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伝統の楽器を未来へつなげ! 三線を科学でひも解き演奏で紡ぐ、レクチャーコンサート「しまの音」リポート

三線音楽には地域ごとに特徴のある豊かな多様性が

 第二部のコンサートは、第一部で研究対象であることが示された三線を、血の通った「音」として体感する時間となった。タイトルの「しまの音」には、琉球王国で体系化された「古典」、シマ(各集落・各地域)で愛好された「民謡」、そして各島固有の文化が築いた「離島の音」という、沖縄文化の重層的な多様性が込められている。

民謡「ひやみかち節」を歌う仲宗根創さん。太鼓は豊里美保さん

 

 舞台では、次世代を担う実演家たちにより、琉球古典音楽、沖縄民謡、沖永良部民謡、八重山古典民謡・古謡の四つのジャンルが披露された。古典の独唱「赤田風節」(歌三線・親川遥)の静ひつな節回しから、舞踊「稲まづん節」(舞踏・山里静香/歌三線・新垣俊道、親川遥)の優美な踊り、民謡「廃藩ぬ武士」(歌三線・仲宗根創)の時代に翻弄される悲しさ、民謡「ひやみかち節」(歌三線・仲宗根創/太鼓・豊里美保)の民衆の力強さ、沖永良部民謡「永良部百合の花」(歌三線・前田博美/太鼓・豊里美保)の本土の民謡を感じさせるこぶし、そして八重山古謡「とうばらーま」(歌三線・小渡大海/囃子・豊里美保/笛・新垣俊道)の哀愁漂うしみじみとした響きまで、それぞれの「しま」が育んできた音色がホールを彩った。聴衆は、第一部で学んだ楽器の構造や職人のこだわりを念頭に置きながら、一音一音に込められた歴史の重みと、未来へ向かうエネルギーを感じ取っていた。

沖永良部民謡を4曲披露した前田博美さん

 

 終盤には、沖縄県立芸術大学准教授の新垣俊道氏と、ヤマハ執行役員の杉山啓子氏、三線組合の仲嶺幹氏が登壇しあいさつ。新垣氏は、三線が人々の暮らしや精神文化と密接に結びついた、沖縄人のアイデンティティーを保つ存在であることを再確認し、根底にある精神性を次世代に受け渡していきたいと決意を表明。

 杉山氏は、「演奏された三線音楽は、耳で聴くというより心で受け取るような感動があった。ヤマハは音や音楽の力を信じている会社。我々ならではの技術と感性で社会課題に向き合う存在でありたい。さまざまな課題に直面している沖縄三線を未来に継承していくためにも、その技術と感性がお役に立てればと願っている」と述べた。

 仲嶺氏は、「今回のプロジェクトでは沖縄で作った三線を湿度の違う東京で使うと何ヘルツ音が違うということもわかってきた。東京で使う三線はどう仕上げればいいかがわかる時代がすぐそこに来ている。コンサートで聴けたように各地域・各ジャンルにはそれぞれの“らしさ”がある。それぞれの三線文化が広がっていって沖縄全体の三線文化が深く広がっていけば」と締めくくった。

 そしてコンサートのフィナーレは、出演アーティスト全員による沖縄民謡の代表曲「安里屋ユンタ」の演奏である。会場の聴衆も手拍子で参加し、「さぁ~ユイユイ♪」と合の手を入れる。舞台と観客が一体になり、盛り上がりは最高潮だ。プロジェクトを通じて生まれた人と人との新たなつながりが、さらなる広がりを見せることへの期待を込めて、会は幕を閉じた。

フィナーレは出演者全員で「安里屋ユンタ」を演奏し観客と一体に


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