滋賀県大津市の坂本城跡が国史跡指定へ 明智光秀の居城、遺構を保存
明智光秀の居城として築城された滋賀県大津市の坂本城は、存続期間が約15年と短く、痕跡を現在に残さないことから「幻の城」といわれることがある。その遺構が、国指定史跡になる予定だ。国の文化審議会による答申では、織豊系城郭の立地や構造、築城技術などを知ることができる重要な城郭であることや、琵琶湖を通じた京への流通拠点に築城された政治的・軍事的・経済的に重要な城郭であることが評価されている。
坂本城は、1979年度の発掘調査で礎石建物などの遺構と大量の瓦が確認され、本丸内の屋敷跡と推測、建物の地下で遺構が保存されてきた。2023年度には、宅地造成に伴う発掘調査で、長さ30mを超える石垣の堀や礎石建物などが確認され、外郭(三ノ丸)の遺構と判断。現地説明会には全国から2000人以上が参加し、遺構の重要性から開発事業者との協議の結果、遺構を現地保存し国史跡指定を目指す覚書を締結していた。
今回の答申で、大津市の国指定史跡は16件になる見通し。今までの国指定史跡は、近江国府跡、近江大津宮錦織遺跡といった古代律令国家に関わるものが多かったが、城郭として市内で初めての国指定史跡となる。
坂本城跡の国史跡への指定答申を受けて、大津市歴史博物館では、2階ロビーにて坂本城跡を紹介するパネル展示を8月31日まで行っている(観覧無料)。

空撮で見る、坂本城跡(手前)