Kantar BrandZブランド価値20年の軌跡
2025年世界トップ100ブランド価値総額は10.7兆ドル、2006年より9.3兆ドル以上伸張
2025年5月16日
合同会社カンター・ジャパン
2025年カンターBrandZ世界トップ100に3つの日本ブランドがランクイン
トヨタ(77位)、ソニー(92位)、ユニクロ(97位)
マーケティングデータおよびアナリティクスの世界的リーディングカンパニーであるカンター(KANTAR 本社英国、ロンドン)は、2025年5月15日(05:00 BST)消費者の認識と財務実績に基づく世界で最も権威あるブランドランキング「Kantar BrandZ 最も価値あるグローバルブランドトップ100」の第20版を発表した。
BrandZのグローバルトップ100にランクインした米国ブランドの割合は、2006年の63%から82%に上昇した。しかし、今後中国ブランドの躍進や関税の引き上げにより、この順位は変動する可能性を孕んでいる。実際中国ブランドの価値は過去20年間で倍増、グローバルトップ100の全体的の6%を占める。この影響は特に欧州ブランドに及んでおり、現在グローバルトップ100のうち、欧州ブランドは7%である (2006年時点で、欧州ブランドはブローバルトップ100の26%を占めるも、近年大幅に減少) 。
Kantar BrandZのヘッド マーティン・ゲレーラは、次のように述べている。
「世界経済危機や混乱の中、世界で最も価値のあるブランドは、20年以上にわたり一貫して米S&P 500やMSCIワールド・インデックスなどにおいて優れたパフォーマンスを示してきました。これらは、マーケティングの価値を証明する揺るぎない証拠です。ブランドは企業にとって最も価値のある資産であり、市場がショックを受ける中で企業が最も避けるべきことは、マーケティングへの投資を削減することです。」
「ブランドは、継続的な市場への露出と消費者のブランド体験に基づき構築されます。最も成功している企業は、一貫したメッセージを発信し、消費者にそのブランドの価値を認識させています。そして賢明な企業は、需要を損なうことなく価格を維持、または上昇させることができるため、消費者はプレミアム価格を支払うことに納得します。これは、外部圧力に直面する際、利益を維持するために重要なのです。」
米国以外では、スウェーデンのスポティファイが大幅に上昇、76位でグローバルトップ100に再ランクインした。インドのエアテルは、グローバルでも急成長している通信ブランドである。アルゼンチンのEC大手メルカドリブレは、グローバルトップ100にランクインした唯一のラテンアメリカのブランドである。スペインのアパレルブランド、ザラは5ランクアップして65位、カナダのRBCは米国外の金融サービスブランドの中で最大の前年比ブランド価値成長率(43%)を記録した。
ディスラプションブランドが長期的なブランド価値を高める
2006年以降、グローバルトップ100ブランドブランド価値9兆3千億ドルの約4分の3(71%) は、カテゴリーを変革したブランドが占めている。2025年には初めて85位でランキング入りをしたストライプ(Stripe)と86位チポトレ(Chipotle)、過去20年間で15年間グローバルトップ100にランクインし、現在94位にランクインしているアルディ(Aldi)が含まれる。
Kantar BrandZのヘッド マーティン・ゲレーラは、「消費者のニーズを捉え、あるいは消費者ニーズを完全に再定義するイノベーターは、いずれも過去20年間でグローバルトップ100を根本から作り変えたブランドです。ウーバー、ブッキングドットコム、そしてChatGPTを思い浮かべてください。アップル、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなど、最も成功している企業は、これらのブランドが元々備えている製品価値から離れた価値を長期間提供し続けています。」
全体としてグローバル・トップ100のブランド総額は、前年比29%増の10兆7千億ドルと過去最高を記録した。これら価値向上は、ハイテクを駆使したディスラプションブランドによるものであり、過去20年間のブランド価値上昇の大半をすべてのセクターで実現している。
● アップルは前年比28%増、1兆3千億ドルのブランド価値をもって、4年連続でトップを維持。BrandZランキングで唯一の1兆ドル規模であり、グローバルトップ100の合計値の12%以上を占める。
● ChatGPTは、2021年のエヌビディア以来の新規参入企業として60位に初登場したが、グーグルやマイクロソフトのようなブランドが先行者としての優位性に対応するため、強力な競争に直面する可能性がある。
