大阪・関西万博の開幕が1カ月半後に迫る中、パビリオンやイベントの予約を急ぐ人も増えている。盛りだくさんのメニューを、どう自分に合わせてカスタマイズすればより楽しめる? 世界160以上の博覧会を巡ってきた万博マニアの二神敦さんに、季候が良く、比較的、混雑が避けられる開幕直後から6月頃までの来訪を想定した「巡り方」のポイントをたずね、10項目にまとめてみた。

万博マニア 二神 敦(ふたかみ・あつし)さん
1972年生まれ。1970年大阪万博には生まれていなかったが、8歳の時に地元で開かれた「神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア’81)」以降、小規模なものも含めて国内外で開催された163の博覧会を訪れた。会社員として働く傍ら博覧会を巡り続け、情報発信を続けている。
① パビリオンは「テーマ」を決めて巡る!
万博の華とも言われる海外パビリオン。大阪・関西万博は日本でこれまでに行われた博覧会で最も多い158の国と地域が公式参加し、ひとつの国が単独でつくるパビリオン(タイプAと呼ぶ)が50近くも。いったいどれを選べば・・・と思案する人は、楽しさをより増すために、まず「テーマ」を決めてみよう!
お子さん連れのファミリーなら、お父さんやお母さんが行った「思い出の国」を巡ったり、お子さんが地理や歴史の教科書で習ったところを訪ねたり。北米、南米、ユーラシア、オセアニア、アフリカのパビリオンを1つずつ選んで訪ねれば、5大陸を制覇する世界旅行もできる。
好きな動物や鳥がいる、食べたいものがある国・地域をピックアップして回るなど、自分たちだけのテーマを決めるのもおすすめ。例えば、カカオの産出国ガーナから入り、ベルギーに行くと・・・なんと「チョコレート」の旅に。
② お目当てのパビリオンは早めの時間に!
会場が混み始めるのは、午後の早めの時間だ。なので、その時間帯にこそ、入場確約の予約を取っておこう。そうすれば、入場者で混雑してきた会場内でも、スムーズにパビリオンを楽しむことが出来る。
ならば、午前中はどうするか? まだまだ入場ゲートをくぐり切れていない人も多く、会場内も比較的すいているので、長い行列ができる前に、整理券なしで入れる海外パビリオンへGO!実は、今の時点で外国館で予約制度を取り入れているのは10館あまりで、予約がなくても入れるパビリオンは意外に多いかもしれないのだ。
また、事前予約の抽選で外れたとしても、空きのある当日入場枠での予約が可能なので、会場内に入ってからでも予約のチャンスはあるぞ!
■フタカミ目線■
大阪・関西万博は、単独出展(タイプA)の海外パビリオン50近くと、国内パビリオン27が出展。個人的な、海外パビリオンのベスト3は、建物にこだわりがあることで知られるイギリス、秀でたバランス思考で面白い「もてなし」を打ち出すスイス、エンタメと学びの両要素があり、これまでの万博でも人気が高いドイツ!
日本の三菱未来館、住友館、電力館などには、時代や人が変わっても、変わらず継承されるレガシーを見たい。また、飯田グループ、パソナグループといった初登場のパビリオンには、過去の枠にとらわれない自由な新しさが感じられるはず!と期待してます。
③ 自由に〝万博時間〟を楽しむ!
会場では、計画をがっちり固めすぎず、なるだけ自由に楽しもう。例えば、朝、昼、夜に1カ所ずつパビリオンを訪ね、その合間に食事をしたり、予約がいらないイベントを見たりしては?

民族衣装を着た東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々の人々(提供:ASEAN事務局)

伝統的な踊りを披露するトンガのイベント(提供:Tonga Tourism Authority)
大屋根リング内外の通りに点在するポップアップステージ、ギャラリーで行われるイベントやパフォーマンスの多くは予約が不要。参加国が、会期中に1日ずつ行う「ナショナルデー」で披露される、華やかな民族ダンスや音楽も、万博でしか見られない。日が暮れると、水上ショーや花火が会場を彩る。
パビリオンを回るだけが楽しみでなく、朝から夜まで会場内あちこちで、いろいろなことが起きているのが万博なのだ!
④ 世界を味わいつくせ!
万博には、世界中の味が集結。各パビリオンでは、それぞれの国・地域自慢の食べ物でのもてなしが待っているから、グルメの旅も忘れずに。リアルに、さまざまな国の食べ物の匂いや歯触り、味覚を感じることができ、そこから世界への興味を広げていくのは、すごく楽しい。
甘いものが大好物の子どもなら、ケーキ、ソフトクリームで世界1周? ふだんなら、お母さんに叱られるかもしれないけど、たった一日の世界旅行なんだから、存分に食べ歩こう。
お酒が好きな女子旅にお奨めしたいのは、世界のワイン巡り。チリやイタリアからの高級ワインだけでなく、ウルグアイ産などの珍しいワインも味わえるかも。各国・地域の人々と触れ合いながら、初めて見る食べ物にもたくさん出会えるはずなので、知らない味をあえてチョイスしてみて。

チリパビリオン内に展示されるブドウ畑の様子。期間中、チリワインに関する体験もできる (提供:2025年大阪・関西万博 チリパビリオン/CONSTRUCTO)

日本のくら寿司のパビリオンでは、寿司に加え、万博に参加する約70カ国の代表料理が回転ベルトで流れる
⑤ 言葉を超えてヒトと出会う!
出会ったことのない世界の人と話そう。
万博では、外国語ができなくても安全な〝世界旅行〟ができる貴重な場。基本的にパビリオンのスタッフは日本語、英語、自国語が最低限、さらに複数の言葉を話せる人もいて、外国語が不得意な方にも合わせてコミュニケーションをとってくれるので、話が通じないことはない。子どもたちには特に、複数の言語を操る人に出会って、びっくりしてほしい。

ドバイ万博のソロモン諸島館で民族衣装を着たスタッフと記念撮影する二神さん(中央)(提供:二神さん)
■フタカミ目線■
コミュニケーションの手段は、言葉だけじゃない。過去の万博でも、話言葉が通じていなくても、考えていることがバレている?みたいなことは多々あって、それにより、一見全く違う相手と分かり合うことができた。出会った人と通じ合い、その国に興味を持ち、行ってみたい!と思えることって、とってもすばらしい。あなたにも体験してほしい!

ミラノ万博のUAE館で出会った人とポーズをとる二神さん(提供:二神さん)
(その2につづく)
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