日本のAIインフラを強化へ ベクターが米コーナミと連携

握手するベクターHDの轟木一博社長(右)とコーナミCEOのゴードン・キャンベル氏
ソフトウェア販売のベクターホールディングス(東京都港区、ベクターHD)は12月3日、米企業Cornami(コーナミ、テキサス州)製の人工知能(AI)サーバーを導入して、消費電力が少なく安全性も高いAI活用環境を国内企業向けに提供すると発表した。東京都内で同日記者会見したベクターHDの轟木一博社長は「検証を重ねて2026年春ごろの商用モデル提供を目指したい」と話した。
轟木社長の説明によると、コーナミ製のAIサーバーは「ソフトウェアを前提にハードウェアを定義するという逆転のアプローチ」を採用した非ノイマン型(演算時にデータを外部記憶装置から読み出す必要がない)で、従来のAIサーバーと比較して電力消費効率に優れているほか、データを暗号化したまま情報を処理する技術を併せ持つ特長があるという。

記者会見で日本のAIインフラ環境の現状を説明するベクターHDの轟木一博社長=2025年12月3日、東京都港区の八芳園
轟木社長は「AIサーバー市場は、AIサーバーの中心であるGPU(画像処理装置)を抑えている米エヌビディアが事実上独占しており、価格が非常に高い。弊社は、国内企業に対する低コストで高速、安全に使えるAIインフラの提供を目指していきたい。国内企業向けに消費電力の効率化や安心安全なAIサーバー環境を整備できれば、AI分野での日本の遅れを取り戻し、日本社会が前に進む一つの土台になる」と述べた。
記者会見に同席した米コーナミCEO(最高経営責任者)のゴードン・キャンベル氏は「従来のAIサーバー(エヌビディアH100べース)に比べ、弊社製造チップを活用した新型AIサーバーは、データの処理速度を10倍に効率化した。日本のAI活用環境の整備に貢献できることはとてもうれしい」と語った。

自社製チップを掲げるコーナミCEOのゴードン・キャンベル氏
日本語特有の語彙(ごい)や文体・文化的背景を適切に反映した学習データなどAIデータの質の向上にも言及した轟木社長は、スイスの人材サービス企業アデコグループ(チューリッヒ)の日本法人アデコ(東京都千代田区)と連携し、AIデータの品質向上を取り組む人材育成分野で幅広く協力することを明らかにした。












