【はばたけラボ】 6月10日「子どもの目の日」に考える「スマホ時代のわが子の目の守り方」
6月10日は「子どもの目の日」。デジタル端末の普及に伴い、子どもの視力低下が深刻化する中、わが子の目を守るために何ができるのか。5月末に大阪市で開催されたイベントの模様から、そのヒントを探ってみた。
▽3人に1人
「現在、小学生の3人に1人、中高生の6〜7割が近視といわれる。今のデジタル環境を考えると、このまま放っておくと近視がもっと増える」。
子どもの近視を社会課題と捉える参天製薬の長谷川成男さんは、そう警鐘を鳴らす。そこで企画したのが「Santen×セレッソ大阪 楽しみながら学ぶ!目の健康&サッカー教室」だ。「近視になったら大好きなスポーツができなくなる」という困りごとを入り口に、近視進行予防や早期受診につなげたい。そんな思いからセレッソ大阪とのコラボイベントが生まれた。
当日は小学3〜6年生の親子約80人が参加し、「目の健康セミナー」と「サッカー教室」を通じて目の大切さについて学んだ。
▽迷わず受診を
目の健康セミナーは、子どもたちが視力の大切さを自分ごととして捉えるきっかけになるプログラム。まず行われたのは、特殊なゴーグルを使い、視野の一部が欠ける緑内障や全体がかすむ白内障の見え方の違いを疑似体験。続いて近視になると眼球の奥行きが伸び、ピントが網膜の手前にずれてしまう仕組みについて教わった。
さらに、近視が進んだ状態の視界をスクリーンに再現する「ぼやけ画像」クイズも。学校近くの横断歩道や黒板の文字が、いかに認識しづらくなるかを体感。その後の「もし近視になったら困ること」を書き出すゲームでは、「映画」「授業」「ドッジボール」といったお題に合わせて「席が見えない」「ノートが書けない」「ボールが投げられない」といった意見が飛び出した。
長谷川さんは、学校健診で視力低下を指摘されても「このくらいなら大丈夫」「見えていると言っているから」と、様子見してしまう保護者が少なくないと指摘する。しかし、子どもの近視は体の成長とともに進行しやすい。「見えにくい」というサインが出た時や健診で指摘を受けたら、迷わず眼科を受診するよう強調した。
▽2時間の外遊び
長谷川さんは、近視進行予防の観点から、「外で2時間以上遊ぶことが良いと言われている」が、「野球やサッカーを頑張っている子どもたちは自然とその時間を確保できているかもしれない」と指摘した。学校ではタブレット学習、自宅でもスマホや動画視聴など近くを見る時間が増えている。「デジタルが避けられない時代」だからこそ、外遊びの時間を意識的に確保することが大切だと訴えた。
こうした考えのもと、もう一方のプログラムでは、長居公園にあるYANMAR HANASAKA STADIUMの青々とした天然芝エリアで、セレッソ大阪サッカースクールのコーチ陣による指導が行われた。子どもたちは元気にボールを追いかけ、ミニゲームでは仲間と白熱したプレーを披露。最高の環境でサッカーを全力で楽しんだ。
▽森島寛晃さんから
スペシャルゲストとして、セレッソ大阪代表取締役会長の森島寛晃さんも登壇。森島さんは「今日は目の見え方がどうなのかを考える機会をいただきました。見えにくくなるといろいろなことで困るということを学べたと思いますし、目が健康であることの大切さを感じてもらえたと思います」とあいさつ。「大きな夢に向かって頑張る中で、今日の体験を今後に役立ててほしい。これからもYANMAR HANASAKA STADIUMにぜひ応援に来てください。そして、この中から未来のJリーガーが生まれることを楽しみにしています」とエールを送った。
最後は、香川真司選手のサイン入りユニフォームが当たる抽選会で盛り上がり、イベントは幕を閉じた。
▽意識高める機会に
プログラムを終えた親子たちの表情には充実感がにじんでいた。
参加のきっかけは「あこがれの天然芝でサッカーをさせたい」「親自身の視力が悪いので心配だった」などさまざまだが、「目の健康セミナー」は親側にとっても大きな気づきがあったようだ。小3の小林幸人くんの父親は「最初はサッカー教室が目的だったが、目の勉強が面白かった。スマホなどに興味を持ち始める時期でもあるので、気を付けなければならないと改めて思った」と語った。小6の荒木航くんの父親は「視力が悪くなると生活の中で不便なことがたくさんある。本人も意識を高める機会になったと思う」と振り返った。
その思いは、子どもたちにも伝わったようだ。小3の小林幸人くんは「ゲームの時間を少なくする」と語り、同じく小3の龍川喜太くんは「黒板の端が見えにくいことがある。これからは画面を30分見たら20秒間目を休める」と、セミナーで学んだ具体的なアクションを宣言。わが子の頼もしい決意に、親も「本人が少しでも気をつけてくれれば」と期待を寄せた。
今回のイベントを通じて伝えられたメッセージはシンプルだ。「見えにくい」という子どもの声や学校健診の結果を、決して様子見で終わらせないこと。目は一生ものだからこそ、気づいた時が行動する時だ。
長谷川さんは「1社だけでできることには限界があります。でも、スポーツや教育、医療など、さまざまな分野が掛け算のようにつながれば大きな力になる」と意気込む。今回のセレッソ大阪との連携もその一歩だ。6月10日の「子どもの目の日」を機に、まずは家庭で「最近見えにくくない?」と声をかけることから始めてみてはいかが。
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