「住まい」で人材確保、徳島県とレオパレス21 社宅の礼金半額、移住者には2万円引き
【ポイント】徳島県は株式会社レオパレス21(東京都中野区)と協定を結び、県内企業の社宅の確保と、UIJターン移住者やインターンシップの学生の住まい探しを後押しする。法人契約では礼金の50%割引もしくはインターネット料金割引を選べる。同社が他の地域で外国人材向けに進めてきた住居支援を、対象を絞らず広げた取り組みだ。
▽ 採用難と移住者急増のミスマッチ
徳島県とレオパレス21は2026年7月、「徳島県と株式会社レオパレス21との県内企業の人材確保支援及び福利厚生拡充に関する協定」を結んだ。県内企業が社員の住まいを確保しやすくし、県外から移り住んで働く人の初期負担を軽くする狙いがある。背景には、地元企業の採用難と、外部からの人口流入という二つの動きが同時に起きている県内の事情が横たわる。
県が2025年7〜8月に実施した「企業採用活動等実態調査」(従業員10人以上の県内企業2500社が対象、1096社が回答)によると、大学新卒者の採用計画900人に対し、実際の採用実績は519人だった。計画に対してどれだけ採れたかを示す充足率は57.67%にとどまる。前年度調査の40.98%からは持ち直したものの、なお計画の6割に届いていない。新卒で採りきれない分を、すぐに戦力となる既卒者で補う動きも進んでおり、既卒者の充足率は77.37%に達している。
企業が自社の課題として最も多く挙げたのは「求人条件(賃金、就業場所、休日など)」の508件、次いで「求人への応募数・ターゲット層との接点」の433件だった。一方、徳島県全般の課題を尋ねた設問では、「都市部との比較及び格差イメージの浸透」を挙げた企業が66.78%と最も多く、「移住支援・転居費用・家賃補助など、間接的に就職や採用を支援する施策の不足」を挙げる回答も223件にのぼった。都市部との待遇差だけでなく、移り住むための費用を誰が負担するのかという問題が、企業の目にも課題として映っていたことになる。
一方で、徳島に移り住む人は増えている。2025年度の移住者数は3360人と過去最多を記録し、移住相談の件数も4198件と過去2番目の高水準となった。移住者の年代別では20代が1233人(36.7%)で最も多く、30代が646人(19.2%)、20歳未満が395人(11.8%)と続く。30代以下の若者・子育て世代が全体の67.7%を占め、前年度の65.7%から比率を高めた。移住前の居住地は大阪府が477人(14.2%)で最多だった。
県外から若い世代を引きつける土台はあるものの、地方の企業が自力で手厚い福利厚生や社宅を用意するのは容易ではない。採用時の転居負担や住まいの確保が、人を採ってから定着させるまでの壁として残されていた。
▽ 社宅から移住者の部屋まで
今回の協定は、この壁を賃貸住宅の割引で低くしようとするものだ。レオパレス21が「徳島県×レオパレス21共同キャンペーン」として特典を提供する。有効期間は事業開始日から2027年3月末の契約分まで。問い合わせの窓口はレオパレスセンター徳島に置かれている。
支援の対象は三つに分かれる。企業が社員のために借りる社宅や寮、短期間だけ滞在するインターンシップ学生の部屋、県外から移り住んで働く個人の住まいだ。それぞれに異なる特典が用意されている。
【法人契約】社宅・寮の確保
●礼金の50%割引
●インターネット料金の割引(ベーシックプラン加入で3カ月分相当額、ライトプラン加入で1カ月の利用額相当を値引き)
●ただし、この二つを同時に使うことはできず、どちらか一方を選ぶ
【法人契約】インターンシップ学生の受け入れ
●短期滞在の学生が期間の途中で退去する際の違約金を免除
【個人契約】UIJターンの移住者
●徳島県に移り住み、県内で働く人が対象物件を契約する場合、契約金から2万円を割引
学生の受け入れをめぐっては、短期間で退去すれば通常は違約金が発生する。これを免除することで、学生を短く受け入れたい企業にとっては、住まいを用意する際のコストが一つ消えることになる。
対象は新規採用の場合に限っていない。すでに働いている従業員の社宅確保や福利厚生の拡充も含めており、採用力を高め、定着を後押しする狙いがある。
▽ 対象を限定しない「徳島モデル」
レオパレス21は以前から、自治体や支援機関と協定を結び、住まいの提供を通じた地域連携を進めてきた。ただし、先行する取り組みの多くは外国人材の受け入れに的を絞ったものだった。
大阪府とは2025年1月に「外国人材の受入促進に係る連携・協力に関する協定」を締結し、府の外国人材受入加速化支援事業と連携して、専用窓口を経由して契約した外国人材や受け入れ企業に礼金50%割引などの特典を提供した。割引の設計は徳島とほぼ同じで、違うのは対象が外国人材に限られていた点である。熊本県とも同年5月に同名の協定を結び、県の外国人材受入企業支援センターと連携して住居の確保に乗り出した。
高知県とは同年6月に「技能実習・特定技能の外国人材の受入促進に係る連携・協力に関する協定」を結んだ。高知県によると、県が民間事業者と外国人材の受け入れに関する協定を結ぶのは、これが初めてだった。自治体以外では、公益財団法人日立地区産業支援センターと同年7月に「外国中核人材の受入促進に係る連携・協力に関する協定」を締結し、モンゴル人学生のインターンシップ受け入れ企業に茨城県日立市内の管理物件を無償で提供している。
これら先行地域が、増える外国人材の住まい確保を主な目的としていたのに対し、徳島の協定は対象を外国人材に限定していない。県内企業の従業員、UIJターンの移住者、インターンシップの学生と、日本人を含むすべての人へ広げた。インターンで地域を知り、県内企業に就職して移り住み、働き続ける。この流れのどの段階にも住まいの支援を差し込んだのが、いわゆる徳島モデルだ。
徳島県の調査では223社が「移住支援や転居費用、家賃補助といった間接的な支援の乏しさ」を県全体の課題に挙げていた。企業が自力では埋めにくいと感じていた部分だった。今回の協定は、その穴を新たな制度や補助金をつくるのではなく、すでに地域にある民間の賃貸ストックを使って埋めようとする試みだ。(株式会社共同通信社)
▽ 採用難と移住者急増のミスマッチ
▽ 社宅から移住者の部屋まで















