日本初、東アジア初開催!世界の音色が、阿寒にあつまる。阿寒湖アイヌコタンにて国際口琴大会開催
第10回国際口琴大会in阿寒湖アイヌコタン
2025年6月9日
釧路市
北海道・釧路市(市長:鶴間秀典 )は、国のアイヌ政策推進交付金を活用し、アイヌ文化の周知、伝承、体験を通し、多くの方に親しんでいただき、伝えていくことを目的とし、アイヌ文化フェスティバル開催事業として、第10回国際口琴大会in阿寒湖アイヌコタンを開催します。
アイヌの人々には、口琴の一種である「ムックリ」を演奏する文化が伝わっていますが、ムックリに似た構造、原理の口琴を演奏する文化が、世界中の国や地域に様々な形で存在しています。
1988年にアイオワ市(アメリカ合衆国)にて第1回の国際口琴大会が開催され、世界中の口琴奏者や製作者、研究者などの口琴関係者が集って以降、回を重ね、今回、記念すべき節目の第10回大会が、日本で初めて、東アジアでも初めて、アイヌの人々のムックリ文化が伝わる阿寒湖アイヌコタンで開催されることになりました。
これにより、日本を含め30以上の国や地域から、招待者50名を含め100名を超える口琴関係者が阿寒湖温泉を訪れる予定です。
開催概要
名称 第10回国際口琴大会in阿寒湖アイヌコタン(略称:第10回国際口琴大会)
10th International Jew’s Harp Congress / Festival
in Akanko Ainu Kotan, Hokkaido(10th IJHC/F)
日程 2025年10月24日(金)~10月26日(日)
10月23日(木)には前夜祭を開催
会場 阿寒湖アイヌシアター < イコロ > ほか、阿寒湖温泉各所
主催 釧路市
運営 国際口琴大会実行員会
阿寒口琴の会/日本口琴協会/阿寒アイヌ協会
阿寒アイヌ民族文化保存会/阿寒アイヌ工芸協同組合/一般社団法人阿寒アイヌコンサルン
協力 国際口琴協会 International Jew’s Harp Society
実施内容
●海外および国内の口琴奏者やアイヌ民族のムックリ奏者による口琴演奏
●口琴の製作・演奏ワークショップ
●世界中の口琴の展示
●口琴に関する研究発表
●アイヌ舞踊公演
国際口琴大会(International Jew’s Harp Congress / Festival)とは
口琴は、金属や竹などで作られた小さな楽器で、口に当てて「ビョンビョン」と独特の音を響かせるシンプルながら奥深い楽器です。アイヌ文化では「ムックリ」と呼ばれ、古くから親しまれてきました。
国際口琴大会は、口琴文化が根付く世界の各地で過去9回開催され、アジアやヨーロッパ、そして日本からも演奏者や製作者、研究者が参加してきました。ステージ演奏、野外でのライブ、ワークショップ、さらには世界中の口琴が並ぶマーケットなど、多彩なイベントが展開されています。数年に一度の間隔で開催され、世界中の口琴に関わる人たちが交流を深め、お互いに刺激を与え合う機会となってきました。
過去開催された国際口琴大会には、日本から、日本口琴協会や阿寒口琴の会を中心としたメンバーが第2回から参加をしてきました。参加経験のあるメンバーが抱き続けてきた「いつか日本でも開催したい」との想いが叶い、今回、日本で初めての国際口琴大会を開催する運びになりました。
口琴は言語や文化の壁を越え、音を通じて人と人をつなぐ力を持っています。どんなに異なる背景を持つ人々でも、「ビョン」という音で心が通じ合う——そんな奇跡のような瞬間がこの大会では日常になります。
今回の国際口琴大会は、アイヌ文化の魅力を世界に発信すると同時に、世界中の口琴文化と交わる貴重な機会とすることを目指しています。
過去に開催された国際口琴大会
1984年 第1回
9月14日~15日 アメリカ合衆国アイオワ市
1991年 第2回
6月19日~25日 ソヴィエト連邦ヤクート-サハ共和国(当時)ヤクーツク市ほか
1998年 第3回
6月22日~28日 オーストリアモルン町
2002年 第4回
9月11日~14日 ノルウェーラウランド町
2006年 第5回
