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リアルとバーチャルの融合学ぶ 大阪で高大連携教育シンポ 東京農大と関西学院大が協力

高校生らが参加した「第3回高大連携教育シンポジウム」

 未来の観光の在り方をリアルとバーチャルの両視座から考える高校生らを対象にした「第3回高大連携教育シンポジウム」が5月30日、大阪市の大阪高等学校であり、参加者約260人が、観光の未来を巡る東京農大生物産業学部助教の小林駿さんや関西学院大工学部教授の井村誠孝さんの話に傾けた。

 シンポジウムは大阪高等学校が主催し、東京農大と関西学院大が協力。高校と大学が連携する“高大連携教育プログラム”の一環で、高校生らに大学で学べる学問に興味を持ってもらおうと開いた。

 シンポのテーマは「リアルとバーチャルの学びの融合~観光立国・日本にむけたネイチャーツーリズムの未来」。フィールド重視の「リアル」の学びと最先端技術を活用した「バーチャル」の学びの、2つの学問的視点を紹介し、両者の融合による観光や地域づくりへの貢献について考えてもらった。

 北海道知床半島沿岸でクジラの生態や持続可能なクジラ観光の在り方を研究している東京農大助教の小林駿さんは、リアルな学びの視座から自らの研究内容を説明。「持続可能なホエールウォッチング(船に乗ってクジラを近くで観察する観光)を考えるためには、クジラの生態や海の環境を良く知ることが大事」と指摘し、クジラが音を使って仲間とコミュニケーションしていることや、知床半島沿岸の流氷や海の地形などの自然環境とクジラの生息数の関係性などを詳しく解説した。

クジラの生態などを話した東京農大生物産業学部助教の小林駿さん=大阪市、2026年5月30日

 

 また観光客らを対象に実施したアンケート調査から、知床半島の人口4000人の羅臼町では「ホエールウォッチングの観光客は年間3万人に上る」とのデータなどを挙げ、クジラ観光が地域に経済効果をもたらしている、とした。

 さらに観光資源として生かしながらもクジラをしっかり守る「持続可能なホエールウォッチング」の一例も紹介。「海外の調査では、観光船のエンジン音が、音をコミュニケーション手段とするクジラの息継ぎや捕食に悪影響を及ぼすことが報告されており、北海道ではクジラと観光船の距離に関するルールなどが作られている」と話した。

 クジラ観光のバーチャル活用に関しては、クジラ観光船などの欠航日に、観光客がVR(バーチャルリアリティー)の立体映像でホエールウォッチングを疑似体験する試みなどが考えられるとした。

バーチャルの本質的意味を分かりやすく説明した関西学院大工学部教授の井村誠孝さん

 

 最先端技術を活用した「バーチャル」の学問的視点から話した関西学院大工学部の井村誠孝さんは、「バーチャルリアリティー=仮想」という世俗的な一般的理解から離れて、学問的見地から「バーチャル」の内容を捉える必要性を強調。

 学問的なバーチャルリアリティーを「現実そのものではないが、機能としての本質は現実と同等であること」と定義し、現実・現物との“本質的な機能の同等性”に着目した観点から、リアルとバーチャルを考えることを勧めた。本質的な機能の同等性の一例としては、それぞれ存在の形態が異なる金貨、紙幣、電子マネーが、いずれも同一の本質的な“機能”(商品購入機能)を持つことを挙げ、各自はそれぞれに対して“バーチャルな存在”になると説明した。

 その上で「このようにバーチャルの内容を本質的機能の同一性に見出すことによって、「バーチャルは人をだますことではなく、現実・現物の本質の再現性(人間が心で感じるものが現実・現物の本質と同等)を意味する」と捉えることができるとした。

 このバーチャル理解を踏まえ、井村さんは「バーチャル観光」の可能性を探った。例として、観光の本質である「新しい体験(例、クジラ・流氷の観察、エベレスト登山、マチュピチュ観光など)の本質を損なわずに立体映像で再現するVR(バーチャルリアリティー)の可能性のほか、奈良と鎌倉それぞれの大仏の立体映像を並べて大きさを比べながら鑑賞したり、触れることが禁止された美術品の器でごはんを食べる映像体験などリアルな美術品の立体映像にバーチャルな立体映像を加えたりしたりするAR(オーグメンテッドリアリティー、拡張現実)の採用など、さまざまなバーチャル観光の在り方を紹介した。

 

 

  • 高校生らが参加した「第3回高大連携教育シンポジウム」

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