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【輪島だからこそ、できること】(中) ここで生まれた“唯一無二”の一品

 輪島には、この仲間がいる、この景色がある、この空気が吸えるからこそ、生まれた一品がある。第2回は、そんな唯一無二があるレストラン、ブーランジュリー、廃校を拠点に活動するNPO法人を紹介する。

七面鳥ラーメン、始まりは炊き出し <芽吹>

 震災時、炊き出しに駆け回った輪島の飲食店主らが、生業を続けながら自分の店を再開させるまでの拠点として開いた、輪島市のレストラン「芽吹(めぶき)」。ここには、知る人ぞ知る冬限定の人気メニューがある。

 輪島市の生産者、大村正博さんが育てる有名品種「阿岸の七面鳥」を使ったラーメンだ。フレンチシェフの池端隼也さんがとったスープは透き通って、香りとうまみが強い。輪島の干しシイタケのだしを加えてさらに深みを増した汁に麺をからめ、シャキシャキの赤玉ネギ、金時草、キクラゲなどオール地元産の具といただく。

「七面鳥ラーメン」を作る池端さん。震災直後から炊き出しに走り回り、料理人が復活を目指す拠点として芽吹を開いた

 国産七面鳥の産地は、全国でわずか3カ所。中でも、輪島産は冬の厳しい寒さから良質の脂が乗ると評価され、クリスマス時期には有名レストランからも注文が相次ぐ。それをラーメンにするぜいたくな発想の原点は、炊き出しだ。

 震災が発生した2024年1月、自らの飼育小屋も被害を受けた大村さんが、池端さんに、手塩にかけてきた七面鳥を炊き出しに使ってほしいと届けにきた。「たくさんの料理を出した後、残りのガラからだしを取ってまかない料理のラーメンを作ったら、調理場の全員が『これは、おいしい!』と。大村さんもすごく喜んでくれました」。以後、東京での復興イベントで商品化すると、ラーメン専門店主も興味を持ち、会場にやって来たという。

七面鳥のハム、金時草、シイタケ、赤玉ネギなどが乗った「七面鳥ラーメン」

 震災後の苦難の中で生まれたメニューは、七面鳥ラーメンだけではない。旬の能登牡蠣のエキスだけで、乳製品が入ったかのようなクリーミーで白いスープを仕立てる「牡蠣そば」、柔らかい肉厚の能登豚を使ったカツカレー。「普段見ることのない景色をずっと見て、ジャンルを超えた料理人同士で生き方を語り合ってきた。全てが、そんな中でできてきた料理」

▽7軒が再びのれん掲げる

 今なお、一切の支援もなしに故郷が自立できるかと問われれば、まだまだかもしれないと思う。それでも「良くなってきている。残っている人は本当に頑張ってやっていて、今まで以上のものもある」

 今秋までに、芽吹で生業を続けながら再起を探ってきた料理人の店7軒が、輪島でもう一度、のれんを掲げた。皆の背中を押し続ける中心人物の池端さんは、自身のレストラン「ラトリエ・ドゥ・ノト」再開を2年後に見据えながら、美しい景色がある地元の牧場を食や観光と結びつける新たな夢も描く。輪島の可能性をあきらめない料理人たちと芽吹は踏ん張りながら、次のフェーズに向かう。

「輪島は良くなってきている」。食を通じて元気を発信し続ける芽吹のカウンター

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