KK KYODO NEWS SITE

ニュースサイト
コーポレートサイト
search icon
search icon

《従業員の声を基に働きがいが高い地方企業を発表》2025年版「働きがいのある会社」地域別ランキング

今知っておきたい地る人ぞ知る地方の優秀企業 全25社をピックアップ

2025年5月29日
Great Place To Work® Institute Japan
(株式会社働きがいのある会社研究所)

「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place To Work® Institute Japan(本社:東京都港区、代表取締役社長:荒川陽子、以下GPTW Japan)は、2025年版 各地域における「働きがいのある会社」ランキング(以下、地域別ランキング)を5月29日に発表しました。また、ランキング評価の基となっている従業員のアンケート結果を分析し、地方に本社を持つ企業の働きがいの傾向を明らかにしました。

===========
【サマリ】
・東京都以外の46道府県を6つの地域に分け、各地域内において特に働きがいの優れた企業を地域区分別に上位5社ずつ選出した。
・2025年版ランキング第1位は、Mahalo(関東地域)、and US(中部地域)、イベント21(近畿地域)、ミクセル(中国・四国地域)、トップ保険サービス(九州・沖縄地域)であった。(北海道・東北地域は5社以上候補がないため発表なし)
・ランキング選出企業を分析したところ、地方企業は多様な人材の活躍に改善の余地があることが示唆された。一方で、地方企業の従業員は“地域や社会に貢献していると思う”という設問に対して肯定的に回答した割合が東京企業を上回っていた。多様な人材の活躍機会を強化し、地域や社会への貢献実感を高めることが、地方企業の働きがい向上における重要なポイントと考えられる。
===========

2025年版 各地域における「働きがいのある会社」 ランキングとは

昨今、企業の人手不足が大きな問題となっています。中でも地方企業においては、魅力的な就業先を増やすことが人手不足解消に欠かせません。ProfessionalStudio株式会社が2024年に行った「地方転職に関する調査」によると、地方転職に興味がある人のうち50.1%が「魅力的な転職先が見つからない」を挙げています。

優秀な人材を惹きつけるためには、快適に働き続けられる就労環境や適正な報酬といった「働きやすさ」、そして仕事へのやる気やモチベーションにつながる「やりがい」の両方を備えた職場環境が不可欠です。すなわち、「働きがい」を備えた会社を目指していくことこそが重要な鍵となります。地方企業がこの「働きやすさ」と「やりがい」の両面を磨き、働く人にとって魅力的な環境を整えることが、持続的な地方活性化につながります。

この度GPTW Japanでは、地方企業の中から特に働きがいに優れた企業を地域区分別に上位5社ずつ、計25社選出しました。評価対象となったのは、2023年7月から2024年9月の間にGPTW Japanの「働きがいのある会社」調査に参加した657社の企業です。各社の従業員に対してアンケート調査を行い、アンケート結果から算出される“働きがいスコア”が一定水準を超えた企業を「働きがい認定企業」として選出しました。そのうち、東京都以外に本社所在地がある企業の中から、主に従業員へのアンケート結果を基にランキングを決定しました。本発表は各地域における「働きがい」の高い企業にスポットをあてることを狙いとしています。

調査期間:2023年7月~2024年9月(2025年版調査)
参加社数:657社

<地域区分>
北海道・東北地域(北海道、青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島)
関東地域(東京を除く、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川)
中部地域(新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知)
近畿地域(三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国・四国地域(鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知)
九州・沖縄地域(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

2025年版 各地域における「働きがいのある会社」 ランキング選出企業一覧

 

各部門(従業員規模別)の順位は以下の通りです。
※北海道・東北地域は今回該当なし
※詳細はこちら:https://hatarakigai.info/ranking/region/2025.html

関東地域

1位 Mahalo(分類不能の産業/神奈川県)
2位 ReBORNGROUP(卸売業, 小売業/神奈川県)
3位 湘南ゼミナールオーシャン(教育, 学習支援業/神奈川県)
4位 E・GROUP(建設業/神奈川県)
5位 Cadence(情報通信業/神奈川県)

中部地域

1位 and US(製造業/富山県)
2位 アンジェラックス(生活関連サービス業, 娯楽業/長野県)
3位 エンリージョン(サービス業(他に分類されないもの)/新潟県)
4位 コラボスタイル(情報通信業/愛知県)
5位 米田木材(建設業/富山県)

近畿地域

1位 イベント21(サービス業(他に分類されないもの)/奈良県)
2位 フロンティアホールディングス(不動産業, 物品賃貸業/大阪府)
3位 タイシコーポレーション(卸売業, 小売業/大阪府)
4位 バーテック(製造業/大阪府)
5位 新経営サービス(学術研究, 専門・技術サービス業/京都府)

中国・四国地域

1位 ミクセル(卸売業, 小売業/広島県)
2位 フレスカ(宿泊業, 飲食サービス業/岡山県)
3位 マイクロンメモリジャパン(製造業/広島県)
4位 東洋商事(その他/広島県)
5位 大津建設(建設業/広島県)

