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渡邊圭祐「登場人物に共感ができない部分があるからこそ面白い」 舞台「Yerma イェルマ」【インタビュー】

 スペインの詩人・劇作家ロルカの傑作「イェルマ」を起点に、作:オノマリコ×演出:稲葉賀恵によって、1930年代のスペインから現代の東京へと舞台を移し、生きる価値を見出そうとする女と男たちの物語を描く舞台「Yerma イェルマ」が9月21日からシアタートラムで上演される。咲妃みゆが演じる主人公イェルマの夫フワンを演じるのは、ドラマ「夫を殺したはずなのに」、映画『SAKAMOTO DAYS』、映画『2126年、海の星をさがして』など話題作への出演が続き、情報番組「ZIP!」の水曜パーソナリティーなど幅広く活躍している渡邊圭祐。渡邊に出演に対する気持ちや本作について、地元での活動への思いなどを聞いた。

渡邊圭祐

-5回目の舞台出演となりますが、このタイミングでの出演に対する心境は?

 久しぶりの舞台という感覚はありませんでしたが、劇場がシアタートラムということで喜びが大きかったです。世田谷パブリックシアターには2度立たせていただきましたが、念願のシアタートラムだというのが、率直な感想です。さらに稲葉さん、オノマさん、そして共演者の皆さんのことを聞いて、楽しそうだと思いました。シアタートラムは役者にとって、少し特別な劇場でもある気がします。そのような劇場と、このメンバー、そして「Yerma イェルマ」という作品ということで、どうなるのだろうかという心境です。

-「念願のシアタートラム」とのことですが、シアタートラムに対しての思いを教えてください。

 これまで見た舞台をさかのぼると、自然とシアタートラムで見ることが多い気がしています。舞台だけでなく、映画やドラマにも自分にとって合わないと感じるものもあるのですが、シアタートラムで見た作品にはそれがありませんでした。あの劇場のサイズと臨場感、ステージと客席の近さなどによって、すごく没入感が強くて、出演者としては体へと役をなじませる必要がある劇場だと思っていて、そのような劇場というのはすごく稀有(けう)な気がしています。念願というか、憧れというか、シンプルにかっこいい劇場と感じています。

-台本を読まれてどのように思われましたか。

 何を伝えようとしているのだろうか、この意図はなんだろうかと考えることが多く、すごく難しいと思いました。今回、スタッフやキャストの皆さんが口々に言っているのが、それぞれの登場人物に共感ができない部分があるからこそ面白いということでした。稲葉さんが「共感ができないからこそ、本作に挑める。それが原動力になっている」というようなことをおっしゃっているくらいで、観客の皆さんが「登場人物たちに対して一応は理解ができるけど、私はこう思う」というようなものが生まれる作品であろうと思います。僕らが台本を読んでいる段階でも難しいと感じるところがあるので、それを咀嚼した上で、見に来てくださる方々へ優しく受け渡しできればと考えています。それに、シアタートラムという劇場の空間で、どのように表現をするのだろうかというト書が結構あるので、視覚的な仕掛けが多そうな作品になりそうだとも思っています。

-演じるフワンをどのように感じていますか。

 原作である1930年代のスペインの寒村から現代に設定が置き換えられたことで、さまざまな要素を含むお話になり、プラスして、ロルカ自身のこともエッセンスとして取り入れられていて、すごくセンシティブな役だと感じています。まだ稽古が本読みの段階ということもあり、役の輪郭がまだ見えてないところではあります。

-稽古場の雰囲気は?

 いい空気です。稲葉さんやオノマさんとも、本作や役についてたくさんディスカッションしながら、皆さんの解釈を聞いてそれを咀嚼(そしゃく)している段階ですが、とにかくお二人とも、たくさんお話しをしてくださるので、僕たちキャストが入る隙間がありません(笑)。和気あいあいとしながらも、それぞれが自分の役や出演シーンだけでなく、出演していないシーンに対しても意見を出し合って、みんなでイメージを共有しながら作っていて、すごくいい空気感で稽古が進んでいます。

-夫婦役で共演する咲妃さんの印象は?

