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砂浜走り海の素晴らしさ体感 鵠沼海岸で環境を考える催事

高野進さん(左)の指導で砂の上を走る参加者

高野進さん(左)の指導で砂の上を走る参加者

 砂浜を清掃したりはだしで砂浜を走ったりして海を体感し、プラスチックごみをはじめとした海の環境問題への理解を深める催しが11月29日、神奈川県藤沢市の鵠沼海岸で開かれ、親子連れなど約40人が参加した。陸上400m走オリンピアンの高野進・東海大教授の指導を受け“走り”の基本を学んだ参加者は、曇り空の下に雄姿を見せる江の島を眺めながら、足裏から伝わる砂の感触が心地よい「砂の上の駆けっこ」などを楽しんだ。

 この催しは、海の環境問題に取り組むNPO法人湘南ビジョン研究所 (藤沢市)が主催。同研究所が毎年4~11月に湘南地域で開いている海の環境を考える教育イベント「湘南VISION大学」の一環で、海の環境を守る開催趣旨に賛同する、世界的な家電ブランド・ハイセンス の日本法人「ハイセンスジャパン」(川崎市)が協賛した。参加者の中にはハイセンスジャパンの張喜峰社長や同社員の姿もあった。

 この日は、トングや小さなざるなどを使って砂浜を清掃する活動「ビーチクリーン」から開始。約20分間、砂浜を歩き、ごみを集めた。関係者らの日ごろの清掃が行き届いており、目立つ大きなごみはあまりなかったが、ざるにすくった砂をふるいにかけると、ざるの網を通らない程度の大きさのプラスチックごみが見つかった。

ざるに残った小さなプラスチックごみを参加者に見せる湘南ビジョン研究所の片山清宏理事長=神奈川県藤沢市の県立湘南海岸公園、2025年11月29日

 湘南ビジョン研究所の片山清宏理事長は「一見きれいな砂浜ですが、小さなプラスチックごみは短時間の清掃でも見つかります。微細な5ミリ以下のマイクロプラスチックの除去は難しく、海の環境を考える上で大きな課題の一つです。まずは道路や山、川、海などにペットボトルをはじめとしたプラスチックごみを捨てないことが大事です。多くの人に海への関心を持ってもらい、日ごろの生活の中で環境のことを考えていただければ」と話した。

江の島を背景に拾ったごみを前に置いて記念撮影する参加者

 ビーチクリーンで体が少し温まった後、参加者は、1992年のバルセロナ五輪400m走で決勝に進出した高野さんの指導で砂浜を駆ける「ビーチスプリント」に挑戦。高野さんは、横から見たら数字の4の形に見える走り方や体のよじれを防ぐ腕振りの役割など、走ることに関わる体の動かし方をさまざまな角度から説明し、一般の人が普段意識することのない「走ること」を考える面白さを伝えた。

 参加者は高野さんの教えを意識しながら、4の字を意識して走ったり、腕を動かさない走り方などを試したりした。参加者の中では子どもたちが一番元気で、赤い頬っぺたに冷たい浜風を浴びながら、砂の上を弾むように駆け抜けていた。

 高野さんは「走ることと歩くことは少し違う。一番の違いは、走る場合は両足が一瞬、地上から離れることです。歩く場合はいずれかの足が地上に着いています。走りには“弾む”イメージがあります。走ることは脳に良い刺激を与え、気持ちを前向きにしてくれる良さがあると考えています」と語った。

砂浜を元気に走るこどもたち

 砂浜では環境問題を考えるクイズ大会を開催。 出題した湘南ビジョン研究所の片山理事長は、海の環境を考えるために覚えていてほしい“数字”をクイズの回答にして紹介。例えば、毎年世界の海に流れるプラスチックごみの量は800万トンで、このままのペースが続くと2050年に魚の量を超えてしまうことなど大切な情報をクイズ形式で伝えた。

 会場を屋内に移した後は、高野さんの講演を聞いたほか、この日拾ったプラスチックごみを「飾り」にしたボールペン作りを楽しんだ。高野さんは、参加者と一緒にボールペン作りに挑戦し、誰よりも一番早く完成させる“アスリート”ぶりを見せていた。

拾ったプラスチックごみを飾りにしたボールペンを作った高野進さん

 親子で参加した母親は「子どもが陸上をやっており、高野さんが走り方を教えてくれるので参加しました。とても楽しかったです」と喜んでいた。

 ハイセンスジャパンは社会貢献活動の一つとして、2021年からこの催しを協賛している。グローバル企業として、ビーチやマリーナ、観光船舶を対象とする国際環境認証「ブルーフラッグ」の取り組みに賛同し、協賛を始めたという。 湘南ビジョン研究所はブルーフラッグの取得推進活動にも取り組んでいる。

 汚染されていないきれいな海の環境やライフセーバー配置など33個の厳しい認証基準を満たしブルーフラッグ認証を取得した国内のビーチは12カ所(2025年4月10日時点)。神奈川県湘南地域のビーチでは由比ガ浜海水浴場(鎌倉市)、逗子海水浴場(逗子市)が取得している。

拾ったプラスチックごみを飾りに使ったボールペン作りを楽しむハイセンスジャパンの山本一人副社長(右手前から2人目)ら参加者

 この日の催しに参加したハイセンスジャパンの山本一人副社長は「きょうは海に触れる機会の少ない社員も参加しており、普段経験できない海の現状を体感できるよい機会になった。弊社はグルーバルに事業を展開する企業として、国際的な海の環境活動であるブルーフラッグ認証の取り組みを応援し、社会に貢献していきたい」と話した。

  • 高野進さん(左)の指導で砂の上を走る参加者

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