森田剛「戦争と背中合わせの世界であるということは今も変わらない」 19世紀を代表する未完の戯曲に挑む パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」【インタビュー】
-本作は、19世紀を代表する未完の戯曲です。そうした作品を今、上演する面白さや魅力はどう感じていますか。
自分は与えられた役を生きることに集中したいと思います。ただ、今も昔も、みんなそれぞれに傷ついて、それを隠して生きていると思います。戦争は終わらないし、いつ起こるかも分からない。戦争と背中合わせの世界であるということは今も変わらないので、きっと共感してもらえる作品になるのではないかと思います。
-コンスタントに舞台に出演されている森田さんですが、舞台ならではの魅力をどんなところに感じていますか。
(魅力がどこにあるのかは)あまり考えたことがないかもしれません。ただ、自分に合っているのかなとは思います。始まったら終わりまでストップしないというスタイルも、そこにお客さんがいるという空間も合っていると思います。刺激や怖さなど、普段、生活していて感じることがない気持ちになれるのも、自分には必要なことだと思っています。
-怖さというのは?
舞台は途中で辞められないので、緊張感もあって、やっぱり怖さは感じます。それはほかではなかなか経験できないことです。
-今回の公演は地方公演も含めて3カ月ほどの長丁場となりますが、コンディションをキープするための森田さん流のやり方はありますか。
運だと思います。体も声も大事ですし、皆さん覚悟を持って舞台に臨まれていると思うので、何があってもやり切ること。ただ、どうにもならないこともあると思うので、あとは運かなと思います。
-森田さんがオフィシャルコメントの中で「この作品は根底には純粋な愛をテーマにしている」と語っていましたが、森田さんにとっての純粋な愛はどんなものですか。
何でしょうね。…分からないですね。ただ、物に対しても人に対しても、丁寧に扱うということは心掛けています。できる限り、好き嫌い関係なく。ボンって(放り投げるように)置かずに丁寧に置いたり、開けたらきちんと閉めたり。生活の中での丁寧さは意識しているところです。
-丁寧に接することが愛情表現につながる?
愛情表現なんですかね…そうかもしれません。
-最後に、観劇を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
この作品は、映像的な作品だと思うので、舞台で見せるというのはチャレンジングなのではないかと感じています。同時に、すばらしいものが舞台で表現できそうでもあります。作られたものとリアリティーが混合した気持ちの悪いものができそうな気がするんです。舞台は生で人が“生きている”姿が見られるので、見たことがない方はぜひ一度、劇場で見ていただきたいですし、舞台に興味がある方は何か新しい感覚を味わっていただける作品になると思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」は、9月23日~28日に都内・東京芸術劇場 プレイハウスほか、岡山、広島、福岡、兵庫、愛知で上演。
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