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自活の武器、ファッションへの関心 シンポジウム「ミシンが変えた女性の暮らし」

 コシノ氏
 洋服を作ることだけがデザイナーの仕事ではないと思っている。常に新しいものを選択して、新しい自分たちの考え方、生活の在り方、そして参加の仕方、その中で新しい自分を発見していくツールになる。そういう考え方で洋服を作っているのです。生活を大きく動かしていくデザイナーになるべきだと考えます。洋服だけを作るという域を完全に脱していかなければ、これからのデザイナーというプロフェッショナルはあり得ないと考えます。

 坂東氏
 城谷さんはなぜ「カーネーション」の企画を立てられたのでしょうか。

 城谷氏
 大阪局が作ったドキュメンタリーに引かれて小篠綾子さんのことを調べました。娘さんは3人とも世界に羽ばたいていって、どういう育て方をしたのかとの質問に「私は何もしていません。娘たちが私の背中を見ていただけなのですよ。私はデザイナーになれとは言っていません」と言われた。その潔さにすごく引かれました。

 坂東氏
 ヒロインがいわゆる良妻賢母的な価値観から離れていることへの反発はなかったですか。

 城谷氏
 台本の段階では心配する声もあったのですが、実際に放送してみると、それに対する反発はなかったです。皆さんの記憶にもそういう母親像があったのではないのかと思います。そこに違和感がなかったというところが驚きでもあるしうれしかったです。

 会場からの質問
 米国で実際にミシンを使っているテレビ番組を見たことがないのですが、今のミシンの存在感はどの程度なのでしょうか。

 ゴードン氏
 ミシンが1950年代以降にテレビ番組に出てこないのはおかしくないと思います。米国でミシンが栄える時期は1880~90年代から1940~50年代ですから、米国ではおばあさんの世代でミシンに思い出があることが多いわけです。ただ日米で少し違うのはプロ意識で、洋裁学校は米国では日本ほど発達しなかったのは大きな違いだと思います。

 坂東氏
 最後に一言あれば。

 コシノ氏
 世の中はどんどん進化するし、時代は流れて、人の気持ちもどんどん変わっていきます。今ミシンは家庭用としては確かに存在が薄くなっている。でも決してミシンはすたれているのではありません。この機械によって本当に完成度の高いものがどんどん作られていく現実があります。新たなミシンの姿をもっと見つめ、同時に原点をもう一度振り返って、今ある素晴らしい時代に感謝したいと思います。

                                   以上

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