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サントリー、「水素」を製造・販売へ 山梨で新事業「グリーン水素ビジョン」計画

南アルプスの麓に広がるサントリー天然水工場と白州蒸溜所=山梨県北杜市

 地球温暖化の要因となる二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンなエネルギーとして「水素」が注目を集めている。政府は脱炭素化を進めるため「水素基本戦略」を策定し、2024年には、水素の利用を推進する新法「水素社会推進法」が施行された。

 サントリーホールディングスは、こうした動きを背景に水素の利活用に関するグループの中長期計画「サントリーグリーン水素ビジョン」を発表。6月11日、東京都内で取り組みについての説明会を開いた。

藤原正明サステナビリティ経営推進本部長。「水素エネルギーは、わかりにくいという人も多いのでこれからも発信していきたい」

 

 サントリーによると、「グリーン水素」は、再生可能エネルギーで製造され、燃焼時にCO2排出がゼロで、石油など化石燃料と違い「無尽蔵に調達できる」のが特徴だという。説明会でサントリーホールディングス常務執行役員の藤原正明サステナビリティ経営推進本部長は「エネルギー調達を他国に頼る日本にとって、グリーン水素は需要だ」と強調した。

 ▽P2G

 サントリーが取り組むのは、「Power to Gas(パワーツーガス、P2G)」と呼ばれる技術。天然水南アルプス白州工場・白州蒸溜所(山梨県北杜市)の隣接地に建設する「やまなしモデルP2Gシステム」と呼ばれる水素製造設備で、地下水と再生可能エネルギー(水力・太陽光)でつくる「グリーン水素」だ。

P2Gシステムの建屋。パイプライン、ボイラーも完成しているという

 

 サントリーのほか、東レ、東京電力ホールディングス、山梨県が出資してつくった「やまなしハイドロジェンカンパニー(YHC)」など計10社が、白州工場に隣接する県有地約3000平方メートルに25年秋稼働に向けてP2Gシステムの工事を進めているという。

 ▽地産地消

 サントリーは水素製造事業について、25年秋までの「フェーズ1(第1段階)」から27年以降の「フェーズ2」に分けて展開する。フェーズ1で建設する設備は、最大で年2200トンの水素を製造する能力があるといい、天然水工場の水素ボイラーとして稼働し、白州蒸溜所ではウイスキーの「直火蒸溜」での利用も計画している。

フェーズ2で想定している水素ガス販売・供給体制イメージ

 

 さらにフェーズ2では、サントリー、YHCに、水素ガス供給を手がける巴商会(東京)を加えた3社が水素の販売に乗り出す。藤原本部長は「山梨県での“地産地消”のほか、東京都への水素供給も考えている」と説明した。

 藤原本部長は、新たな事業になる水素の製造・販売について「『水と生きる』がコーポレートメッセージのサントリーにとって、水素への取り組みは自然の流れだった」と強調。ウイスキーやビールなどの製造事業に加えて、「新しい価値の創造」として位置付けていく考えだ。

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