を定年とする企業は全体の34.9%で、前年から2.3ポイント増えてはいますが、まだ少数派です。

2つめは、国の給付金の縮小です。60歳以降に賃金が75%未満に下がった場合に支給される高年齢雇用継続基本給付金は、2025年4月から給付率が15%から10%に引き下げられました。この給付金の上限給付率は25%から15%へ、そして2025年4月からは10%へと段階的に引き下げられてきました。さらに、2020年の通常国会で廃止がすでに法律として可決・決定されており、2030年の廃止が予定されています。かつては収入減の緩衝材として頼りになる制度でしたが、その効果が年々薄れているのです。

3つめは、役職手当の消失です。再雇用後は管理職のポストから外れることが一般的で、基本給だけが残る形になりがちです。加えて、業績連動型のインセンティブも対象外になるケースが少なくありません。結果として、定年前と同じ仕事をしていても、手元に届く金額には大きな開きが生まれます。

では、40代の今から何を準備できるでしょうか。慌てて転職する必要はありません。まず、勤務先の就業規則で再雇用後の処遇がどう定められているかを確認してみてください。再雇用時の給与水準、契約期間、賞与の有無といった条件は企業ごとに異なります。退職金の見込額と再雇用後の想定年収を並べるだけでも、将来の家計の姿がかなりはっきりします。

そのうえで、本業以外の収入の入り口を小さく用意しておくことが、現実的な備えになります。月に数万円の副収入でも、定年後の収入の落差を緩やかにするクッションになります。会社員としての経験や知識を活かせる分野であれば、始めやすく、長く続けやすい傾向があります。まだ時間のあるうちに選択肢を少しずつ増やしておくこと。それが、将来の自分への最も手堅い備えになります。

<筆者略歴>

新井 一:起業コンサルタント 1996年 23歳で会社員のまま起業
2007年 起業支援を本格スタート(現・起業18フォーラム)

新井 一:起業コンサルタント

(新井 一:起業コンサルタント)

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