スポーツマネジメント研究所 プロ野球ファン1,200人アンケート調査結果
前半戦MVP セ・リーグ 佐藤輝明 (阪神) パ・リーグ 今井達也 (西武)
産業能率大学スポーツマネジメント研究所(所長:中川直樹 情報マネジメント学部教授)は、2025年6月下旬、プロ野球に関する意識調査を12球団のファン各100名の計1,200名に対して実施しました。対象選手(敬称略)は2025年6月17日現在のNPB支配下登録選手808名。なお、球団の並びは昨年度のリーグ最終順位です。
産業能率大学では、横浜DeNAベイスターズとの連携授業『スポーツ・プロモーション』を開講し、例年イースタン・リーグ公式戦1試合を「産業能率大学スペシャルゲーム」と題して履修学生の手で運営しています。本年度のゲームは「青春」をテーマに開催したため、「もしファン球団の選手が高校のクラスメイトだったら」という仮想上の質問も実施しました。
1. 選手に関する調査結果
1-1.前半戦リーグMVP投票TOP10 (各リーグN=600)
応援するチームが所属するリーグの「前半戦MVP」に相応しい選手を1人選んでもらい、その理由を尋ねました。
1-2.後半戦のキーマン各球団TOP2 (各球団N=100)
応援するチームにおける「後半戦のキーマン」を1人選んでもらい、その理由を尋ねました。
1-3.ブレイク期待No.1選手 (各球団N=100)
応援するチームにおいてブレイク(才能の開花)を期待する選手を1人挙げてもらい、その理由を尋ねました。
2. プロ野球に関する意識調査結果
2-1.単純集計結果
意識調査は、10の質問に対して「はい」か「いいえ」で回答してもらいました。内容が専門的な質問は「わからない」という選択肢も設けました。下表は回答者全体(N=1,200)での肯定率(「はい」の比率)を高い順にまとめたものです。
「原文」のままでは集計結果として見づらいため、以降では短縮化した「質問ラベル」を用います。
「わからない」を含んで棒グラフにしたものが下図になります。
最初に、「はい/いいえ」の二択質問の3問に関して、本拠地に満足し、エンターテインメント要素を求めるファンが約7割にのぼりました。売り子とのコミュニケーションを楽しみにしているファンも約6割となりましたが、性差が大きく、男性の肯定率が60.5%であるのに対して、女性の肯定率は43.6%にとどまりました。
次に、専門的な知識を必要とする7問に関して、「魚雷バット」「NPBの動画規制」については4割以上が「わからない」と回答しており、その話題自体について認知していないファンも多いと推察されます。「わからない」を除いた二択での肯定率は以下の表の通りです。No.は前ページの表と対応しています。
この方法で集計し直すと、いずれも肯定率の方が高くなります。しかしながら、肯定率が6割に満たない「動画投稿規制」と「リクエスト制度」はファンの中でも賛否が分かれているといえるでしょう。他方、「ポスティング制度見直し」「打者の沢村賞創設」については75%以上が支持する結果となりました。応援する球団による違いについて、さらに次節において検証します。
2-2.応援チームによるクロス集計結果
下表は、「わからない」を含んだ3択に占める「はい」の比率を「応援するチーム」ごとに集計したものです。相対的に比率の高いセルを暖色、低いセルを寒色で網掛けしています。「平均」列は大小関係をバーで示し、12球団間のバラツキを示す「標準偏差」は、値が大きいほど濃いオレンジ、小さいほど濃い緑で網掛けしています。
2-2-1. 本拠地スタジアムに満足
標準偏差が最大だったのは「本拠地スタジアムに満足」でした。肯定率1位は、2023年3月の開業以来話題を集めている「エスコンフィールドHOKKAIDO」の日本ハム(89%)、2位はMLBを彷彿とさせる内野天然芝のボールパーク「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」を擁する広島(85%)、3位は高校野球の聖地でもある「阪神甲子園球場」を本拠地とする阪神(81%)でした。
逆に、肯定率が唯一50%を切ったのは「ベルーナドーム」の西武(49%)でした。以前から夏場の暑さが課題となっていましたが、この調査実施直後の6月27日には、上述の前半戦MVPで圧倒的な支持率を集めたエースの今井達也投手が熱中症により緊急降板し、試合にまで影響が及ぶ事態となりました。現在、大規模ミストを導入するなど球団も対策に本腰を入れています。続いて肯定率が低かったのは「ZOZOマリンスタジアム」のロッテ(52%)であり、こちらも老朽化を指摘する声が多く、5月12日にはスタジアムを所有する千葉市が建て替えの調整に入ったことが報じられています。
