【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】最初で最後の五大ツアー!~三重県菰野町~
2026年8月28日=2700
*がんの転移を知った2019年4月8日から起算
何とこの6月から8月にかけてわが人生、最初で最後になるだろう体験をいただきました。名付けて「五大ツアー」。今春に全国各地を駆け巡った国民的スターグループ○○○のドームツアーみたいやないかな。ファンの皆さまに叱られます、ごめんなさい。でも自分の中では超一大行事でした。
▽もっと元気に
三重県「菰野町(こものちょう)」で開かれたとある会。人権講演会と銘打ったこの会、町内各地区コミュニティセンターで催された。「人権〇〇」と言われると荷が重いが早い話、「70~80代のいきいきシニアさんが少しでも元気になるような会」。これが主催者の意図である。
その講演会を頼まれた地区は、なんとなんと5カ所だ。一世一代の晴れ舞台かと力が湧いてきた。と同時に普段から元気のあるいきいき人たちに対して、「少しでも元気に」だなんて、そんな大層なこと果たして務まるのかと不安も募る。
この企画、実は昨年2025年7月にわが地元・桑名郡で開催された「大橋洋平おしゃべり会」をご聴視なされた菰野町民生委員の方が「ぜひ菰野町でも」と繋いでくださった賜物だ。本当にありがたい。
そのツアーのスケジュールは次の通りだ。初回は6月、菰野(こもの)地区。翌7月には竹永(たけなが)地区、鵜(う)川原(がわら)地区、朝上(あさかみ)地区と続き、最終は8月に千種(ちくさ)地区でフィナーレを迎えた。

5大ツアーが開催された菰野町
▽菰野町
ここで「菰野町」の紹介をする。三重県の北西部に位置する人口4万人ほどの町で、三重県の「町」では人口最多である。「市」でありながら、1・5万人前後の鳥羽市や尾鷲市の人口を凌ぐ(因みにわが地元は5000人台)。
滋賀県と境する西側には鈴鹿山脈がそびえ、名所に「湯の山温泉」そして「御在所(ございしょ)岳(だけ)」がある。御在所岳という名、こちらは地元の通称で、地図上の正式登録名は御在所山(ございしょやま)だと初めて知った。
▽ウシ科だと?!
同山にはニホンカモシカが生息する。この動物、ご存じでしょうか。角を持ち一見シカっぽい、そぉあれです。生まれてこの方、ずっとシカの仲間と信じてきた。しかし違ってた、ウシ科だと?! シカ科ではないなんて…。
生きていると思わぬことに出会えるものだ。ええこともアカンことも、これが実に面白い。2018年の発病から8年生きて来られると (まさかここまで生きられるとは全く想像できなかった)、いろいろ体調にも変化が起きる。例えば腰椎圧迫骨折、さらには心臓狭心症の疑いなど、がん以外にも。そして勿論、抗がん剤副作用から生じる腎障害などなど。こんな中で菰野町五大ツアーは多大なる生きる力を私に与えてくれた。いま治療中の抗がん剤に勝るとも劣らぬほどに。
▽来てよかった
その理由はふたつ。まず、発病前と比べれば心身ともに明らかに弱っているこんな己でも「まだやれることがあるんや。何かの誰かの役に立てる役割が、まだあるんや」と思えたことだ。次に、それが何とがん患者や医療関係者でない人々に対しても届けられた(かもしれない)、ということだ。
講演会の参加者は各回およそ50名ほどだった。集まってきた人たちはシニアとはいえ、自分よりはるかに生き生きとされている方たちだった。病とは無関係、気になるのは認知症ぐらいやないかと、思えるような人たちである。かような方々がこんな者の話を聞いて、こんな者を見て何か力になるんかと話しながら思っていた。
でも参加者おひとりから「今日は来てよかったぁ」と身に余る言葉をいただき、大感激した。菰野町、ホントに本当にありがとお~!
ところで昨年10月にわが書を出版すること叶いました。「がんになった緩和ケア医が、本気でホスピスを考えてみた」(双葉社より、税込み1650円)もしも関心をお持ちくださったならば手に取っていただけますと甚だ幸いでございます。またユーチューブらいぶ配信、こちらもしぶとく続けてます。チャンネル名「足し算命・大橋洋平の間」。配信日時が不定期なためご視聴しづらいとは察しますが、気ぃ向かれましたならばお付き合いくださいな。ご登録も大歓迎。応援してもらえると生きる力になります。引き続きご贔屓のほど何卒よろしくお願い申し上げまぁす!!
(発信中、フェイスブックおよびYouTubeチャンネル「足し算命・大橋洋平の間」)
おおはし・ようへい 1963年、三重県生まれ。三重大学医学部卒。JA愛知厚生連 海南病院(愛知県弥富市)緩和ケア病棟の非常勤医師。稀少がん・ジストとの闘病を語る投稿が、2018年12月に朝日新聞の読者「声」欄に掲載され、全てのがん患者に「しぶとく生きて!」とエールを送った。これをきっかけに2019年8月『緩和ケア医が、がんになって』(双葉社)、20年9月「がんを生きる緩和ケア医が答える 命の質問58」(双葉社)、21年10月「緩和ケア医 がんと生きる40の言葉」(双葉社)、22年11月「緩和ケア医 がんを生きる31の奇跡」(双葉社)、25年「がんになった緩和ケア医が、本気でホスピスを考えてみた」(双葉社)を出版。その率直な語り口が共感を呼んでいる。
このコーナーではがん闘病中の大橋先生が、日々の生活の中で思ったことを、気ままにつづっていきます。随時更新。
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