● アマゾンのブランド価値は50%上昇し8,660億ドルとなった。これは利便性と手頃な価格に対する強力なポジショニングの結果であり、厳しい経済状況の中での価値向上に成功している。
● Instagram/TikTokは、前者は101%、後者は25%という目覚ましい成長を遂げている。これらのブランドは消費者の視聴習慣をつくり、世界中のブランドやインフルエンサーを通し消費者への直接販売を行うソーシャルメディアとして、継続的な影響を及ぼしている。
Kantar BrandZのヘッド マーティン・ゲレーラは次のように述べている。「デジタルが飽和し、消費者の期待が高まる中、ブランドが成功するためには、人々のニーズを満たし、感情的につながり、他のブランドにはないものを提供する必要があります。また、単に他と違うだけではなく、意味のあるものでなければなりません。アップル、インスタグラム、マクドナルドなどのブランドの優位性は、人々が共感し記憶に残るような一貫したブランド体験を提供する力にあります。ChatGPTの劇的な台頭は、ブランドがいかにして名声を得、私たちの日常生活を変えるほど社会に影響を与えることができるかを示しています。しかし、生成AIの競争が加速する中、オープンAIは先行者の勢いを維持するためにブランドに投資する必要があります。」
その他、カテゴリー別のハイライト
● 小売はインフレ時代に、eコマースとプライベートブランドが消費者に価値を提供し、パンデミック後も急成長を続け、全体的なブランド価値の伸びは48%増加した。 対照的に、アパレルは横ばい、食品・飲料、パーソナルケアなどの消費者カテゴリーのブランド価値は減少した(順に0%、‐1%、-5%)。その中でも、ユニクロ、コカ・コーラ、ダブ(Dove)などのブランドはいずれも競合他社を上回る伸びを見せた。
● アルコール飲料はマイナス成長となった(‐11%)。特に若い世代の間で健康・ウェルネスに関心が寄せられ、低アルコール・ノンアルコール飲料の消費が伸びるも、アルコール飲料市場は消費量減圧力の渦中にある。スピリッツフレーバーやクラフトビールのカテゴリー細分化により、従来ブランドの市場シェアは後退している。
● ラグジュアリーセクターは、パンデミック中も成長した数少ないセクターの1つであるが、2025年はマイナス成長であった(‐2%)。これは、贅沢な行動や富の誇示に対する監視が厳しくなる中国での需要が鈍化したことが一因であり、消費者嗜好はステータスシンボルとなる物質的な消費ではなく、ライフスタイルにおける体験消費に移行している。
2025カンターBrandZ 世界で最も価値のあるブランド トップ10
2025年、世界カテゴリー別 トップ10にランクインした日本発ブランドは以下の通り。
● アパレル :ユニクロ(3位)、アシックス(8位)
● 自動車 :トヨタ(2位)、ホンダ(10位)
● コンシューマーテクノロジー:ソニー(9位)
● 通信 :NTT(9位)
以上
【Kantar BrandZについて】
Kantar BrandZは、ブランド価値を評価する際の世界的な通貨であり、ブランドの業績への貢献を定量化しています。カンターが毎年発表するグローバルおよびローカルブランドの評価ランキングは、厳密な財務データと広範なブランド・エクイティ・リサーチを組み合わせたものです。1998年以来、BrandZは54市場、22,000ブランド、450万人の消費者へのインタビューに基づき、ブランド構築に関するインサイトを世界中のビジネスリーダーと共有しております。Kantar BrandZの詳細はこちらをご覧ください。
【カンターについて】
カンターは、世界をリードするマーケティングデータおよびアナリティクス・ビジネス世界のトップ企業にとって不可欠なブランド・パートナーです。最も意味のある態度・行動データと深い専門知識、高度なアナリティクスを組み合わせ、人々がどのように考え、行動するかを明らかにします。私たちは、クライアント企業の皆様の市場理解及び未来を形作るマーケティング戦略を支援いたします。
カンターグローバルウェブサイト:www.kantar.com
【カンター・ジャパン会社概要】
社名:合同会社カンター・ジャパン
本社:東京都渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー6F
事業内容:市場調査・コンサルティング
マネージング・ディレクター 佐々木 亨
カンタージャパンウェブサイト:www.kantar.jp






