精密検査の精度の違い理解を 乳がん啓発で検査の実態説明 江戸川病院の専門医
乳がんの早期発見・治療を推進する官民の啓発キャンペーンが展開される10月の「ピンクリボン月間」に合わせ、江戸川病院(東京都江戸川区)は10月2日、東京都内で報道陣向けの啓発セミナーを開いた。年間300件を超える乳がん手術を執刀する同病院乳腺外科部長の田澤篤医師が登壇し、乳がんの早期発見・治療につながる「精密検査」の重要性を訴えた。
精密検査は乳がん検診などで「異常所見あり(要精密検査)」と指摘された人が受ける。田澤医師は「乳がんかどうかを判定する精密検査の“精度”は、検査主体の医師・技師の技量や検査の種類で異なる。この違いが意外に知られていない」と指摘し、精密検査の精度の違いで乳がんがどうかの診断結果が分かれた実例を挙げながら、精密検査の種類やそれぞれの手法、特長、長所・短所などを解説した。

江戸川病院が女性306人を対象に2026年9月に実施したインターネット調査では医師・技師の技量で精密検査の結果が異なる可能性があることを約7割が「知らなかった」と回答した=江戸川病院提供
精密検査の種類は大きく分けて「問診・視触診、画像診断、病理検査の3種類ある」と田澤医師は述べ、「通常、精密検査は、問診・視触診→画像診断→病理検査の順で行い、乳がんかどうかを調べていく」と話した。
このうち画像診断は、板で圧迫して薄く伸ばした乳房のレントゲン画像で診断する「マンモグラフィー」と超音波を乳房に当てその反射画像で判定する「エコー(超音波)」の二つの手法がある。田澤医師は「マンモグラフィーは乳腺の密度が高い若年層が対象だと乳がんの可能性がある“しこり”が乳腺の画像に隠れて見えにくくなる短所があり、またエコーも超音波の機械を操作する人の技量に精度が左右されやすい難点がある」と述べた。
これらの画像診断で乳がんと“確定診断”できなかった場合、次に通常行うのが「病理検査」で、主に「細胞診」と「組織診」の二つのやり方がある。田澤医師は「いずれも“がん”を疑われている小さなしこり部分の一部細胞を採取して顕微鏡で調べる検査だが、採取する細胞(生体)の“量”が違うので、診断の正確性が異なってくる」と精度の違いを指摘した。
その上で「“組織診”は太い針を使って多くの細胞を採取するので乳がんかどうかの確定診断ができるが、細い針を使う“細胞診”は採取する細胞の量が組織診より少なく、確定診断に至らない場合もある。私の推計では、病理検査を受ける人のうち3割程度は組織診ではなくて細胞診を受けている。細胞診は麻酔の必要がなく細い針を使うので肉体的負担は少ない。しかし確定診断できずに早期治療の機会を失う恐れがあることも知ってほしい」と述べた。
さらに、ほかの医療機関の組織診で「判定不能、良性」とされた人を、自身が行った再度の組織診で乳がんと確定診断した事例も報告した。田澤医師は、組織診でも行う医師の技量の違いで結論が異なることに注意を促し、乳がん治療の早期発見・治療のためには、各精密検査の手法や精度の違いをきちんと理解する必要がある、と強調した。
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