 明るいひまわりのようでありながら、どこかはかなさもあって、愛らしさもあるような方です。本読みを隣の席でさせてもらっていますが、ふいに、ちょこちょこっと筆談されるお茶目な面もあります(笑)。そうかと思うと、咲妃さんから「ここのフワンについてどう思いますか?」というような役を深める議論が始まったり、なんだか面白い方だなと思いました。ストレートにハッキリとお話をされる気がするので、すごく信頼ができる方だと感じています。

-いい稽古期間になりそうな予感がありますね。

 そうですね。そして、座組をまとめてくださる(渡辺)いっけいさんもすごく大きい存在なので、心強いです。すごくバランスの取れた座組です。

-みやぎ絆大使や仙台のテレビ番組への出演など、地元での活動も積極的ですが、渡邊さんにとって地元とはどのような存在ですか。

 僕の中では、東京へは仕事で出張しているというように考えていて、仕事が終わったら家に帰っているだけで、その家が仙台というようなニュアンスで僕は地元に帰っている気がします。

-地元での活動や仕事も、さらに深めていこうと考えていますか。

 極力関われることがあれば、関わっていきたいという感じで、お声掛けいただいたら、お力添えをできる限りしたいという心持ちです。地元の人しか知らないお菓子屋さんの広告とかはやってみたいと思っています。これは昔に食べていたとか、これはここの会社のお菓子だったのかとか、おばあちゃんの家にあったというような気持ちになるようなお菓子です。例えば、萩の月とか、この間ですが、見て懐かしい思いになったかもめの玉子のようなお菓子ですね。

-今回は地元の宮城での公演もあります。

 多賀城市民会館 大ホールでの上演ですが、僕が学生の時に合唱コンクールなどを行なった場所で、しかも多賀城市は僕自身、ゆかりがある土地でもあるので、面白い縁を感じていて、ワクワクしています。今回のツアーは、東京から始まって、兵庫、宮城、愛知を回らせていただくのですが、たくさんの方に見ていただけるのがすごく楽しみです。

-地元の知り合いにも見に来てほしいですね。

 見に来てほしいというか、見に来なきゃダメです(笑)。こちらから無理に呼びたくはないですが、友達だったら感じて来てくれるのではないかと思っています。

-地元ではモデル活動が中心だったということで、舞台に立っている渡邊さんを見たことがある地元の方も少ないのではないでしょうか。

 本当に少ないと思います。僕の友達ですと、上京していたり、東京へたまたま遊びに来ていた人くらいだと思います。そういう意味だと、少し恥ずかしい気もします。本作はお話も決して軽いものではなく、真面目で、これぞ舞台という作品で、そのような作品を見られる良い機会だと思いますが、僕の地元の友達に関しては、舞台を見ることにあまりなじみがない分、楽しんでもらえるか少し心配なところもあります。ですが、そういう人たちにも興味を持ってもらえる機会になればと考えています。

-朝の情報番組「ZIP!」の水曜パーソナリティーをされるなど、幅広い活躍をされていますが、仕事の幅が広がったことで心境や生活面で変化などはありますか。

 生活面での変化は特にないですが、やはり朝の情報番組というとことで、仕事の各現場で、業界関係の方々から出ていることについて言われることが増えました。今までは「ドラマ見たよ」とか、「あの映画に出るんだね」という話だけだったのですが、最近は、それよりも「ZIP!」のお話が多い気がします。

-業界関係でそうであるということは、一般の方々への認知度も高くなって、舞台への宣伝効果もあるのではないでしょうか。

 そうだといいですね(笑)。興味を持っていただけるとうれしいです。

(取材・文/櫻井宏充)

舞台「Yerma イェルマ」は、9月21日(月・祝)~10月12日(月・祝)に都内・シアタートラムほか、兵庫、宮城、愛知で上演。

舞台「Yerma イェルマ」

  • 渡邊圭祐

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