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新語・流行語アレ模様 【馬場典子 コラムNEWS箸休め】

 現代用語の基礎知識選「新語・流行語大賞」のノミネート30語が発表されました。早いもので今年で40回目なのですね。ちなみに第1回(1984)の新語は「オシンドローム」でした。懐かしい。

Award nomination ceremony luxury background with golden glitter sparkles and bokeh. Vector presentation shiny poster.

 今年、まず驚いたのが「生成AI」と「チャットGPT」。えっ、もう年末!? と似た感覚で、そうだった、まだ今年だった! と改めてその勢いを実感。また、個人的に刺さったのは「地球の沸騰化」というグテーレス国連事務総長の言葉選びのセンス。そして、「新しい戦前」という、タモリさんの視野・視座と言葉の重み。どちらも警鐘ですし、現状を憂えているのですが、〝言葉の力〟には感銘すら受けました。

 一方、自分の情報源の狭さを痛感したのが、SNSの世界。TikTokで人気となった「新しい学校のリーダーズ/首振りダンス」や「ひき肉です/ちょんまげ小僧」などは初めて知りました。齢(よわい)49。当然ながら年々、若者の流行に置いていかれます。大阪芸大で学生たちに囲まれてはいますが、不特定多数に通じる伝え方などを教える授業なので、学生たちは普段着のくだけた言葉が使いづらい環境。今どきの言葉に触れる機会はなかなかありません。

 そんな私の救世主(?)が、今年作られた同級生のグループLINE。子どもがいる人が新語を知っているのは想像に難くないのですが、独身の人も当たり前にリアタイ(リアルタイム視聴)、インライ(インスタライブ)などを使います。さすがにこの2語は初見でも意味が分かりましたが、なぜ、私と同じ独身の人も今どきの言葉に慣れているのでしょうか。

 そのワケは、〝推し活〟にアリ。実はそのグループLINE、ある推したちのためのもの。X(旧ツイッター)やインスタなどでファン同士が世代を超えて言葉を共有できることもあり、推し活は心に潤いを与えてくれるだけでなく、言葉の感性に若々しさをもたらす効果もあるようです。私にとっては、そんな小さな発見が良い刺激というか、もはや脳トレ。タヒぬ、もそこで知りました。死ぬほどつらい、という意味だそうで、漢字を分解するとカタカナのタとヒになるからだとか。ただ、何がつらいかって、ただの飲み過ぎだった、という点は女子高生と大違いですが(笑)。

 ファッションでも言葉でも、若々しさと若づくりは違うと肝に銘じています。若者言葉も迂闊(うかつ)に使ってある種の「蛙化(かえるか)現象」を引き起こすことは控えたい。過去の新語・流行語を見返しても、一般化しているものはごくわずか。私のような〝若者情弱〟はやはり、「観(み)る将」ならぬ、〝見る語〟にとどめておくくらいがよさそうです。

 さて、トップテンと年間大賞は12月1日に発表されます。一昨年は「リアル二刀流/ショータイム」、昨年は「村神様」と、2年連続で野球関連。今回はノミネート後、阪神の「アレ(ARE)」が38年ぶりの日本一で「アレのアレ」になりましたが、果たして。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 47からの転載】

入稿3_ニュース箸休め_馬場典子

馬場典子(ばば・のりこ)/東京都出身。早稲田大学商学部卒業。1997年日本テレビに入社し、情報・バラエティー・スポーツ・料理まで局を代表する数々の番組を担当。2014年7月からフリーアナウンサーとして、テレビ・インターネット番組・執筆・イベント司会・ナレーションなど幅広く活動中。大阪芸術大学放送学科教授も務める。

 

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