7月28日~30日 オランダアムステルダム市
2010年 第6回
9月16日~19日 ハンガリーケチケメート市
2011年 第7回
6月22日~27日 ロシア連邦サハ共和国ヤクーツク市ほか
2014年 第8回
8月8日~10日 ドイツタウハ市
2022年 第9回
7月27日~30日 ドイツベルリン市
第10回国際口琴大会参加する国や地域(予定)
<アジア>
インド
インドネシア共和国
カンボジア王国
キルギス共和国
サハ共和国
中華人民共和国
台湾
トゥヴァ共和国
ネパール
バシコルトスタン共和国
フィリピン共和国
マレーシア
モンゴル国
日本
<ヨーロッパ>
イタリア共和国
エストニア共和国
オランダ王国
オーストリア共和国
スイス連邦
ドイツ連邦共和国
ノルウェー王国
ハンガリー
フィンランド共和国
リトアニア共和国
ルーマニア
ロシア連邦
<アメリカ大陸>
アメリカ合衆国
カナダ
チリ共和国
ブラジル連邦共和国
開催にあたって
国際口琴大会 実行委員長 山本 栄子
1991年にサハ共和国で開催された第2回国際口琴大会に、私達の大先輩である弟子シギ子さんと磯嶋恵美子さん、今井ノリ子さんが参加されたことは、私達仲間にとって良い刺激になりました。
2年後にサハ共和国からイヴァン アレクセイエフさんとスピリドン シシーギンさんが阿寒湖畔に交流に来て初めて鉄の口琴を知り、演奏を聴いて感動しました。
1998年に弟子シギ子さんに誘ってもらい第3回国際口琴大会(オーストリア・モルン)に行くことができました。世界各地から演奏者が集まり、素晴らしい演奏会やワークショップ・口琴工場の見学やハイキングなど、夢のような幸せな日々でした。
その後、2002年第4回大会(ノルウェー)と2006年第5回大会(オランダ)にも参加しました。言葉は通じないけれど、何度も会うと懐かしい友人のように思える人が何人もいて参加するのが楽しみでした。
いつか日本でも国際口琴大会を開催できないかと仲間と話していましたが各方面の御協力と御援助と若者の頑張りで阿寒湖アイヌコタンで第10回国際口琴大会が開催できることになりました。今まで参加した人達が味わった感動と口琴の魅力を多くの人たちに知ってもらう大チャンスです。
昨年の4月1日に「エイプリルフール」かと思うほど突然亡くなった弟子シギ子さんが天国でガッツポーズしている気がします。今後も多くの方のご協力をお願いして、第10回国際口琴大会が素晴らしい大会になりますように祈るばかりです。
阿寒口琴の会 郷右近 富貴子
アイヌ民族の口琴、ムックリという楽器。自宅のペン立てに何気にある、という方も少なくないと思います。そのムックリが「口琴」というキーワードで世界と繋がっている!ということを体感できる素晴らしいフェスティバルが「国際口琴大会」です。私自身がその事に心から感動したのは、2011年サハ共和国で開催された「第7回国際口琴大会」へ参加した時でした。
とても小さく手軽で、音はどれも「びょよ〜ん」。そんな楽器が世界中にあって、それぞれの多様な文化の中で大切に演奏され、アイデンティティの象徴にもなる楽器。そんな口琴の名手が一堂に集まるので、”びょよ〜ん”と吹けば、言葉を超えて「兄弟」とでも聞こえてくる様な、そんな平和的な空気感と友好の響きに満ちているように感じるのです。
そんな大会参加をきっかけに、「ムックリの兄弟は世界中にあって、言葉を超えて響きと共につながり合える事を沢山の人に体感して欲しい!」と強く思う様になりました。
その後2022年の第9回ベルリン大会に参加し、その思いはさらに強くなりました。いつの日か、日本・阿寒湖アイヌコタンでの開催を…と願っていたことが14年の時を経てこの度、阿寒湖温泉にて節目となる「第10回国際口琴大会」開催が叶い、尽力いただいた皆様へ心から感謝すると共に、1991年第2回国際口琴大会から参加し、各国の口琴奏者との友好の絆を深めてきた弟子シギ子フチを初めとした先輩のフチに対し、ムックリを通じた世界との繋がりの道を繋いでくれた事に心から感謝しています。
「びょよ〜ん」から始まる友好の響き。ぜひ皆さんで響き合いましょう!