九州・沖縄地域

1位 トップ保険サービス(金融業, 保険業/福岡県)
2位 Ambihone(サービス業(他に分類されないもの)/福岡県)
3位 売れるネット広告社(情報通信業/福岡県)
4位 楽天地(宿泊業, 飲食サービス業/福岡県)
5位 SEKIYA RESORT(宿泊業, 飲食サービス業/大分県)

2025年版 各地域における「働きがいのある会社」ランキングから見る地方企業の傾向

地方企業においては、人材確保の難しさやIT化・デジタル化の遅れといった課題が共通して見られます。そうした中で、「働きがい」を高め、優秀な人材を惹きつけ、イノベーションにつながる企業風土を築くためには、どのようなポイントが求められるのでしょうか。ランキングに選出された企業を分析しました。

地域別ランキング企業の働きがいは東京の働きがいトップ企業と同水準

 
一般的には地方は東京と比べると人材確保やIT化・デジタル化などの面に課題が多いと言われることが多くあります。そのような意味では、従業員の働きがいについても同様に、東京の企業の方が高いイメージを持っている方も多いかもしれません。

そこで、ランキング評価に使用している従業員アンケートの結果を基に、東京の働きがいトップ企業と、東京以外に本社を置く地域別ランキング企業の比較を行いました。GPTWの30年以上の研究に裏打ちされた、企業の働きがいを評価する60の設問を基に各社の「働きがいスコア」を算出したところ、地域別ランキング企業の働きがいスコア(※1)は東京の働きがいトップ企業より2.6pt高い87.0%となりました。働きがいの意識が高い企業においては、本社が東京か地方かということに関係なく、働きがいを高められていると言えます。

※1 GPTWの従業員向けアンケートでは、選択式設問60問に対し1~5段階で評価する形式となっており、その中で4または5の肯定回答率を集計し、スコア化しています。

地方企業は地域社会への貢献が強み、一方で多様な人材の活躍に課題あり

 
働きがいと言っても様々な要素があり、企業によって組織の強みや課題は異なります。今回の地域別ランキングの調査結果から、東京以外にある企業ではどのような点が強みと言えそうか、また、さらに伸ばしていく必要のあるものは何か、分析しました。

働きがいを評価する60の設問のうち、東京の働きがいトップ企業の従業員と比べ、地域別ランキング企業の方が高く評価された設問の上位5つは以下のとおりでした。地域別ランキングに選ばれた企業で働く従業員は、“この会社は、地域や社会に貢献していると思う”という設問に対して東京の働きがいトップ企業より7.6pt高く回答しており、貢献実感が強いことがうかがえます。また、能力開発機会への満足度も同様に東京の働きがいトップ企業より7.6pt高いです。

なお、この傾向は働きがいトップ企業だけの傾向ではありません。評価対象となった働きがいが低い企業を含むすべての地方企業と東京企業を比較しても、東京企業より地方企業の方が特に高かったのが“この会社は、地域や社会に貢献していると思う”(+4.8pt)でした。地方企業は、地域や社会への貢献実感が高いことが強みと言えます。

逆に、地方企業が東京企業より特に低い設問を確認すると以下の通りとなりました。性別や年齢、性的指向などに関係なく正当に扱われるか、働きに見合った報酬が支払われるかなど、公正に扱われているかを問う設問が多く、多様な人材が活躍できる環境づくりは、東京と比べまだ伸び余地があると言えます。

イノベーションにつながる企業風土づくりのため、地方企業は特に“従業員の声を聴く”、“新しいことへの挑戦を称賛する”ことへの注力が重要

 
地方企業では、人材確保の課題に影響してかIT化やデジタル化の遅れについても課題と言われています。例えば昨今AI活用が進んでいますが、労働者が新しいAI技術を使いこなすスキルを持っていない場合、競争上の不利な状況に陥る可能性があります。後れを取ることを避けるためには、経営者はデジタルインフラと人的資本の両方に投資する必要があります。そのためには、従業員が新しい技術を積極的に導入し、組織内でイノベーションを推進するような文化を醸成していかなくてはなりません。

GPTWでは、イノベーションに繋がる企業文化を作るには、「その結果を問わず、新しい方法や改善に挑戦している人が称賛されていること」「経営・管理者層が、まじめに従業員の提案や意見を求め、それに対応していること」「経営・管理者層が、仕事や職場環境に関する意思決定に従業員を参画させていること」が重要だと考え、アンケートの内容に含めています。なお、新しいことに挑戦する人が称賛されることは、従業員の生産性や組織全体のアジリティ(俊敏性)と相関関係にあることがわかっています。新しいことへの挑戦が称賛されていると回答した従業員は、変化に迅速に適応する可能性が69%、仕事に一層努力する可能性が18%高くなります。(※2)

地域別ランキングに選ばれた企業ではこれら3問に対して従業員の83.4~89.0%とかなり多くの人数が肯定的に回答しており、東京の働きがいトップ企業より3.3~3.9pt高くなっています。東京以外にある企業であってもイノベーションにつながる文化づくりが推進できていると言えます。

