「生きることはこんなに面白いと示したい」制作統括が「ブラッサム」に込めた思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

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-そんな珠の父・清治は、現代ではありえないほど娘に厳しく接しますね。
厳しい父親の話は、宇野千代さんの著書にも書かれていることです。現代の視点で見るとつらい話ではありますが、当時の家父長制の下では、ああいう側面があったことは事実です。ただし、そういう父親との関係が後の珠の礎となるので、「ひどい父親だ」と批判的に描くよりも、二人の間に何が通っているのかを見せることを心掛けました。珠と清治はどこまで分かり合い、どこが分かり合えてないのか。そういうことが今後、珠が人生を歩む中で節々に顔をのぞかせます。だから、そこは逃げずに描くべきだと考えました。
-清治役の渡部篤郎さんはこれが連続テレビ小説初出演だそうですが、清治役をお願いした理由を教えてください。
清治は口数少なく、厳しい父親ですが、それだけではない複雑な内面も抱え、きっと皆さんも動向が気になってくると思います。そういう役を誰にオファーするかと考えたとき、せりふに頼らない表現を追究されてきた渡部さんしかいないだろうと。渡部さんは、数多くの作品で活躍されてきた方です。そんな渡部さんが清治を演じてくださったら、深い味わいを醸し出してくださるはずだと考えました。
-第1回で清治が馬に乗って登場するシーンもインパクトがありました。
僕はこれまで大河ドラマの現場も経験してきましたが、あんなに簡単に、まるで自転車のように馬に乗る方を見たのは初めてでした。渡部さんは、乗馬シーンを一切の練習なしでこなし、馬術指導の先生もお墨付きでした。難しいことをことさら自慢するわけでもなく、当たり前のようにやってのける渡部さんのプロフェッショナリズムに感銘を受けました。
-毎回の放送を飾るタイトル映像も魅力的で、YOASOBIさんの主題歌「咲き誇れ」と石橋さんのダンスと笑顔、そして満開の桜が一体になった映像は、毎朝ご覧になる視聴者の気分を上げてくれそうですね。
あのタイトル映像は、映画監督の奥山大史さんに依頼し、作っていただきました。第1回冒頭にもあった通り、「花咲婆さんになりたい」とおっしゃっていた宇野千代さんの夢をかなえた、というコンセプトです。つまりあの珠は、数々の困難を乗り越えた先にある姿をイメージしています。あそこに向かっていくことが、きっと物語にとっても救いになるのではないかと。だから、いずれあそこにたどり着くことを念頭にご覧いただくと、タイトル映像だけで泣けてくる日もあるはずです。それくらい、物語との一体感を意識しました。とはいえ、そんな理屈は抜きにして、ご覧になった皆さんが毎日を気持ちよく過ごしていただければそれで十分です。
-タイトル映像に登場する満開の桜の木も見事です。
NHK大阪局制作の連続テレビ小説の撮影は3月から始まるので、満開の桜を狙えるチャンスは一度きりです。それを冒頭に持ってくることは、非常にハードルが高かったのですが、スタッフやご協力いただいた自治体の皆さんの尽力のおかげで、奇跡的にあの見事な桜を見つけることができました。その映像を皆さんにお届けすることができ、われわれも非常に喜んでいます。
-そうすると、劇中の珠は、いずれタイトル映像に登場するような姿になっていくのでしょうか。
その点に関しては、まだ決まっていません。タイトル映像の珠が、物語と重なっていく方がいいのか、あの世界観は物語とは別に象徴として存在した方がいいのか、今まさに悩んでいる最中です。それがどうなるのかも含めて、楽しみにしていただきながら放送をご覧いただけたらうれしいです。
(取材・文/井上健一)

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