「動かない不動産」に焦点 “眠った物件”開拓へ 用途を転用、プロフィッツ
不動産の各種収益向上事業に取り組む不動産事業会社「プロフィッツ」(東京都千代田区)は10月1日、東京都内で記者会見し、横浜市内の中華街にある飲食店ビルをホテルに用途転用した自社の事例などを紹介しながら、収益性が低いまま放置されている都市ビルなどの「動かない不動産」を動かす事業が今後、不動産市場の有望な成長分野になるとの見通しを語った。
賃貸住宅の仲介や不動産投資事業など長年不動産業界に身を置く、プロフィッツ代表取締役の田中慎一郎さんは、収益向上の可能性がある不動産が低収益のまま放置されている要因として、投資より保有を好む不動産文化(先祖代々の土地を売ってはならない思いの強さなど)▽都市部は最低限の賃貸収入を見込める不動産という商品の特性(低収益性を自覚しにくい)▽不動産業界の成熟化・専門分化(不動産サービスが賃貸仲介、売買仲介、管理、不動産投資ファンド事業などに分化し、収益向上に必要な総合一体サービスを提供しにくい)―の3点を挙げた。
その上で「(不動産開発、不動産プロの目からみれば)磨けば光る(収益が向上する)面白い不動産が日本では眠ってしまっている事例が多い」との現状認識を示した。
一方で「昨今は金利の上昇傾向や(人口の多い)団塊の世代が所有・管理する不動産を次の世代がどのように継承するかを考える時期に来ているほか、人工知能(AI)の進展に伴い事業環境が変化し、BS(バランスシート、貸借対照表)上の不動産の在り方を見直す企業は増える可能性があり、不動産を動かさざるを得ない状況にある」とも指摘し、今後“眠っていた不動産”が投資対象として不動産市場に“姿を現す”可能性への期待感を示した。

飲食店ビルをホテルに変えた事業戦略を説明したプロフィッツ代表取締役の田中慎一郎さん(右)とホテルのブランディングコンセプトを話したオレンジ・アンド・パートナーズの萩尾友樹副社長=東京都中央区の東京ミッドタウン八重洲カンファレンス、2026年10月1日
プロフィッツらが手掛けた飲食店ビルを用途転用した横浜・中華街のホテルは2025年11月に開業したトランセンダーホテル横浜(横浜市中区、6階建て、34室)。この日の田中さんの説明では、現在の客室稼働率は1年目の客室稼働率計画(平均60%)をすでに上回っているという。
田中さんは「飲食店激戦区の中華街では飲食店ビルのままでは収益向上に向けた取り組みは幅の狭い闘いになると考え、発想を変えてホテル用途に切り替えた。この転用で、ホテルの売り上げは、飲食店ビル時代に飲食テナントから得ていた賃料の3倍を想定している。まずは稼働率を固めてから客室単価を3年かけて段階的に引き上げていく計画だ。3年でホテルのファン層を広げ、認知度を高めていく」と述べた。
中華街の立地を生かしたトランセンダーホテル横浜のコンセプトづくりに関わった、各種企画事業などを手掛けるオレンジ・アンド・パートナーズ(東京都港区)の萩尾友樹副社長もこの日の会見に同席し、「日本には活用されていない、放置されている“もったいない場”がたくさんある。当社はそれを企画やブランドの力で“もったいなくないもの”にする取り組みをしている。今回のホテル転用では、当社のアプローチと不動産のプロであるプロフィッツの知見を掛け合わせて、収益性を高める“面白い場”をつくることを目指した」と話した。














