井上祐貴「決して美しい人間関係を描いているわけではありませんが、リアルな描写が多いので、それが共感につながると思います」『男ともだち』【インタビュー】
-3人のキャラクターに共感はできましたか。
そのキャラクター全部に共感できるというのは、あまりないのですが、ポイントポイントでは、そりゃそうだよねって思う共感はありました。ただ、それは違うぞと思ったところもたくさんありました。
-神名役の松岡茉優さんの印象はいかがでしたか。
撮影現場ではずっと神名でいてくださっていたように思いました。すごく繊細な役だったので、控え室でも、休憩時間も、セッティング中も神名だったと思います。だから僕も必要最低限の会話しかしませんでした。僕の方が先にクランクアップしたのですが、その後で初めて松岡さんとお話ができたという感覚になりました。
-三島監督の印象は?
監督は、本当に映画が大好きな方だと感じました。僕は家のシーンだけだったのですが、監督から「撮影時間よりも早く家の中に入って、いろいろなものを感じてほしい」と言われて。そのおかげで僕も、いろんな想像を膨らませながらカメラの前に立つことができました。ディスカッションの時間も取ってくださったので、頭の中で想像をめぐらせて、彰人としてそこにいるという状態にしてくださったのが、すごくありがたかったです。京都の古民家でのロケだったのですが、小道具などにも監督のこだわりが感じられました。ハセオの部屋もとてもかっこいいですよね。ビデオテープがたくさんあったりして。多分そういうところで、ハセオの性格が表現されているのだなと思いました。
-完成作を見た印象はいかがでしたか。
脚本で読んでいた人物が、そこに生きているのが新鮮でした。僕が見てないシーンが多かったので、すごく生々しい空気感を感じました。僕のシーンで言うと、「男ともだちって何かちょっとずるい響きやなぁって」というせりふのシーンがあるのですが、朝帰りをしてきた神名に対して、突っ込めない彰人の、神名との関係性がすごくリアルに表現されていました。登場人物のそれぞれに至らないところがあります。全員が完璧ではなくて、至らないところを補い合いながら、日々を過ごしていくみたいな印象がすごく強くて、共感というよりはリアルだと思いました。この話は、決して美しい人間関係を描いているわけではありませんが、リアルな描写が多いので、それが共感できたり、想像できたりするのだと思いました。僕は入り込んで見ましたね。
-観客や読者の方に向けて、アピールも含めて一言お願いします。
僕に関して言うと、初の京都弁への挑戦です。方言のせりふがおかしいと聞いていて何か引っかかるじゃないですか。例えば、僕は広島出身なので、広島弁のせりふを聞いたら、流ちょうなのか、そうではないのかはすぐに分かります。なじんでいるように見えても、何か違うぞと思ったりすることもあるので、今回の京都弁もしっかり習得したいという思いがありました。いろいろなものを駆使しながらなじませて挑んだので、そういうところにも注目していただきたいと思います。
-今後やってみたい役はありますか。
ボクサー役をやってみたいです。昔から格闘技を見るのが好きなのですが、自分でやってこなかったのは、命を懸けてやっている格闘家の方たちに対して尊敬の念があったからです。だから、生半可な気持ちではやってはいけないという思いがあります。ただある番組で、(元世界チャンピオンの)長谷川穂積さんと、海外で1週間ほど一緒に暮らしたのですが、そこで、長谷川さんの素晴らしい人間性に触れて、かっこいいと心の底から思い、長谷川さんの生涯なら演じてみたいと思うようになりました。もし夢がかなったら、ちゃんと覚悟を持って、準備期間もしっかりと頂いた上で演じたいと思っています。
(取材・文・写真/田中雄二)

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