就労的活動を支援する 「よこはまポジティブエイジング」25年度は横浜市内7区へ対象拡大してスタート
横浜市でまちづくり支援事業など展開する「関内イノベーションイニシアティブ株式会社」(本社・横浜市中区、森川正信代表取締役)が、横浜市から受託した2025年度の就労的活動支援モデル事業「よこはまポジティブエイジング」が始まった。スタートから3年目を迎え、対象区域が昨年度の市内3区(西、金沢、都筑)から青葉、中、港南、戸塚の4区を加えた計7区へ拡大し、受講者枠も昨年度の90人から120人に増える。
▽シニアが経験生かし社会参加
同事業では、おおむね60歳以上の高齢者を対象に、自分の経験やスキルを生かす役割を持って社会参加し、地域の課題解決や産業振興に取り組む就労的活動を促進している。これにより介護予防・状態改善といった高齢者福祉の向上と、活動の場を提供する企業・団体側の活性化という2つのアプローチを通じ、地域全体の活性化につなげることを目指している。
25年度の事業は、前期と後期にそれぞれ60人を募集して実施される。8月27日には横浜市内でキックオフイベントが開かれ、約70人が出席した。横浜市地域包括ケア推進課の職員が事業概要を説明した後、エグゼクティブ・スピーチコーチとして知られる株式会社グローコム代表取締役社長の岡本純子さんによる「つながりの力~これからの時代を生き抜くために必要な話し方のスキル~」と題する講演などが行われた。
今後は9月から10月にかけて、受講者が就労的活動の趣旨や事業の流れを理解し、活動に向けた準備を行う前期の「基礎講座」(全3回、9月12日に募集締切)を開催。その後、就労的活動支援コーディネーターが受講者から活動に役立てたい経験、今後取り組みたい活動などを引き出し、地域への関心を喚起する「個別相談」を行う。
個別相談に基づき、企業や地域活動などの団体へ、具体的な活動の切り出しを依頼して活動先を確保し、受講者との「スキルマッチング」を行う。また、チームでの活動に関心のある受講者を対象に「チームチャレンジ」を実施。事前講座を経て、5つの受入企業・団体で、4人程度ずつのチームに分かれ、来年2月まで活動する。
後期は来年1月の基礎講座から始まる予定。
モデル事業での活動は無償または有償のボランティア活動(業務委託を含む)で、雇用関係は結ばないが、事業期間終了後、双方の希望により、雇用契約や業務委託契約を締結することはできる。
▽「これからも付き合える仲間ができた」
「よこはまポジティブエイジング」には23、24年度までに延べ約130人のシニアが参加した。協力先での活動は、企業・団体ではイベントスタッフ、社内資料の作成・整理、経理事務、広報媒体の制作・アドバイス、経営者・職員のメンター、データ整理、講座講師など。医療・福祉の現場では、介護施設利用者の話し相手、シニアならではのアイデア出し、健康に関する講座の実施など。地域活動や保育・教育の現場では、映像音声の撮影、録音、制作、パソコン全般、外国籍生徒や保護者のフォロー、壁面装飾や手作りおもちゃの作成・修理補助、小学校の理科の指導員などと、多彩な活動を行って活躍している。
受講生は60代が最も多い。「自分を違う側面から棚卸しをする機会になった」「年を取ることが怖くなくなった」「これまで関わったことのない企業の方や中高生との出会いが新鮮だった」「これからも付き合える仲間ができた」などの感想があった。
受入企業・団体からは「人生のロールモデルだと感じられる、今まで出会うことがなかった方に会うことができた」「課題の整理につながり先行事例を知ることができた。今後に向けて一歩進むことができた」「業務改善に向けて弾みがついた」という声が寄せられている。
事業について、横浜市の地域包括ケア推進課の見村めぐみ課長は「本事業を通じて、シニア世代の皆さまの『やりがい』や『健康づくり・介護予防』につながること、さらには、地域の中で「担い手」として活躍していただくことを期待しています」と話している。
関内イノベーションイニシアティブの治田友香執行役員も「地域での活動は生きがいと健康づくりにつながりますが、企業などに長く勤めていた人たちにとっては、地域でのボランティア活動についてイメージが湧きにくいかもしれません。そんな皆さんに、多様な働き方や社会との接点の持ち方があるということを体験していただき、ご自身の人生の選択肢を広げてほしい」と語っている。
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