一方で、すべての地方企業と東京企業を比較すると、1問を除き東京より低くなっています。多くの地方企業においては、イノベーションにつながる企業風土を作っていくにあたり、従業員の提案や意見を求め対応する機会、新しいことに挑戦する人を称賛する機会をさらに増やしていけると良いでしょう。

※2 Great Place To Work® Institute. “At Best Workplaces in Asia, Building Trust Prepares Employees for AI ”より https://www.greatplacetowork.com/resources/blog/best-workplaces-in-asia-building-trust-prepares-employees-for-ai

Great Place To Work® Institute Japan コンサルタント 岩佐 真裕子 コメント

 

昨今、地方の人手不足が大きな問題となっている中で、優秀な人材を惹きつけるためには、「働きがい」を備えた会社を目指していくことこそが重要な鍵となります。

今年の地域別ランキング選出企業は、東京の働きがいトップ企業平均よりも高い働きがいスコアが出ています。働きがい向上に意識の高い企業においては、積極的に取り組みを推進することで、地方企業であっても東京企業に遜色ない、むしろ上回る形で働きがいを高めることができることがわかりました。

一方で、これから働きがいを高めていく地方企業は、どのように働きがいを高めればよいのでしょうか。GPTWでは、自社の強みと課題を把握し、強みを伸ばし、課題を成長の機会と捉えて改善することをおすすめしています。今回の分析から、地方企業の強みは地域・社会への貢献実感が高いことであることが分かりました。一方で、東京に比べ多様な人材の活躍推進が伸び余地となりました。

地域・社会への貢献実感を高めるために、働きがい認定を取得している会社の取り組みをご紹介します。地域・社会への貢献実感は、企業活動そのものから感じられるものもあれば、その他の地域貢献などの取り組みから感じられるものもあります。企業活動そのものについては、お客様からの声を積極的に社内共有したり、全社イベントにお客様をお招きし、感謝のメッセージを従業員に伝えてもらうなどの取り組みで、貢献実感を高めることが可能です。その他の地域貢献などの取り組みとしては、ある企業では地域のごみ拾いのボランティアを実施する、地域住民を招くお祭りなどのイベントを開催する、といったことが行われており、従業員が直接地域への貢献を実感しやすい工夫と言えます。

対して、多様な人材の活躍促進事例としては、誰もが自分らしく力を発揮するために従業員リソースグループを構築し、「性別」、「世代」、「障がい」など取り組むテーマを決め活動が行われている企業があります。メンバーのアイディアをもとに、交流機会やイベントなどが企画されているようです。また、世代を超えて多様な価値観やスキルを共有する目的で、リバースメンタリングを導入している企業も増えてきています。通常のメンタリングとは逆のアプローチで、若手が先輩や上司、時には役員に対して知識やスキルを共有し、お互いに刺激を与えあう取り組みです。

まとめると、地方企業は強みを伸ばすために積極的に顧客からの声を共有するなど、貢献実感が得られる機会を増やすことが重要です。そして、性別や年齢などに関わらずあらゆる人が活躍できるよう、テーマ別の活動やお互いの強みを活かしあうような、双方向のコミュニケーションを強化する施策などを行うことで、さらに働きがいの高い職場づくりにつながるでしょう。

人手不足と同様に地方企業の課題としてよく挙げられるのがIT化やデジタル化の遅れです。イノベーションにつながる企業風土づくりの観点では、地方企業はさらに“従業員の声を聴く”、“新しいことへの挑戦を称賛する”機会を増強していくことで、東京企業との差を埋めて行けることが明らかとなりました。

働きがいの高い企業では、従業員の提案や意見を求め対応する機会として、会社の方針発表の場などで、一方的に伝えるだけでなく必ず従業員からの質問や意見を得るようアンケートや座談会などの場を作り工夫する、といた取り組みを行っています。また、従業員による委員会などを設け、働きがいを高める企画を従業員自ら検討するといった事例もあります。加えて、新しいことや改善に挑戦する人を称賛する機会の事例としては、あえて失敗事例を紹介し合い「新しいことを試みた良い失敗」を称えることで、チャレンジをしやすくするような工夫が行われています。自社の文化に合う形でぜひ取り入れていただきたいと考えます。

上記を参考に、強みを伸ばし、成長の機会に対応をしていくことで、場所にかかわらず働きがいの高い組織を作ることができ、地方企業に多いと言われる人手不足やイノベーションなどの課題へも対応していくことができると考えます。

Great Place To Work® Instituteについて


Great Place To Work® Institute は、約170ヶ国で年間21,000社以上の働きがい(エンゲージメント)を調査し、一定水準に達した企業を「働きがいのある会社」認定・ランキングとして各国の有力メディアで発表している世界的な調査機関です。30年間のデータに裏付けされた方法論を用いて評価を行う認定・ランキング制度は、企業における採用ブランディングやIR・人的資本開示の目的で広く活用されています。日本においては、株式会社働きがいのある会社研究所がGreat Place To Work® Institute よりライセンスを受け、Great Place To Work® Institute Japan(GPTW Japan)を運営しています。

編集部からのお知らせ

新着情報

あわせて読みたい

「誰もが輝いて働く社会へ」の特集記事を読む