2025年10月24日から26日、晩秋の阿寒湖アイヌコタンでお待ちしております。
日本口琴協会 代表 直川 礼緒
私にとってはじめの口琴は、今から40年以上前、大学生時代の北海道旅行、旭川でのムックリとの出会いだったと思います。その数年後、インドネシアのバリ島で、ムックリとよく似た、椰子製の口琴ゲンゴンに出会い、その共通性と相違性に魅了され、世界各地の口琴を追いかけ始めました。
1990年に日本口琴協会を設立し、口琴情報の収集と発信をはじめたころから、世界中の口琴関係者に知り合いが出来始め、はじめて「国際口琴大会」なるイベントに参加要請を受けたのが、1991年の夏至の頃、ソ連解体直前のヤクート-サハ共和国(現・ロシア連邦サハ共和国)。同行したのは、当時から口琴に関して文通していた、阿寒湖畔の弟子シギ子さんと、その友人の磯嶋恵美子さん(塘路湖)、今井ノリ子さん(屈斜路湖)という、3名のアイヌ民族の方々でした。
その時、大会実行委員長を務めていた、サハの口琴センターの代表イヴァン アレクセイエフ氏より、日本での口琴大会実施の打診を受け、「分かりました、30年以内に実施します」と軽く答えたのを覚えています。
その後、江戸時代文政期には幕府が禁令を出すほど鉄の口琴が盛んだったことがあり、昭和初期まで演奏する文化が存在していたこと。今から千年前、平安時代の鉄製の口琴が、埼玉と千葉の遺跡から合計4本発掘されたことなど、本州以南の日本における重要な口琴の史実が明らかにされてきました。また、今日では口琴を演奏する人、製作する人も現れ、それなりに日本の口琴文化に対する興味を持つ人も増えてはきましたが、「誰もが認める日本の伝統文化」としての地位を確立するには至ってはいないのが、残念な事実です。
そんな中で、日本の口琴文化の中でも「生きた伝統」を脈々と繋いできた、アイヌ民族のムックリのおかげ、そしてこの楽器を愛する方たちのおかげで、記念すべき第10回国際口琴大会が、阿寒湖アイヌコタンで開催される運びとなったことは、非常に心躍る出来事です。イヴァンとの約束から34年が経ってしまいましたが、彼も、高齢を押してサハから駆けつけるそうです。
口琴という、掌に納まるほどの小さな楽器。秘密の扉を開ける鍵を思わせる形状の、この楽器の力は、実は計り知れないほど強いもの。より大きな交流の輪が広がっていくのが楽しみでなりません。
国際口琴協会 会長 Franz Kumpl
During the 9th International Jew‘s Harp Congress / Festival in Berlin, Fukiko Goukon, the winner of the title “International Jew’s Harp Virtuoso” at the competition In May 2022 in Yakutsk, stated that she was aiming to hold the next 10th IJHC/F in her home country of Hokkaido in Japan. This
idea was supported by Leo Tadagawa from the Japan Jew’s Harp Association, who played and continues to play an important role in the planning of the 10th Festival. Together they succeeded to convince local organizations like Kushiro City, Akan Jew’s Harp Association, Ainu Association of Akan, Akan Ainu Cultural Preservation Society, Akan Ainu Indutrial Arts Association, and Akan Ainu Consulun to unite forces for the organization and implementation of a successful event.
In the name of the International Jew’s Harp Society, I am deeply grateful to these committed people and their organizations!
The role of the International Jew’s Harp Society is to provide name, reputation and expertise to the Festival, to select the international participants, to design and organize the Congress, to advice in regard of the musical program, and to provide with publications like the Newsletter BOING and the scientific Journal.
The fact that the 10th IJHC/F is organized and carried out by the Ainu community on Hokkaido in Japan is attracting great interest worldwide and many invited musicians and researchers are planning to take their spouses and children with them. The performances of the Ainu Jew‘s harp players at the previous festivals with the rituals and dances were always a special program item, full of color, impressive music and living tradition and spirituality. With great anticipation we are thinking about the 10th IJHC/F from October 24-26, 2025, at Akanko Ainu Kotan in Japan! We look forward to seeing you soon at an unforgettable festival in friendship, appreciation and professionalism in the unifying sign of the Jew‘s harp.
(対訳)
2022年5月にヤクーツクで開催されたコンクールで「世界口琴名人」の称号を獲得した郷右近富貴子さんが、ベルリンで行われた第9回国際口琴大会の期間中に、次回大会を地元・北海道で開催したいという想いを語りました。
このアイデアは、第10回大会の企画において重要な役割を担っている日本口琴協会の直川礼緒さんによって力強く後押しされました。郷右近さんと直川さんは協力して、釧路市、阿寒口琴の会、阿寒アイヌ協会、阿寒アイヌ民族文化保存会、阿寒アイヌ工芸協同組合、阿寒アイヌコンサルンといった地元の団体とともに、イベントの成功に向けて力を結集することに成功しました。
国際口琴協会として、これらの献身的な方々とその組織に心からの感謝を申し上げます。
国際口琴協会は、大会に、その名前と評判、専門的な知見を提供するほか、国際的な参加者の選定、大会の企画・運営、音楽プログラムに関する助言、そしてニュースレター「BOING」や学術ジャーナルなどの出版物の発行を通じて、本大会を支えています。
第10回国際口琴大会が、アイヌの人々によって企画・運営されるという事実は、世界中から大きな注目を集めています。招待された音楽家や研究者の多くが、配偶者やパートナー、子供と共に参加を予定しており、家族ぐるみでの交流が期待されています。
これまでの大会では、アイヌ民族の口琴奏者たちによる儀式や舞踊を取り入れた演奏が、常に特別なプログラムとして高く評価されてきました。その演奏は、色彩豊かで印象的な音楽と、今も息づく伝統と精神性に満ちており、参加者の心に深く残るものとなっています。
私たちは、2025年10月24日から26日にかけて阿寒湖アイヌコタンで開催される第10回国際口琴大会に、大きな期待を寄せています。友情と感謝、そして口琴という共通のシンボルのもとに集うプロフェッショナルたちと共に、忘れられないフェスティバルとなることを心から楽しみにしています。








