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退職者が選ぶ「辞めたけどおすすめしたい企業ランキング」

外資系と総合商社に学ぶアルムナイ採用成功のヒント

2025年5月29日
オープンワーク株式会社

OpenWork「働きがい研究所」調査レポートvol.133

退職者が選ぶ「辞めたけどおすすめしたい企業ランキング」 ―外資系と総合商社に学ぶアルムナイ採用成功のヒント―

労働力人口の減少や転職が一般化するなか、企業間の人材獲得競争が激しさを増しています。かつては「退職者=裏切り者」といった風潮が根強かった日本企業においても、昨今は一度退職した社員を再び迎え入れる「アルムナイ採用(退職者の再雇用)」の導入を進める企業が目立つようになりました。実際に、約4割の企業が中途採用を増やすための工夫として「アルムナイ採用の導入」を選択するという調査結果もあります※1。企業が退職した元社員と良好な関係を維持するためには、元社員が「この会社で働いて良かった」と感じていることが必要です。そこで、今回の調査レポートでは辞めたけれど「周囲におすすめしたい」と感じる企業にはどのような特徴があるのかを探るべく、OpenWorkに寄せられた退職者によるネットプロモータースコア※2(NPS)を対象に分析。社員クチコミと併せて紹介します。
(※1) 日本経済新聞「中途採用比率、最高46.8% JR東海は現場40人中途で」(2025年4月14日)
(※2) あなたはこの企業に就職・転職することを親しい友人や家族にどの程度すすめたいと思いますか?」という質問に0~10段階で回答したスコア

【サマリ】
■1位はマッキンゼー・アンド・カンパニー、2位はヴイエムウェア、3位は伊藤忠商事
■ランクイン企業のクチコミから見る高評価のポイントは以下
・外資系やメガベンチャーに共通する「卒業文化」。士気の高さやフィードバックカルチャーに強み
・長期育成を見据えた豊富な教育投資や若手を「見守る」姿勢も高評価のポイントか
・他社で代替の効きにくい価値提供ができる「目的特化型」のユニーク企業もランクイン

※詳細は以下または「働きがい研究所」にてご確認ください。https://hatarakigai.openwork.jp/

上位10社中5社を外資系企業、4社を総合商社が独占

退職者が選ぶ「辞めたけどおすすめしたい企業ランキング」は、1位がマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社、2位は米国に拠点を置くIT企業ヴイエムウェア、3位は伊藤忠商事という結果になりました。上位30社を日系・外資別で見ると、日系企業からは総合商社が上位10社のうち4社を占めました。ほかに、味の素やトヨタ自動車といった大手メーカー、DeNAやサイバーエージェントなどのメガベンチャーまで幅広くランクインしました。一方、外資系はアマゾンウェブサービスジャパンや日本マイクロソフト、Apple JapanなどのSIerやコンピュータ・通信機器系業界、コンサル業界からのランクインが目立ちました。
上位30社に寄せられたクチコミからは、3つの特徴・傾向が見られました。

 

外資系やメガベンチャーに共通する「卒業文化」。士気の高さやフィードバック文化に強み

特に外資系企業や日系メガベンチャーに共通して見られたのは、「退職検討理由」として「次のステップに進むため」「経験を他社で生かしたかった」などのクチコミが寄せられている点で、多くの社員が前向きな理由で離職を選択していることがうかがえます。また、「一丸となって目標達成に向けて頑張る風土がある」「フィードバック文化があり成長に有益である」「成果を出した者が適切に評価される」といった声もあり、短期間での成長がしやすい職場環境であることも特徴的でした。そもそも一つの会社に長く居続けるつもりがなく、「卒業前提」で身につけたいスキルや目的を明確に持って入社する社員が、モチベーションの高い組織の中で豊富な指導や適切な評価を受けながら成長し、その後新たな挑戦を求めて転職していく様子が見てとれます。

ランクイン企業の退職者が投稿した「退職検討理由」と成長環境に関するクチコミ

「特に、新卒で入社した方の多くが元々起業することに興味があり、入社後1−3年で基本的なビジネススキルとマッキンゼーでの経験を通じて自身のビジネス戦闘力を高め、卒業されていく。(コンサルタント、マッキンゼー・アンド・カンパニー)」

「フィードバック文化があり、毎回のプロジェクトにおいてフィードバックがもらえるので成長につながる。皆当たり前のようにフィードバックの時間を取ってくれる。(コンサルタント、ボストン・コンサルティング・グループ)」

「評価制度がしっかりしており、基本的には結果がきちんと評価に結び付く。(営業、P&Gジャパン)」

「次のステップに進むため、前向きな理由で退職しました。前向きな退職に対しては、強く引き留めることなく、応援してくれる雰囲気がある会社です。(ビジネス、DeNA)」

「成果を出すと社内で称賛される文化があるのは働きがいがあると感じた。社内でも前向きな人が多く適切なフィードバックがもらえる環境も良いと感じた。(マネージャー、サイバーエージェント)」

 

長期育成を見据えた豊富な教育投資や若手を「見守る」姿勢も高評価のポイントか

総合商社などの日系大手のランクイン企業からは、人材の長期的な育成環境を評価する声が寄せられました。長期的に人材を育てる意識があるからこその豊富な教育投資があることが、「退職後も周囲におすすめしたい」と評価される背景として浮かび上がりました。加えて「若手の挑戦や失敗を見守る風土がある」など組織としてのあたたかさや、そうした環境に対する恩を感じている様子がうかがえるクチコミも複数見られました。

