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あっていい渋谷の “お約束”  【平井理央 コラムNEWS箸休め】

上空から見たハロウィーン当日の渋谷スクランブル交差点
上空から見たハロウィーン当日の渋谷スクランブル交差点

 ハロウィーンムードが高まっています。市場規模も1千億円以上というビッグイベントだけあって、街中のディスプレーも年々豪華になっているなと感じます。自分が子どもの頃は「映画で見る海外のイベント」というイメージでしたが、現代の子どもたちにとっては生まれた頃からある恒例行事なんですよね。6歳の娘が「今年は魔女がいい!」とのことで、先ほど衣装をポチったところです。

 新型コロナによる行動制限が完全になくなり、脱マスクが増えた今年のハロウィーンは、これまで以上に盛り上がるであろう一方で、迷惑行為や問題行為のニュースをまた目にすることも予想され、このイベントがまだまだ日本においては未成熟なのだと思わざるを得ません。

 東京では、渋谷区長が「渋谷の街はハロウィーン会場ではない」という異例の呼びかけを海外に向けても発信し、論議を呼びました。本来であれば、渋谷にたくさんの観光客や人が来て活気が出ることが望ましいはずが、来ないでくださいというメッセージを出すのは苦渋の決断だったと思います。それでも過去の迷惑行為や1年前にソウル・梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故の悲劇を繰り返さないためには、必要なことなのだと感じました。

 そんな時、ふと思い出したのが、9年前にハロウィーン発祥の地である米ニューヨークで見たハロウィーンパレードです。ちょうど書籍の企画でニューヨークシティーマラソンに参加するため滞在していた期間が、パレード開催日と重なり、これはぜひ見に行かなきゃと夜の街に繰り出しました。パレードは夜7時から始まり、グリニッジビレッジの6thストリートを、本格的なコスプレをした人たちが練り歩きます。本場の仮装も人数も圧巻でしたが、それ以上にびっくりしたのが、少し細い道は柵で封鎖されて通れなかったり、しっかりと配置された警備員が目を光らせていたり、そんな守られた空間でした。ノリはいいけれど、怖さはない、参加者も見学者も皆〝お約束〟の中で楽しんでいました。

 ルールを作ることは自由を制限することにもなりますが、こういったシチュエーションでは、ルールがあることで多くの人が楽しめるイベントにできるのではないかと思います。

 海外での認知度も高い、魅力ある場所は、渋谷の他にももちろんたくさんあります。インバウンド(訪日客)の復活に注目と期待が集まる中、何かが起こった時、起こりそうな時、どういった形でそこを守るのか、考えるシーンは増えていきそうです。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 44からの転載】

入稿2_平井理央箸休め

平井理央(ひらい・りお)/1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。

 

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