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「美女と富豪」【辛酸なめ子 コラムNEWS箸休め】

 ツイッターを長年使ってきて、ここ1年はイーロン・マスク氏に翻弄(ほんろう)されています。凍結される人が続出し、次は自分かと怯(おび)え、一時的にツイートの閲覧制限がかかり不自由を強いられ、トドメにマスク氏の趣味で「X」に改名。牧歌的な青い鳥のロゴがイキった感じの黒くてダサめのロゴに・・・。先日は、無料で利用できるX(旧ツイッター)が有料化という説まで出て、身が細る思いでした(その後、マスク氏は遠回しに否定)。
 1年前、買収手続き中のマスク氏が、流し台(シンク)を持ってツイッター社を訪れた姿が脳裏をよぎります。「Sink」と「Think」をかけて「買収の意味を考えよう」というメッセージを表していたそうですが。「沈む」という意味の「Sink」だったのでは・・・?フラグが立ってます。 
 世間を振り回すマスク氏をさらに翻弄していたのが希代のファム・ファタルともいえる俳優、アンバー・ハード。絶世の美女ですが、マスク氏の前に結婚していたジョニー・デップとは泥沼離婚。ジョニーは彼女について「クリスマスのガチョウのようにデタラメ」「邪悪で執念深い女」「俺がいかに悲しい年寄りかをたたき込んだ」などと主治医へのメールに書きつづっていました。アンバーが主張していたジョニーによるDVを、裁判は虚偽だと認定。まさに泥沼状態ですが、アンバーが「今もジョニーを愛している」と語ったのも怖いです。

©️2023 Nameko Shinsan
©️2023 Nameko Shinsan

 そんな訳あり美女にハマったのがマスク氏です。世界的な俳優と世界的な富豪を次々手玉に取るアンバー。成功した男性ほど、冒険したくなるのでしょうか。マスク氏はアンバーと交際していた期間について「地獄のような」日々だと言っていたとか。マスク氏の兄も、マスク氏はいじわるな人を好きになる傾向があり、アンバーのことは「非常にダークな面を持っていて有害」と酷評していました。
 先日有名な占い師に、マスク氏について伺ったら「四柱推命で、中心に傷官という星を持っているから、険のある悪女に惹(ひ)かれる」とのことでした。逃れられない性(さが)なのでしょう・・・。今もアンバーの負の影響を引きずっているとか。 
 激しい性格の女性にハマって自暴自棄になると、自分の仕事で暴発し、迷走してしまうのかもしれません。いち利用者としては迷惑な話です。マスク氏も、恋愛でさらにクレイジーになる自分の性格を認めているとか。会社経営ではなく恋愛の危険をつづった私小説でも書いたら世のためになりそうです。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 41からの転載】

辛酸なめ子(しんさん・なめこ)/漫画家、イラストレーター、コラムニスト。1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美大短期大学部卒業。著書に「女子校育ち」(筑摩書房)、「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「無心セラピー」(双葉社)、「電車のおじさん」(小学館)、「大人のマナー術」(光文社新書)など多数。

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