ランクイン企業の退職者が投稿した、育成環境や風土に関するクチコミ

「国内の研修制度はかなり充実しているため、会社負担でかなり色々な研修に参加でき、実務以外でも成長できる機会を与えてもらえる。(営業、伊藤忠商事)」

「いかにコストがかかったとしても社員を育てるという意識が強く、一人前にしてもらえたことが、新卒入社の会社としては非常に良い選択だったと感じる。(基幹職、住友商事)」

「社員のレベルは高く、組織としても成熟しているため、新卒から社会人としてのイロハを学ぶ上では良い環境。スタート時からつまずいたり、うまくいかない人を切り捨てるような事はなく、上司同僚含め辛抱強く見守ってくれるような風土。(営業職、トヨタ自動車)」

「前向きに楽しめる仕事が多い会社。常に世界中の産業に目を凝らし、新たな商売のタネを見つけ、それを育てるための戦略を考え、人とお金を投入する。それを皆でワイガヤしながら議論し、考え、実行に移すプロセスそのものが楽しくてたまらない。自分にとってはそんな素晴らしい会社で、また戻ってきたいとも思っている。(事業統括、三井物産)」

「そもそも『人を育てる』風土があり、若い時分から事業全体の視点かつグローバルに仕事ができたこと。良い上司や先輩(反面教師も含め)にも恵まれた上、優秀な同僚や部下との協働も働き甲斐があった。(マネジメント、味の素)」

「若手や強みを見つけるのに苦労する社員を組織としてバックアップし、育成する風土がある。社会人としての幸福度を図る上で仕事から得られる達成感ややりがい、社会貢献があることを会社側がよく理解しており、単に休みを提供するだけの表面的なワークライフバランスではなく、人生を通じて、自身が何を達成し、家族とどんな思い出を作ったかを考えさせる人事がある。(総合職、三菱商事)」

 

他社で代替の効きにくい価値提供ができる「目的特化型」のユニーク企業もランクイン

3つ目に注目したいのが、「目的特化型」のユニークな企業群です。本ランキングでは、香港を拠点とする外資系航空のキャセイパシフィック航空や、途上国の経済・社会発展の支援事業を行い、国際協力を志す人の集うJICAボランティア、米国にある「ウォルト・ディズニー・ワールド」内の飲食店や小売店で働ける米国三越、医療×データの領域で独自のポジションを確立しているIQVIAソリューションズジャパンがランクイン。得たい経験や環境が明確にある人にとっては、その目的が叶う貴重な環境に身を置けることが高い満足感や納得感につながっている様子がうかがえます。

ランクイン企業の退職者が投稿した入社理由に関するクチコミ

「(入社を決めた理由は)日本人でも世界中の路線に乗務できるため。また香港ベースで海外に住んでみたかったので。どの路線にも乗務できることによってそれぞれの国のお客様の特徴やサービスの仕方などが学べた。(客室乗務員、キャセイパシフィック航空)」

「国際協力に関心があり、途上国での業務経験、生活経験をしたかったため。JICAに生活の水準や環境はサポートしてもらいながら、活動できるため、参加してよかったと思う。(PCインストラクター、JICAボランティア)」

「幼い頃から海外で生活をすることや働くことが夢だった。ワーキングホリデーや留学と比べると拘束時間が長く自由度は低いが、新築の社宅やキャストイベント、ディズニーキャストとしての経験、給料(チップ込み)、環境を考えると自身にとってはベストな選択だったと思う。(スタッフ、米国三越)」

「製薬業界向けのマーケティングスキルを高めたかったため。IQVIAのデータは製薬業界のマーケティングを行う上で必須であるため、データの種類や定義、扱い方を学べたことは製薬業界でマーケティングを行う上で貴重な経験となった。(コンサルティング、IQVIAソリューションズ ジャパン)」

 
日本独自の雇用慣行である新卒一括採用や終身雇用制度が転換期を迎えるなか、社員の転職を阻むことは現実的ではありません。将来的に自社を巣立っていく可能性があっても社員一人ひとりのキャリアに向き合って成長機会を提供し育成することで、転職先で「○○社出身なら安心」と評価されることも考えられます。他社でも活躍できる人材を送りだすことはその企業の大きな魅力であり、中長期的に新しい人材を獲得するための競争力の一つになるのではないでしょうか。

 
対象データ】
OpenWorkに投稿された、2020年以降に退職した元社員による会社評価レポート136,087件を集計。

OpenWork働きがい研究所について】
オープンワーク株式会社が、働きがいの向上のために、個人・企業・社会などの視点から働きがいについて調査・リサーチを行うためのプロジェクトです。2014年3月よりスタートしました。

OpenWorkについて】
OpenWork(オープンワーク)では、実際に働いた経験に基づく「社員・元社員の声」を共有しています。企業の社員・元社員から情報を収集しているWEBサイトとしては、国内最大規模のクチコミ数と評価スコア約1,910万件が蓄積されており、会員数は約726万人(2025年4月時点)となっています。私たちは、企業の労働環境をよりオープンにしジョブマーケットの透明性を高めることで、健全な雇用環境の発展に貢献するとともに、企業と個人のより良いマッチングをサポートし、一人ひとりが自分らしく生きることを応援したいと考えています。https://www.openwork.jp/

オープンワーク株式会社 会社概要】
商号 :オープンワーク株式会社
代表者:代表取締役社長 大澤 陽樹
所在地:東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア39階
事業内容:転職・就職のための情報プラットフォーム「OpenWork」の開発・運用業務を含むワーキングデータプラットフォーム事業
資本金: 1,649百万円
上場市場:東証グロース市場(証券コード5139)

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