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OSとアプリ、ウェブアプリってどう違うの? 【岡嶋教授のデジタル指南】

 スマホやパソコンを使っていると、「OS」「アプリ」「ウェブアプリ」といった言葉に出くわします。なんとなく分かったようでいて、しっかり切り分けろと言われると戸惑う用語の代表格です。それぞれの役割や関係性を整理してみましょう。

■OSとは

 OS(オペレーティングシステム)は、パソコンやスマホを動かすための基本ソフトです。そもそものお話として、ソフトウエアとは「コンピューターを動かすための『命令の集まり』です。機械そのもの(ハードウエア)に対し、操作方法や処理内容を指示する役割を担っています。OSはソフトウエアの中でも土台部分にあたる基本ソフトというわけです。

 Windows、macOS、Android、iOSなどがOSの代表例です。OSの仕事は多岐にわたりますが「機械と人間の橋渡し」が主要任務です。

 例えば、私たちは「保存」とクリックするだけですが、実際にはOSがハードディスクやメモリーに、どの番地に何のデータを書き込むのか細かく命令を出しています。もしOSがなければ、利用者がこれらを直接入力しなければならず、とても面倒です(っていうか、できません)。

■アプリケーションソフトとは

 アプリ(アプリケーションソフト)は、OSの上で動作する「ある目的に特化したソフトウエア」です。WordやExcel、LINEアプリ、写真加工アプリやゲームなど、私たちが直接操作して目的を達成する道具といえます。アプリとOSは仕事をすみ分けていて、基本的な機能(保存とか)はOSに依存して動作します。OSが土台、その上にアプリが建物として載っているという関係です。

 そのため、Windows用アプリはmacOSでは動きませんし、Android用アプリはiOSでは使えません。それぞれを別途作っています。違う言い方をすれば、アプリをギャラクシー用、iPhone用、ピクセル用…といちいち作らなくていいのは個々のスマホの違いをOSが吸収してくれているからです。

■ウェブアプリとは

 ウェブアプリは、OSにインストールしなくても、ブラウザーを通じて使うことができるアプリのことです。GmailやGoogleカレンダーなどが代表例です(もっともこれらは普通の(上記の意味での)アプリも用意されていますが)。ウェブアプリは基本的にインターネット環境とブラウザーがあればどのOSからでも利用できます。

 ウェブアプリの利点は端末に依存しないことと、常に最新状態で使えることです。インストールがいりませんから、開発者がサーバー側でウェブアプリを新しくすれば、利用者はすぐに新機能を使えます。逆に弱点は、インターネット接続が必須であること、動作がブラウザーに依存するためオフラインでは制約があったり、「普通のアプリ」と比べると応答性で一歩譲ることなどです。

 もっとも近年は、普通のアプリ(インストール型のアプリ)とウェブアプリの境界が曖昧になっています。例えばスマホではPWA(Progressive Web App)という技術を使うことで、ウェブアプリをホーム画面に追加することや、オフラインでの動作ができるようになり、インストール型アプリと同様の使い心地を実現しました。

 一方でクラウドが普及したことで、インストール型アプリも、主要な演算はサーバー側で行い、端末は結果を表示するだけ、という形式が増えています。

 OS、アプリ、ウェブアプリの役割を区別して理解しておくと、使い分けの選択やトラブルの理由も見通しやすくなります。

【著者略歴】

 岡嶋 裕史(おかじま ゆうし) 中央大学国際情報学部教授/中央大学政策文化総合研究所所長。富士総合研究所、関東学院大学情報科学センター所長を経て現職。著書多数。近著に「思考からの逃走」「プログラミング/システム」(日本経済新聞出版)、「インターネットというリアル」(ミネルヴァ書房)、「メタバースとは何か」「Web3とは何か」(光文社新書)、「機動戦士ガンダム ジオン軍事技術の系譜シリーズ」(KADOKAWA)。Eテレ スマホ講座講師など。

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