【映画コラム】4月前半公開の映画から『俺たちのアナコンダ』『ハムネット』『1975年のケルン・コンサート』
『1975年のケルン・コンサート』(4月10日公開)

(C)Wolfgang Ennenbach / One Two Films
ドイツ・ケルンに住む音楽好きの高校生ヴェラ・ブランデス(マラ・エムデ)は、アメリカのジャズピアニスト、キース・ジャレットの演奏に衝撃を受け、彼のケルン公演を実現させようと決意するが…。
キースが1975年1月24日にドイツのケルン歌劇場で行ったコンサートの開催までの舞台裏を、当時18歳だった女性プロモーターを主人公に、実話に基づいて描いた音楽青春映画。監督はイド・フルーク。
ライブアルバムの名盤となった『ケルン・コンサート』の誕生の裏でこんなことが起きていたとは知るよしもなかったので、とても興味深く見た。
主人公のヴェラの行動にはあまり感情移入はできなかったが、キース役のジョン・マガロがキースの屈折や葛藤を見事に表現する好演を見せるので、トータルとしてはいい映画を見たような印象になる。
ドタバタの大騒動の横で、音楽記者がキースに至るまでのジャズの変遷を分かりやすく解説するシーンが秀逸だった。(以下、抜粋)
「まず作曲があり、それを演奏するビッグバンドがあった。リーダーが編曲し、指揮もする。ソロも事前に決まっていて、決められたキーで即興をやっている。与えられた小節数の範囲で」
「次にバンドはクインテット、カルテット、トリオと縮小する。決まったコード進行で即興。次の段階へとつながった。リーダーが除かれ、演奏者は対等に設計図に従う。その設計図がスタンダード(即興の基として使われる曲)。彼らは固い土台に絵の具を投げている」
「進化は続く。その後、土台すら取り払う者が現れた。フリージャズだ。完全に自由な即興演奏。行方は誰も知らない。だが、演奏者間の深い結びつきが要る。高度な技術だ。結果が悲惨な場合もある。でも全部じゃない」
「そして最後の排除で無になった。キース・ジャレットは即興の相手もいない。アイデアを交わす相手も、演奏の決め事もなく、完全に独り。心は空だ」
(田中雄二)
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