中小企業の75%が「価格引き上げ」を実現 大同生命サーベイ3月度調査リポート

大同生命保険(大阪市)は全国の中小企業経営者を対象に、景況感に加えさまざまなテーマを設定したアンケート調査「大同生命サーベイ」を2015年10月から毎月実施している。
現在日本では、インフレ傾向が高まり物価上昇が続く中、企業はコストの販売価格への転嫁が課題となっている。25年3月度のテーマではその状況を踏まえ、約6000社を対象に行った「価格交渉と価格引き上げの状況」の調査結果を公表した。
同社が、今回の調査のポイントとして上げたのは、「販売価格を引き上げできた」企業が75%となり、前回調査を5ポイント上回った。引き上げ幅でも、上昇したコストに対して販売価格を「50%以上」引き上げできた割合が43%(+12ポイント)と増加している。一方で、「コスト上昇に対する販売価格の引き上げ割合」は、39%(+6ポイント)平均に留まっており、引き続きコスト上昇に見合った価格転嫁が課題だということが浮き彫りとなった。

その他の回答では、直近1年間で「コストが上昇」している企業は96%で、費目は「原材料費・仕入価格」が72%と最も多い。業種により最も負担が多いコストは、宿泊・飲食サービス業が「原材料費・仕入価格」、運輸業「燃料費」、情報通信業「労務費」と特徴が出ている。
「物価高で悪影響を受けた」企業は、78%。特に「宿泊・飲食サービス業」(41%)、「運輸業」(30%)は他業種と比べ高い割合となっている。
毎月定例調査の景況感では、「現在の業況」、「将来の見通し」ともに悪化、25年に入り、両指標ともマイナス傾向で景気が若干後退。「売上高」と「利益」は改善しているが、「資金繰り」がやや悪化している状況が明らかになった。
