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働くことで「人と社会のつながり増えた」、「生涯現役」に賛成 高齢就業者の仕事調査

マンション管理員として働く高齢者(提供:株式会社うぇるねす)
マンション管理員として働く高齢者(提供:株式会社うぇるねす)

 働く高齢者が増加し続けている。敬老の日を前に総務省が発表した統計では、2022年の高齢就業者数は912万人。19年連続で過去最多を更新している(総務省統計局2023年9月17日公表)。総人口に占める高齢就業者の割合を見ると、65歳以上の就業率は25.2%。65〜69歳は50%を超えており、2人に1人が働いている状態だ。

  9月にマンションの女性管理員289人(回答者の平均年齢65歳)に調査を行った株式会社うぇるねすによると、「仕事を始めた動機」(複数回答可)は「収入のため」(67%)が1位。「健康」(49%)や「つながり」(43%)が続く。経済上の理由がやはり大きいようだが、「仕事をはじめて新たに感じること」を尋ねると、「人と社会のつながりが増えた」(34%)が最も多かった。「仕事やお掃除が楽しい」(16%)、「健康になった」(13%)、「外出が楽しい・増えた」(8%)など、実際に働くことで、収入以外のメリットもあることを見出しているようだ。

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 株式会社うぇるねすは、リクルートを定年退職したばかりの下田雅美(現 代表取締役)さんが2002年に創業(当時は株式会社うぇるねすさぽーと)。マンション管理会社向け管理員代行事業を展開している。建物の管理だけが管理人の仕事だと認識されていた創業当時の日本。マンションの歴史が古いアメリカ西海岸を視察し、生活にまつわる情報に精通した共同生活のサポーターとして、居住者から「尊敬される管理員」の姿に驚嘆した。その後、下田さんは「居住者に主眼を置いたサービス業」を目指し、シニア人材をリスキリングして、スマホアプリを駆使する管理員やコンシェルジュとして送り出している。3000人いる人材の最高齢は90歳、平均年齢は70歳だ。

  「うぇるねすで働いて良いところ」については、「時間」(36%)が1位だった。発注から契約までを管理する自社システムを開発することで、体調や都合に応じて気軽に働ける環境を用意している。2位は「健康」(29%)、「収入」(14%)、「人間関係」(9%)が続く。「仕事に行くと思ったら、規則正しい生活になり、健康になりました」「歩数が劇的に増え、食欲も出て体力がついた」「清掃が足腰の鍛錬につながる」「いろいろな場所にいくので、交通機関や、Googleでの所在地確認など、頭の体操になる」「体を動かすことで、筋力がつき、体力がついた。また、電車バス等の乗り換えなど頭もつかっているので、健康寿命がのびている気がする」など、健康にまつわるメリットの回答が目立つ。就労が与える健康への影響は大きいようだ。

 

  「この仕事でやりがいを感じたことはありますか」という設問では、66%が「ある」と答えた。うぇるねすでは採用面接と同時に導入教育を実施している。居住者への笑顔やあいさつを徹底し、業務の7割を占める清掃教育にも注力。Eラーニングで知識や技術の定着を図るだけでなく、年に数回集まって研修も実施している。

 「やりがいを感じたことがある」と答えた管理員からは、「居住者様にあいさつすると返してくださる方が増えてきた。お礼を言われる方が増えてきた」などの回答があり、尊敬される管理員を目指したことが、本人のやりがいにもつながっているようだ。

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居住者とすれ違うときは必ず立ち止まり、目を見て笑顔であいさつすることを徹底している(提供:株式会社うぇるねす)
居住者とすれ違うときは必ず立ち止まり、目を見て笑顔であいさつすることを徹底している(提供:株式会社うぇるねす)

 また、2019年にうぇるねす管理員男女638人(80代0.8%、70代48.6%、60代41.5%、50代6.3%、40代以下2.8%)に実施したアンケートでは、「何歳まで働きたいか?」を尋ねており、「75歳」と「80歳」が31%で1位で、次が「いつまでも」の15%だった。「生涯現役という考え方について」も、「とても賛成する」と「賛成する」が全体の81%を占めた。健康や人間関係の面でもメリットが大きい高齢就業。総人口に占める割合が29.1%という世界最高の高齢者を抱える日本で、「定年なしで働く」のが当たり前になる日も近いかもしれない。

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