2-2-2. リクエスト制度の見直しを
次に高い標準偏差が示された質問は「リクエスト制度の見直しを」でした。昨年度の本研究所調査では「リクエスト導入は成功」とする意見が91.0%に上っていました。そのため、制度導入によって判定の精度が向上した点はほとんどのファンが認めるところです。ただし前ページの通り、「わからない」を除くと、過半数(55.2%)が見直すべき点があると指摘していることから、多くのファンが制度上に改善の余地があると考えていることも明らかとなりました。
今回の調査で特に見直し派が多かったのが中日ファンでした。その率は「わからない」を除く再集計では70.5%にも及びました。記憶に新しい5月27日に神宮球場で行われた対ヤクルト戦の8回に、川越誠司外野手が放った右翼ポール際への大飛球がファウルと判定され、リクエストしたものの判定が覆らなかったことへの不満が表れた結果と思われます。
2-2-3. CSアドバンテージ再考を
本研究所がこれまでに実施した同様の調査から一般化できている法則としては、前年にペナントレースを制しながら日本シリーズに進出できなかったチームのファンには再考派が多く(リーグ優勝したチームがそのまま日本シリーズに進出すべきと考える)、他方で前年リーグ優勝はできなかったが、クライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進出、いわゆる「下剋上」を達成したチームのファンでは現状肯定派が多くなる傾向が見られます。
今回の調査でもその法則が裏付けられる結果となりました。昨年セ・リーグを制しながら日本シリーズに進出できなかった巨人では再考派が12球団中最大(「わからない」を除く再集計では75.9%)となり、対照的にセ・リーグ3位ながら球団として26年ぶりの日本一に輝いたDeNAではリーグ内最小となりました。
2-2-4. その他
■「打者の沢村賞」創設を
6月3日に逝去した故・長嶋茂雄氏の功績を讃える賞の創設を望む声もある巨人ファンにおいて高い値となりました。 (「わからない」を除く再集計では82.5%)
■ポスティング制度見直し
12球団で唯一、同制度を利用したことのないソフトバンクのファンにおいて最小となりました。
逆に今年MLBドジャースに渡り苦境が伝えられる佐々木朗希投手を同制度で輩出したロッテにおいて最大となりました。
■魚雷バット使用に賛成
ホームランが出にくい「バンテリンドーム ナゴヤ」を本拠地とし、得点力不足が指摘されている中日のファンにおいて最大となりました。(「わからない」を除く再集計では78.1%)
3. 【特別企画】 もしファンチームの選手が高校のクラスメイトだったら
イースタン・リーグ公式戦「産業能率大学スペシャルゲーム」は、2025年7月5日にバッティングパレス相石スタジアムひらつか(平塚球場)にて、イベントタイトル「青春BOOM~はじけろ!みんなの学生生活~」として開催されました。本研究所では「ハマ男(だん)総選挙2025」と題し、「もしベイスターズの選手が高校のクラスメイトだったら」と仮想した4部門の投票ブースを運営しました。同様の調査は全12球団のファンに対しても実施しているため、その結果を紹介します。
3-1.バレンタインデーに一番チョコレートをもらいそうな選手
3-2.体育祭の応援団長が一番似合いそうな選手
3-3.定期試験でトップを取りそうな選手
3-4.卒業式で一番号泣しそうな選手
【調査概要】
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2025年6月18日~20日の3日間
調査対象:予備調査をもとに抽出したプロ野球12球団のファン100名ずつの計1,200人
調査監修:小野田哲弥(産業能率大学スポーツマネジメント研究所研究員/情報マネジメント学部教授)
調査協力:青柳裕太・荒井智尋・川中樹希・岸下佳祐・佐藤律樹(小野田ゼミ)
【回答者属性】 (N=1,200)
※「性年生」「居住地」内で相対的に度数が多いほど濃色で網掛け
【産業能率大学】
■ホームページ:https://www.sanno.ac.jp/
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