サイバー脅威対応の知見提供 韓国企業S2Wが日本法人設立
海外からのサイバー攻撃動向を監視分析する韓国のサイバーセキュリティー企業S2W(エスツーダブリュー)は6月23日、東京都内で記者会見し、日本法人の株式会社S2W(東京都千代田区)を4月3日付で設立した、と発表した。ソ・サンドクCEO(最高経営責任者)は「現在事業のグローバル展開を進めている。弊社の海外での売り上げは全体の21%。弊社は海外では日本を最重要の市場と位置付けており、日本に拠点を設けて日本の政府機関や企業へのサポートを本格的に開始したい」と述べた。
S2Wは2018年9月、韓国科学技術院の研究者らが韓国・城南市で創業。いわゆる「ダークウェブ」などインターネット上の秘匿性の高い領域の情報を収集してサイバー攻撃など「世界の脅威情報」を分析し、韓国の政府機関や企業などに提供している。国際犯罪を捜査する国際刑事警察機構(インターポール)にも協力しているという。従業員は110人(6月23日時点)。2025年に韓国の株式市場(コスダック)に上場している。

「韓国の政府機関・企業に対するサイバー脅威情報は日本の政府機関・企業に対するサイバー攻撃の“先行指標”になり得る」と語る日本法人・株式会社S2Wの三好平太代表取締役=東京都千代田区の同社、2026年6月23日
記者会見で日本市場の重要性を強調した日本法人・株式会社S2Wの三好平太代表取締役は「弊社はインターネット上の秘匿性の高い領域の情報の収集・分析に強みを持っている。世界中の“脅威情報”を監視しているが、特に“国家支援型”といわれる各国政府の後押しを事実上受けていると思われるような強力なサイバー犯罪グループの監視、分析には注力している。これらの強力なサイバー犯罪グループを継続的に注視してつかんだ脅威情報は、日本にとっては“脅威の先行指標”になり得る。弊社の知見は日本の政府機関や企業に十分活用していただける」と自社の情報収集分析力に自信を示した。
また「日本への独自の脅威もあると思うので、日本固有の脅威情報も分析できるアナリストを3年目以降に日本法人で採用したい」と話した。
S2Wのキム・ジェギCPO(最高製品責任者)は、ダークウェブ上に流出した個人情報(ID・パスワードなど)を悪用して社員に成り済ましたり、盗んだ身分証を悪用した身元偽装や人工知能(AI)の顔合成を使った履歴書偽装などをしたりしてシステム内部に「正規認証」で侵入する例を紹介し、このような「正当な内部ログイン」による攻撃には従来型の防御対応では限界がある、と指摘した。

日本を最重要の海外市場と位置付けるS2Wの経営陣。(左から)パク・クンテCTO、日本法人・株式会社S2Wの三好平太代表取締役、ソ・サンドクCEO、キム・ジェギCPO
サイバー脅威情報を収集、分析する自社のAI基盤を説明したS2Wのパク・クンテCTO(最高技術責任者)は「弊社のAI基盤は単に、ダークウェブ上の情報やメッセージアプリのテレグラム、SNS(交流サイト)などインターネット空間のさまざまなデータをうまく収集するだけにとどまらず、与えられた目的、文脈に応じて、収集したデータを適切に結び付け、関係付けて、最終的に意思決定可能な情報を顧客に提供することを目的にしている」と述べ、ダークウェブなど秘匿性の高いサイトの情報を監視分析するAIモデルなどを説明。併せて「ダークウェブ上の投稿やテレグラムの動向、仮想通貨ピットコインの資金の流れ、SNSの情報などを結び付けて、ダークウェブで個人情報を販売する人を特定できた」成功事例も紹介した。
またこのAI 基盤の活用範囲を今後「サイバーセキュリティー分野だけでなく、災害や金融、医療など危機管理な必要な領域にも広げていきたい」と述べた。



















