有村架純、石田ひかり、姫野花春「見終わった後ですごく幸せな気持ちになれる映画です」『さとこはいつも』【インタビュー】
有村 花春ちゃんは、その青さといい輝きといい、本当に今しかないものがしっかりと画面に映っていました。15歳の聡子ちゃんには、まだ名の知れぬ感情がいっぱいある。これからこの子はいろいろな感情を知って大人になっていく。今はそのスタートラインにいる。その姿がとてもまぶしかったです。本当に素晴らしかったです。
私は、ひかりさんの声がとても好きです。ひかりさんの声色からにじみ出てくるせりふに、いい意味で、裏があるんじゃないかと思わせてくれるような、ほのかな香りがしてとても面白かったです。強いせりふも、ひかりさんが言うと、100パーセントにはならない。いろいろな感情を想像させてくれるような表現をなさいます。55歳の里子さんは、もちろん悪い女性ではありませんが、このせりふには一体どんな感情が込められているのだろうと想像をかき立てられるところがすごく面白かったです。
姫野 35歳の沙都子さんのパートは、不倫や仕事の微妙な立ち位置にいることとか、そういうのも全部、沖田監督の描き方で、すごく生き生きとしてくるというか、いろいろなことがあるけれど、どれも全部頑張ってやってきたということをすごく感じました。後は、沙都子さんが刺された瞬間に韓流ドラマがエンディングになるところもたまらなかったです。「沖田監督最高です」って思いながら見ていました。
55歳の里子さんは、石田さんが演じられることで、男の子を3人育ててきたたくましさみたいなものと、小鳥みたいに伸び伸びとしていてかわいらしいところ。そういうものがたくさん詰まっていて、私も里子さんの夢の続きにいろいろと力をもらえたので大好きでした。家族で原稿を読んで「芥川賞って誰でも応募できるのかな」って言うところも、とても沖田監督らしいと思いながら、すごく優しい気持ちになって見ていました。
-沖田監督の演出や、撮影中のエピソードで印象に残ったことはありますか。
石田 本番中も、時々監督の姿が視界に入りましたが、本当に楽しそうな顔をしてニコニコしているのがすごくうれしかったです。みんな沖田さんが大好きなので、何とかこの監督に喜んでもらえる作品にしたいという思いがどんどん強くなっていきました。(夫役の)筒井(道隆)くんとはずっと雑談をしていたんですが、ある時、監督が「音は録らないのでそのまま話をしていてください。そういうところを撮りたい」とおっしゃって。そこはカットされていたかもしれませんけど、そんなふうに撮ってくださいました。
有村 ひかりさんもおっしゃるように、監督は皆さんに愛されていて、ずっとニコニコ楽しそうに撮っていました。何かこの人のためなら何時間でも撮りますみたいな気持ちにさせてくれるような、存在そのものに人を巻き込む力があるというか。撮影の時も日々癒やされて、疲れも自然と取れていきました。
姫野 私にとって初めての作品だということですごく気にかけてくださいました。クランクインをする前に監督からお手紙を頂きました。その中に、「自分がどう映っているのかは気にしないでいいから、モニターを見ないで」と書いてありました。だから現場でも、ちょっとでも私の視界にモニターがあると、監督が全力でそれを隠して、「見ないで」と(笑)。「せりふを間違えても自分からは絶対に止めないから」と言って、役者が伸び伸びと自由にやれる環境を作ってくださる方なので、それに毎日助けられたと思います。
石田 そんな癒やし系の監督ですけど、ある時、明らかに私のミスでNGがあったんです。それが、リテークするのに結構勇気がいるカットだったの。そこで監督は「僕の未練です。僕がやりたいんです」って言って…。格好いいでしょ。そんな男気があふれるとこもある。ほんわかしているんですけど、すごい目をしているときがたまにありました。
(取材・文/田中雄二)

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